表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/95

第2話『ビナのお爺ちゃん』


俺だけじゃなく、ルピナスもパンクな格好だった。

 ルピナスは上は黒い革ジャン、中はTシャツ。下は黒いミニスカートに、ボーダーな靴下に、厚底。


「結構、似合にあってるね」

「ありがとう。空真くうまも似合ってるわよ」

「うん、どうも」

 

 てか、本当にこんな格好でいいんだろうか?

 なんだろう、緊張きんちょうする。

 ビナの専属メイドさんである、ラブルさんに案内され、謁見えっけん到着とうちゃく

 騎士達が、とびらを開く。


 俺は、緊張したが少し、堂々《どうどう》と歩く。

 相手は魔王だ。

 こういう時、ビクビク歩くと、弱い奴だと思われてしまうだろう。められてしまう。だからといって、失礼な態度は取るべきじゃないだろう。

赤いカーペットをみしめ、慎重に歩き進む。

 キングチェアには、すさまじい男性が座っていた。

 黒髪のツンツン頭。ウニか?

 いや、そんな事をいったら、○されてしまうだろう。

 顔は白く塗りたくり、スライムをかたどった、ブルーのペイントメイクされていた。

 黒い革ジャンに、同じく黒い革張りのズボンをはいている。ワニがらの靴もいている。

 この方が、ビナのおじいさんなんなのか。いろいろと、ツッコミどころが、あるんだが。

 お爺さんのとなりには、ビナがそばにいる。


「こんにちは。魔王様」


 俺は、うやうやしく挨拶あいさつする。


「ヒャハアアアアアアアアアアアア!!」


「!!」


「お前さんがあああああああああああああああ、八雲空真かああああああああああああああああ!! イケメンだな!! だが、ビナは渡さんぞ!!!」


 な、何なんだ!! とちくるったか、じいさん??


「ゴホン。冗談は見た目だけにしてくれと言いたいのだろう。気持ちはわかる。ワシはビナの祖父。エレビ・ヴァイスである」


 魔王であるエレビ爺さんは、咳払せきばらいし、優しげな表情になる。

 急に、正気しょうきにならないで欲しい。すっごく、怖い。


「話は聞いておる。お主は、魔王になりたいのであろう? なら、ワシが魔王になるための手続きをしよう」


「なれるんですか?」


「手続きといっても、すぐに魔王になれるわけじゃない。ワシはお主を魔王候補として立候補する。そうすれば、お主は試験を受ける事ができる。試験に合格すれば、魔王になれる。無事に魔王になれるかは、お主、次第しだいじゃ」


「そうですか。立候補法、ありがとうございます。その、試験に合格すればいいですか?」


「そうじゃ」


 エレビ魔王はうなずく。うん、見た目はアレだが。

 話すと、普通に優しい、お爺ちゃんだな。


「ルピナスよ!」

「はい!」

「お主は、ワシのメイドにならぬか? お主、超カワユスでドストライクなんじゃよ。どうじゃどうじゃ? 月200万ヴァムでどうじゃ? 安いかの? 月300万ヴァムでどうじゃ?」


 エレビ魔王は鼻の下をのばしながら、そんな事をほざいた。

 この爺さん、エロじじいか??


「お爺ちゃん、後で折檻せっかんね~」


 ビナは笑顔でエレビ魔王の足を踏む。


「ビナよ、この年で折檻受けたら、ちんじゃうよ」


 エレビ魔王は笑顔だし嬉しそうだった。うん、ちょっとキモいぞ。


「試験とは、どんな内容な何ですか?」


「そうじゃな。例年れいねん通りなら、試験官と戦い。勝てば魔王になれるのぉ」


「試験官に勝てばいいんですね」


「そうじゃ。試験官になる者は、だいたい魔王がなる。本気で戦いなさい。じゃないと、一瞬、○されてしまうぞ?」


「マジっすか?」


「そうじゃ。最初から本気でいきなさい。わかったかの?」

「はい」


 そして、俺はエレビ魔王に、アドバイスを聞き、謁見えっけんは終了した。




 夕食のディナーで、エレビ魔王と食事を取る事になった。


「ルピナスちゃん。そのドレス綺麗だね。美しいよ」

「ありがとうございます」


 エレビ魔王はルピナスさんにデレデレだった。

 エレナ魔王は、上品な黒いスーツに身につけており。さっきまでの、パンクな格好とは、違っていた。ルピナスは、青いドレスを身につけており。

 非常に綺麗である。


「なあ、ビナ。どう思う」

「正直、キモいと思う」


 ビナは、そう言うと、ナイフでダーク牛のステーキを切って、食べる。


「聞こえておるぞ。ビナ」

「聞こえるように言ってるんです」

「そんな~」


 エレビ魔王はしょんぼりする。

 エレビ魔王がボケて、ビナがツッコミをいれる。

 いい関係だと思う。だが、ルピナスに対して、デレデレなのは、困る。

 兄貴である八雲空音が見たら、怒って、《ホーリードラゴンレイン(聖なる竜の雨Ⅲ)》をぶっ放すんじゃないだろうか?


「お爺ちゃん。ルピナスさんは、ボクの主である、八雲空音様を愛してるから、ルピナスさんをメイドとして雇っても無駄だからね? 眼中にないから。ルピナスさんは空音様にゾッコン。世界一、愛してるんだから」


「ガビーーーン!!」


「ごめんなさい。エレビ魔王様。ルピナスちゃんの言うとおり、空音の事が、世界一、大好きな方なの。なので、お誘いはお断りさせていただきます」


「ガビーーーーン!!!」


 もう、それくらいにしてあげて。エレビ魔王様のHPがゼロになってしまう。


「くぅぅうう!! なんと羨まし奴なんだ! ビナだけじゃなく、ルピナスちゃんまで!」


 俺をギロリとにらむ。


「あの、俺は空音じゃないですからね? 俺は弟の空真ですからね」


 俺じゃないからな? モテてるのは。


「フン、わかっとる……」


 エレビ魔王は不機嫌そうにダーク牛のステーキを食べる。

 エレビ魔王を怒らせるのは、よくないな。機嫌を悪くさせてもとくにならない。


「エレビ魔王様。好きなロックバンドはありますか?」

「あるじゃよ!!」


 お、くいついた。


「実はですね――」

 俺は、日本で有名なロックバンドについて語り、大いに盛り上がった。

 まあ、空音兄貴の記憶から、掘り出した内容だが。

 ビナも話に加わり、嬉しそうに話す。ビナの場合、ヴィジュアル系バンドが好きみたいだ。

 残念だが、ビジュアル系バンドについての情報を知らない。だが、『スマグリ』を使って、音楽を流したら、彼女は、すごく、喜んでくれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ