第5話『弟ができました』
「じゃあ、マスター。つくってみて」
「わかった」
1、鏡で自分の姿を覚える。
2、覚えたら、自分の姿を強くイメージしながら、頭のてっぺんから、足のつま先まで魔力を流し、循環させる。
3、体がぽかぽかしてきたら、強く自分の姿をイメージする
俺の体が紫き色に輝く。
「《分体創造》」
床に魔法円があらわれ、光る。
そこから、もう一人の俺が出てくる。
「……」
黒髪に黒目。顔立ちは、自分で言うのもアレだが、そこそこ、整っている。
背は高くないが、細マッチョ。
俺が今、着ているジャージと同じモノを身につけている。
「すげぇ、俺だ!! もう一人の俺がいる!!」
俺は思わずぴょんぴょん、飛び跳ねた。
もう一人の俺はゆっくりと目を開く。
「……? なんだ? ここは?」
俺はもう一人の自分に近づく。
「よっ! もう一人の俺!」
「うお! 俺じゃねぇか!」
「事情はわかるか?」
「……えーっと……俺はおそらく分体だ。お前は、本体でありオリジナルだな?」
「ああ、そうだ」
彼と軽く話す。
しばらくすると、もう一人の俺は頭の中で情報が整頓されたのか。
「――俺は分体だが魂はお前と違う。だが、魂のレベル、及び霊格は近いし、ソウルファミリーだ。お前が兄だとしたら、俺は弟。だから、兄弟。お前を兄貴と呼ぶ」
「マジで!? 俺に弟ができたのか!?」
そうだとしたら、かなり、めでたい話だ。
「そういう認識で間違いない。よろしくな兄貴!」
「おう!」
「俺には名前がないよな。だったら、俺は自分に空真と名付ける」
「空真か、良い名前だな」
「そうだろう!」
空真は腕を組んで、ニカッと笑う。
「空音が魔王になるために地下世界に行くんだよな?」
空真を生み出した、理由を知っているみたいだ。
「頼めるか?」
空真は「ああ、いいぞ」と頷き。
「準備ができしだい。地下世界に行く。いいか?」
「ああ、頼む!」
もう一人の俺を家族に紹介する。
「わぁ~、お兄ちゃんが増えた!」
「息子が増えるなんて最高ね!」
俺は妹の花純とお母さんが笑顔になる。
「お母さん、それに花純。ふつつかな者ですが、よろしくお願いします」
空真は深くお辞儀する。
「あら、礼儀正しいわね。こちらこそ、よろしくね」
「空真お兄ちゃん! よろしくね!」
お母さんも妹も喜んでくれた。
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