第32話『結果発表』
そして、次の日。
いよいよ結果発表である。
草津大迷宮の付近。
鼓笛隊が場を盛り上げる。
参加者達はリラックスしている様子。
主催者であるアドミン様の使徒様が壇上に上がる。
「皆様。お疲れ様です。これより、結果発表をします」
みな、使徒様を見る。
鼓笛隊がドラムロールを鳴らす。
「7位は『ブラックフェアリー』」
「6位は『舞舞』」
「5位は『青薔薇騎士団』」
「4位『ホワイトダイヤ』」
「3位『華ラブリー♡』」
「2位『赤桜騎士団』」
「1位『黄金竜王団』」
ああ、2位か。1位とかいけると思ったのに。
俺はショックを受け、しょげる。
赤桜騎士団の団長や団員達も、落胆している様子。
「「「……」」」
俺達は、ギルドハウスに戻った。
俺は寝室で荷造りする。
やっぱ、俺じゃあ。役に立てなかった。
すると、次郎が入ってきて。
「団長が呼んでる」
「あ、うん」
俺は部屋から出て、大広間にいる藤堂レオ団長の所に行った。
近づくと、団長は俺を睨み。
ああ、怒られる。俺は身構えた。
「八雲空音!!」
「はい!!」
ああ、どうしよう!
「良くやった!!」
「え?」
「お前は、本気を出してくれただろ?」
「そうですね」
確かに本気だった。もう少し、奥にいっても良かったのだが。
そうなると、倒すのに時間がかかる。なので、効率のよい場所で倒していたのだが。
「本当はもっと奥で倒せたが、効率のいい場所で倒していた、とかか?」
「そうですね、すいません」
「いや、良い判断だ」
藤堂レオ団長は笑顔で、頷く。わあ、素敵な笑顔だ。
「「「空音オオオォォ――!!」」」
「え、え、え、何??」
団員達が俺を取り囲む。
「お前、すごいよ!!」
「すごすぎだよ、空音!!」
「胴上げしろ!」
「「「了解!!」」」
そして、なぜか俺は胴上げされた。
団員達は俺の名前を使って、歌を歌う。
胴上げから降り。
「あの、どうして、こんなことを?」
「あのな、2位は。赤桜騎士団が創設以来、初めての準優勝できたんだぞ?」
次郎が答える。
「え?」
「この大会では8位が最高記録だったんだ」
強司も話す。
「S級ギルドなんて、ゴロゴロいる中の7位。俺達は日本で2番目に強い、ギルドだって事なんだ」
柊木トオル先輩も話す。
「そっか、そういう事なんだ。俺はてっきり、1位かなと思ったんだ」
「「「えッ!?」」」
「ハハハッ!! そうだな! お前が初日から本気出してたら、ありえたかもな!!」
藤堂レオ団長が豪快に笑う。
「藤堂団長!」
「下の名前で呼べ、レオ団長だ」
「レオ団長。あの、ありがとうございます!」
「お礼を言いたいのは俺だ。バアカ!」
そう言って、俺のおでこに向けてデコピン。
「本気を出せて、滅茶苦茶、楽しかったんです! なんていうか、爽快というか。悩みが吹っ飛んだって言うか」
「良かったじゃねぇか!」
そう言って、俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「レオ団長、あ、ありがとうございます!!」
俺は涙がボロボロ、流れた。
「おい、泣くなよ!」
レオ団長が苦笑する。
「レオ団長、空音を泣かせないでください!」
「そうですよ」
次郎や強司は涙をこらえていた。
「はいはい、俺が悪かった」
レオ団長は苦笑する。
それから、三日三晩、どんちゃん騒ぎ。
盛大にお祝いした。
そういえば、空真や彩良音は、無事だろうか?
空音は魔王になるため、地下世界で奮闘しているだろうし、彩良音は天使になるため、天界の学校に通っている。
まあ、大丈夫だろう。
とにかく、長いようで短い夏も。終わりそうだ。
ああ、またガチャを引きたいな。
そんな事を思う、俺だった。