第30話『ギルド対抗戦、1日目終了』
今日の試合は終了。
これが後、3回もあるのだ。
結構、疲れるな。
ギルド村にある温泉に入り。ギルド村にあるギルドハウスに戻る。
寝室部屋で次郎達とトランプで遊んでいた所だった。ドアが勢いよく開く。
藤堂レオ団長がずかずか入っていき。
「おい、八雲空音!」
「はい!」
俺は飛び跳ね、慌てて立ち上がる。
「話がある、こい!」
俺の腕を掴み、部屋から出る。
「は、はい!」
何の話だろう?
団長部屋に入れられ。俺は困惑を隠せなかった。
何か、マズい事でもしたか?
藤堂レオ団長は部屋にあるデスクにどかっと座り。腕と足を組む。
「てめぇ、舐めてるだろ?」
「え?」
藤堂レオ団長はキレていた。
ドスの聞いた声である。
目がギラギラしている。正直、怖い。
「お前、100分1の力も出していないだろ?」
ギクリ、俺が手加減している事がバレたのか?
「え?」
「『え?』じぇねぇよ! とぼけるんじゃねぇよ!」
どうやら、バレてるみたいだ。さすがはプロか。
「その、あれが俺の力量です!!」
「てめぇ。自分のランキング知ってて、言ってるのか?」
「ランキング??」
はて、何を言ってるんだ?
何のランキングだ?
「おい、副団。『パソグリ』を出せ。後、検索もよろだ!」
「はいはい」
副団長が『パソコン型グリモワール』である『パソグリ』をテーブルで操作し、持ってくる。
「これを見てみろ!」
「これは……」
その画面には、ずらりと名前が表示されていた。
「アドミン様が作った、ランキング表だ」
「そんなのがあるんですか??」
「ある。ほら見ろ!」
藤堂レオ団長は指を指す。
「このランキングは日本国内にいるプレイヤーのソロとして強さをあらわした、表だ」
7382位 八雲空音 所属 赤桜騎士団ギルド
「こ、これは……!」
なぜか、俺がのっていた。
「お前、知らなかったのか?」
「す、すいません。こんなのが、あるなんて初めて知りました」
「初めてか。もう、10年前からあるけどな。まあ、いい」
藤堂レオ団長は、少し呆れた様子だったが、デスクに置いてあるタバコ箱からタバコを1本取り出す。
「7382位がどれだけ、すごい事なのか、わからないか? 副団、教えてやれ」
ジッポでタバコに火をつける。
「コホン。S級ランクの冒険者は日本国内に2万人弱います。15897位からは全てS級だとされています。7500位からはS級+が大半。上級者の中の上級者です」
「そ、そうなんですか!?」
俺って、S級+相当なのか?
藤堂レオ団長はタバコをくわえる。
しばらく、タバコをくゆらせる。
デスクに置いてある、灰皿にタバコをこすりつける。
「……オレより、強ぇんだよ。てめぇは」
「……」
マジかよ、マジかよ。そんなの知らなかったぞ!
「で、お前、本気だすのかしないのか、どっちなんだ?」
「それは……」
本気を出したら、マズいんじゃないだろうか?
「なぁ、八雲空音。お前の力って、そんなもんじゃないだろ? 出し惜しみする理由ってあんのか?」
それこそ、犯罪グループに勧誘されたり、どこかの施設に隔離されたり。
いろいろと問題が出るじゃないだろうか?
「……」
「ここまで強ければ、出過ぎた杭だ。叩かれても、大丈夫だ。それとも、命、狙われるから怖くて寝られないのか? そんなに柔じゃないだろ」
藤堂レオ団長は言い方は乱暴だが、優しげな眼差しを向けてくれた。
だが、俺はそんなにメンタルは強くない。そう、豆腐メンタルなのだ。
「……」
藤堂レオ団長はデスクから降り、俺に近づく。
俺の両腕をぎゅっと掴む。
「本気を出せ! 八雲空音! そうすれば、ミジンコみたいな生き方をせず、楽しく生きられるぜ!」
藤堂レオ団長はニカっと笑顔を向けられた。
「!!」
「本気出そうぜ! そうしたら、悩みが消えるかもしれないぞ!」
そこまで、言われたら……
「……わかりました。俺、本気で挑みます!」
「よく言った! 男に二言はないな?」
「ないです!」