第1話『ビナの実家』
時間は遡る。俺、八雲空真は地下世界にいた。
とりあえず、ビナの実家である、魔王城の出入り口の門に転移。
「2人とも、ここがボクの実家だよ~」
紫の髪はショートカット。アメジストのような紫色の瞳。
顔は地雷メイクに、青と黒を基調とした、パンクファッション。
そんでもって、大食い女子。
そんな、彼女の実家に到着。
「おお、すげぇな!」
俺は思わず、声を上げた。すごい、立派な門構えである。
「素晴らしいわ!」
ルピナスも声を上げ、手と手を合わせ、飛び跳ねる。
腰まである蒼髪を2カ所、三つ編みに結い上げており、黒い髪も多少、混じっている。
蒼と黒を基調としたローブ。中は水着のような格好である。
なんか、きわどい格好だな。
八雲空音にゾッコンの、大人美女キャラ。
「お嬢様。お久しぶりです」
門番であろう。騎士の格好をした男性が立っていた。
「うん、久しぶりナットウ」
「納豆?」
ナットウって、あのネバネバした食品の納豆か?
「あら、面白い名前ね」
「ルピナス、失礼だよ? いい名前じゃないか」
ビナがプンスカ怒る。
「ごめんなさい。そうね、いい名前ね」
ルピナスが手で口をかくし、笑いをこらえている。
「じゃあ、中に入ろう」
そして、俺達はビナの魔王城へ入った。
門から玄関まで10分はかかった。それだけ広い。
噴水や綺麗な花壇を通り。ちょっとした観光にもなる。
ルピナスは目を輝かせ、ルンルン気分で歩く。
ルピナスさんて、外見は大人の女性なのに、子供っぽいな。
玄関に到着。中に入る。
中も、広かった。玄関だけで、50畳以上はありそうだ。
「お帰りなさいませ。お嬢様」
執事が上品なお辞儀し、出迎えてくれた。
「「「おかえりまなさいませ」」」
メイド達もお品のある辞儀する。
「うん、ただいま」
ビナは、軽く手を上げ、手を振る。
「ボクはお爺さまと、話があるから。空真とルピナスはラブルさんに案内してもらって」
「ラブルさん?」
「こんにちは、お二方。わたしはラブルです。八雲様達のお世話をさせてください」
「ボクの専属メイドさんだよ。彼女にいろいろ、聞いて」
「わかった。ラブルさん、どうぞ、よろしくお願いします」
俺は軽く会釈する。初対面だからな、メイドとはいえ、失礼がないようにしなくては。
「よろしくお願いします」
ルピナスも上品な会釈をする。うん、ルピナスってやっぱ大人だな。
案内された客室は、かなり、広くて豪華だった。
一部屋だけで20畳はあるだろう。隣の部屋にはシャワー室や、寝室がある。
まさにスイートルームだ。リッチな気分になる。
俺は、自分やキャラの能力を『スマートフォン型グリモワール』である『スマグリ』を操作し、確認する。
「あいかわらず、チートすぎるだろ」
セイラとビナもすごいが。ルピナスのステータスや能力がすごすぎる。
他国の、小さな国家を征服できてしまうんじゃなかっていうぐらい、強い。
《ブルーフレイム(蒼炎)》っていう、魔術があるが。物や生き物、であれば、何でも燃やせる。
ヤバすぎだろ。強すぎる。
1時間くらいしたら、コンコンとノックが聞こえた。俺は、慌ててドアに向かう。
ドアを開け。
「はい」
「王様の謁見の準備が整いました」
「わかりました」
「その格好で行きますか?」
「マズいですか?」
「そうですね、少々、お待ちください」
そして、俺は正装に着替える。
中はTシャツ。黒い革ジャン。下はダメージパンツ。
てか、めっちゃ、パンクな格好なんだけど?
「これでいいんですか?」
「はい、そうです」