第16話『準決勝』
いよいよ、準決勝である。
俺は敵チームを見る。
あの人が柊木トオルだろうか?
背は俺より、高く。細マッチョである。
肩まである黒髪に、整った顔立ち。
まるで漫画から出てきたような美形である。カリスマ性を感じる。
柊木先輩と目があった。彼は俺に向かって、ウインクしてきた。
お、おう……
どう、反応したらいいんだ?
「よお、トオル」
次郎は柊木トオル先輩に声をかける。
「何だよ、雑魚次郎」
「誰が雑魚次郎だ! 俺は弱くない! 俺も『赤桜騎士団』に所属しているだろ!」
柊木先輩はフンと鼻で笑い。腕を組む。
「ギルドは強い。だが、お前はB級冒険者だ。弱い弱い」
次郎はカチンときたみたいだ。怒りを抑えながら。
「高校1年生でB級は強いだろ。トオルさんよ」
次郎の顔が滅茶苦茶、引きつっている。
「まあまあ、落ち着いて雑魚次郎」
「強司! お前もB級冒険者だろ!」
なぜ、強司は火に油を注ぐんだろう? いじりすぎだよ、強司。
「強司は強いと思うよ。何で雑魚次郎にあわせているのか、わからないけど」
強司はフフフと笑い。
「鋭いね。理由は教えないけど」
花輪囲さんが思わず苦笑する。
「3人とも、あいかわらず、仲いいわね」
「優美姫じゃないか、今日も可愛いね」
柊木先輩は花輪囲さんを褒める。おお、俺も花輪囲さんが可愛いと思うよ。てか、花輪囲さんに対して、名前に姫をつけらているんだね。
「うふ、そうかな?」
花輪囲さんは少し照れている様子。
「中身は八雲空音さんのストーカーだけど」
「なッ!」
「蛇闇間学もヤバい奴だが、優美姫も同類だからな?」
「そんなッ!?? アイツなんかと一緒にしないで!! てか、あんたも人の事、いえないじゃない!!」
花輪囲さんが珍しくキレる。
なんとういうか、柊木トオルくんて、滅茶苦茶、毒舌キャラだね。
「アハハ、トオルは毒舌ランクはA級以上だよん」
苦野先輩は笑う。
「同感」
同じく甘菓子先輩も頷く。
「うん、うん」「そう、そう」「おれも思う」「毒舌~」「ワロタW」
『猫の月騎士団』ギルド、5人の先輩も同意している。
柊木先輩はスタスタとこちらにやって来た。
「八雲くん」
「は、はい!」
「昔、おれを助けてくれてありがとう」
突然、お礼を言われ。俺は戸惑う。
「昔の記憶、ほとんど忘れているけど、うん、どういたしまして」
昔の、俺、どんな感じなんだ?
「もし、おれが勝ったら、雑魚次郎を捨てて、おれの友達になって欲しい」
「え?」
「何を言ってンだ! クソトオル! お前なんかと友達になるわけねぇだろ!」
「うっさいなぁ! 雑魚次郎はカス次郎かよ!」
「か、カス次郎って、お前なぁ~! くそ~!! ぜってぇ負けねぇ!!」
『両者共! バチバチだぁああ!!』
『――両者とも位置につけ』
審判が促す。
俺達はそれぞれ位置につく。フォーメンションは2-3-3である。
俺はミッドフィルダーだ。
『空音ラブ、バーサス、花輪囲さんカワE――試合開始!』
「おい、チーム名、おかしいだろ!」
俺はツッコミを入れた。
柊木トオルはウインクする。
「おかしくない」
いやいや、おかしいから!
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