第12話『準々決勝、開始!』
試合開始して、すぐに俺は自分と花輪囲さん達にバフをかける。
敵のリーダーを含めた4人のオフェンスが次郎と強司に向かって走る。
後ろの方には敵のミッドフィルダーの2人も、オフェンスを追い抜かさない程度に追いかける。
『オフェンス4人が走る! 走る!!』
『ブラックタイガーチームは4・2・2ですか。攻撃的なフォーメンションですね』
「なるほど、4人がかりなら次郎くんと強司くんを潰せると考えたのね。ミッドフィルダーには今野くんと長田くんがいるけど、どう戦うのかしら?」
花輪囲さんは腕を組み、戦いを注視する。
3日間、練習と今、大会の試合でわかったが。今野くんと長田くんは強い。
今野くんは風属性の攻撃魔法と相手を麻痺、毒、混乱をさせるデバフを得意としている。長田くんは土属性の攻撃魔法と防御魔法を得意だ。
「今野くんも、長田くんも強いけど、どう戦うんだ?」
「なるほど、狙いは今野くんと長田くんね」
「え?」
「《マジックシールド(魔法の盾Ⅱ)》」
「「「マジックシールド(魔法の盾Ⅱ)」」」
敵のオフェンスの4人が一斉に、魔法攻撃壁を展開。
「《ファイヤーアロー(火の矢Ⅰ)》」
「《ウインドアロー(風の矢Ⅰ)》」
敵のミッドフィルダー2人が攻撃魔法を詠唱。3本の火の矢が今野くんに、3本の風の矢が長田くんに放たれた。
『おおっと! 今野選手と長田選手が危ない!!』
「今野くん! 長田くん!」
長田くんはマジックシールドで防ぎ、今野くんは、素早く回避。
『オフェンス4人がかりで盾になる事で、ミッドフィルダーを守り、攻撃しやすくしています。相手チームのオフェンス2人では、4人のタンクを潰すのは難しいでしょう』
村井ツトム先生が解説する。
「私たちに挑発するだけの事はあるわね。なかなか、いい連携だわ」
花輪囲さんは腕を組み、敵チームを褒める。
「確かにそうだね」
俺もそう思う。
先輩達もきっと、この日のために相当、特訓したのだろう。涙ぐましいな。
次郎が敵のリーダーと戦い、強司が他の敵オフェンス3人と戦う。
敵のフィッドフィルダー2人と、同じくミッドフィルダーの今野くん長田くんが戦う。
「輝喜」
「なんだ、空音?」
近くにいた輝喜に声をかける。
「俺、次郎達の所に行ってくるよ」
輝喜は驚く。
「マジかよ、お前、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。なんとかなる」
「う~ん……」
輝喜は心配そうに俺を見る。
「いいんじゃないのか。空音なら大丈夫だ」
オサムが輝喜の肩を叩く。
「ここは私達に、まかせて! 八雲くん!」
花輪囲さんは胸を叩き、まかせてポーズをとる。
「うん、じゃあ行ってくるよ!」
俺は、走って向かった。
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