第9話『1000連ガチャの影響 その1』
《視点 サタン》
俺、サタンはいつものように仕事をしていた。
パソコン型グリモワールである『パソグリ』をカタカタと動かす。
1日に78時間が働く。
3徹、4徹は当たり前なのである。
「そろそろシャワーでも浴びないとな」
一週間もまともに浴びていない、まあ、魔術で綺麗にできるのだが。
髪も結構、伸びたな。腰まであるな。
扉が突然、開いた。
「おい、ノックくらはしろ」
「大変です! サタン様!」
第1秘書のメバロスが、慌てて、中に入ってきた。
「何だ?」
また、大きな仕事でもあるのか?
「ルシファー様がキャラ化、お導きになりました!」
「なんだとッ!?」
かけていた、眼鏡型グリモワールである『メガグリ』のレンズが割れた。
レンズだけで200万ヘルズするが、気にしてる場合じゃない。
俺はイスから立ち上がり、机をドンっと叩く。
「どういう訳だ!? 詳しく説明しろ!!」
「は、はい!」
話によると、アドミン様があらわれ、彼をキャラ化し『ガチャキャラ』にしてしまったのだ。
俺は頭を抱え、眼鏡を放り投げた。
「クソ!! あいつがいないと、仕事はどうなるんだ!!」
ルシファーは俺ほどじゃないが、かなりの働き者。
彼は下位の悪魔の1億体分の働きをしてくれる。
それにだ、彼は俺に次ぐ力を持つ最強の悪魔であり至高の存在。
そんな彼がいなくなってしまうのは非常に困るのだ。
俺は、部屋にあるソファーにドカッと座る。
「……サタン様」
「しょうがない、わたしがルシファーを引き当てた者と会う」
「えええええ!! サタン様! でも、仕事はどうなさるんですか?? サタン様がいなければ、できない仕事は多くありますよ??」
「親友を見捨てろと?」
メバロスに向かってギロリと睨む。
「ヒィッ……!!」
メバロスに説教をしている場合じゃない。
俺はふうと息を吐き、立ち上がる。
「ここはお前にまかせる。いいな?」
「は、はい!!」
《視点 大魔王ザグニオス》
我はザグニオス、大魔王である。
わけあって、緊急会議を開いた。
4体の大魔王が緊急で集まってもらった。
「緊急とは、どうしたんだ?」
「ふむ、実はな――」
話はこうだ。アドミン様があらわれ、強欲ノ魔竜王デグラスがキャラ化。『キャラガチャ』のキャラになってしまったのだ。いわゆる『お導き』である。
「マジかよ!?」
「とうそう、そんな事が」
「すごい事になったわね」
他の大魔王も驚きを隠せない。
デグラスは大魔王である。どうして、彼がキャラ化したのだろう?
「我々は、今、調査している。貴様達にも、協力して欲しいのだ」
「それはかまわない。おれも、情報収集する」
「うむ、よろしく頼む」