第19話『準決勝 パート3』
俺は、敵陣の核に向かって走る。
「(《状態異常無効Ⅰ》《魔法攻撃無効Ⅰ》《物理攻撃無効Ⅰ》――)」
念のため、心の中で唱え、強力なバフを自分にかけていく。
「核は破壊させないだにゃ! 《転倒Ⅲ》《土弾Ⅲ》」
『猫の月騎士団』の一人、魚月先輩が唱える。
転倒の魔術と20発に及ぶ、土弾が俺を襲ってくる。
俺はそれらの魔術を回避したり、弾丸を5発、当たっても魔法攻撃無効で魔術が無効化。
「にゃ! にゃんだと~!!」
同じく『猫の月騎士団』の一人、魚谷先輩が、核から距離を取る。
「《ビックアイロンシールド(鉄壁の大壁Ⅱ)》」
魚谷先輩が唱える。
核の回り囲むように、大きな壁が四方にあらわれた。
「壁か!!」
「にゃあ、おいらの壁は固いにゃ~」
魚谷先輩は自信があるようだ。
背後で気配を感知。
俺は振り返る。
「《ヒョウサンダン――(氷散弾Ⅲ)》」
「(《マジックシールド(魔導のⅣ)》)」
とっさに、マジックシールドを発動できた。
「やぁ、八雲くん!」
「柊木先輩!!」
どうやって、闇の牢獄を抜け出したんだ?
次郎はどうしたんだ?
「雑魚次郎は倒したよ」
「なっ!」
次郎がやられただと!?
「いいのかい? 核はすぐそこだよ?」
「《エンカクヒール(遠隔回復Ⅲ)》」
遠くにいる、次郎を回復させる。
「さすがだよ!! エンカクヒールが使えるなんて!!」
柊木先輩は驚く。
「《ダークドレイン(HP+MP吸収Ⅳ)》」
「えッ!?」
ビナの魔術だ。
彼の体力とマジックポイントを吸収する。
「……これは、ヤバい!!」
柊木先輩は倒れる。
「にゃああああ!! 柊木ぃ!!」
「《ダークプリズン(闇の牢獄Ⅴ)》」
3から5に引き上げてみた。
黒い霧がたちこめ、柊木先輩を覆い、魚月先輩や魚谷先輩にも襲いかかる。
「「これは、ヤバい!!」」
もちろん、術者である俺は大丈夫である。
『何んですか、あの魔術は!?』
『闇の牢獄とは、その名の通り、相手を牢獄に閉じ込める魔術です。牢獄に入ると、恐怖状態になります。あのレベル魔術だと、破壊するのに1ヶ月はかかるでしょう』
そして、魔力をこめ。
この魔術はセイラとビナの魔術を組み合わせて作られた魔術。
「《トラッキングホーリーライトバレット(追尾聖光弾丸Ⅳ)》」
ダダダダダダッダダッダッダダッダダダッダッダ――!!!
100発以上の弾丸を放ち、壁に着弾。貫通し核にまで届いた。
核は粉々《こなごな》になる。
「……」
「……」
会場はシーンと静まりかえった。
ヤバい!! やり過ぎたか!?
《えーっと、その――核が破壊されたぞ!! 審判!! ジャッジを!!》
『し、試合終了! チーム花輪囲さんカワEの勝利!!』
審判がジャッジした後、観覧席から盛大な歓声と大きな拍手が巻き起こった。
「すげぇ!! 今、魔術はなんなんだッ!?」
「すごかったぞ!!」
「マジ!! ぱねぇッ!!」
「あはは、ちょっとやり過ぎたか……」
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