第22話『決勝戦』
長田くんと今野くんのお兄さんも、眠り姫チームだ。
長田くんの兄、3年生の長田剛力である。
「兄上。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくな」
長田力男くんとそのお兄さんである剛力先輩はお互い、健闘を祈って握手している。
今野くんの兄、3年生の今野京介である。
「兄貴、おれ、棄権したい……」
「おれもだ。弟よ……」
今野くんのお兄さんも眠り姫チームである。
なぜか、京介先輩のテンションは低い。
そして、例の彼女がこちらにやってきた。
桜色の長い髪にはカチューシャを。大きな青い瞳。
肌は雪のように白く、ピンク色の唇。
背は優美さんより高く、スタイルが良い。優美さんより大きなお胸がある。
「こんにちは。八雲空音くん!」
「こ、こんにちは!」
そう、うちの学校で一番、強い花輪囲絵里守、先輩だ。
「握手してもいい?」
絵里守さんは美しい笑顔で、手を出す。
「は、はい……」
すげぇ! 綺麗だ!
花輪囲優美さんが、可愛い系なら絵里守さんは清楚系である。
お胸は清楚じゃないが。
俺はおそるおそる、握手する。
「いやん!! 嬉しいわあああああぁ――!!」
絵里守さんは、美しい顔を崩し、声を上げる。
「え!?」
すると、優美さんが俺に近づき。
「(お姉様も、八雲くんのファンなの)」
「(そ、そうなんだ……)」
耳元で情報を教えてくれた。
「あの。お姉様、お手を柔らかに、よろしくお願いします」
花輪囲さんは、お辞儀する。
絵里守先輩は俺の手を離した後、腕を組み。
「おほほ! 妹だからって、手加減しませんよ?」
絵里守先輩は不適に笑う。
「八雲くんもいるのに、ですか?」
優美さんも負けじと、腕を組み、ニヒルに笑う。
「ぐっ!!」
絵里守先輩は、顔を歪ませる。
お互い火花を散らす。
俺達は彼女達と距離をとり、ブルブル震える。
「なんか、怖いよ!」
「「「うん! うん!」」」
結局、フォーメーションは1-0-7である。
やっぱり、おかしい。
なぜ、こうなった?
作戦名は『最強兵器・空音』である。
すごい、かっこ悪い。
まあ、要するに俺に丸投げである。
オフェンスもミッドフィルダーも俺。
ディフェンダーは次郎達、7人である。
『とうとう決勝戦!! 勝つのは3年生チームの眠り姫チームか! それともダークホースの1年生チームの花輪囲さんカワEか! さあさあ、泣いても笑っても最後の試合!! みんな、心して応援してね!!』
『――試合開始!!』