第33話『蒼炎ノ悪魔降臨』
《視点 ルピナス》
「なんだ!! 貴様は!!」
蛇闇間学は慌てている。
私は現在の状況を確認する。
空音は魔力欠乏で倒れている。体力は後、52パーセント。
セイラの体力は後、38パーセント。
ビナの体力は後、16パーセント。
「あらあら、大変な事になってるわね」
いがいと早くに解放してくれたと思ったら。
空音はとんでもない無茶をしていたのね。
「貴様は何者だ!!」
私は腰まである蒼髪を2カ所、魔法で三つ編みに結い上げる。黒い髪も多少、混じっている。
蒼と黒を基調としたローブ。中は水着のような格好である。
そういえば、私、こんな格好だったわね。
「貴様!! 何者だ!!」
私を解放するため、莫大な霊宝石を手に入れるために、寿命まで削っている。
本当にお馬鹿さんね、空音は。
空音は意識はあるわね。
セイラは空音に回復魔法をかけている。
ビナは私に警戒している。
「解放してくれて、ありがとう空音、だけど、後でお説教ね」
「話を聞け!!」
「うるさい!」
蛇闇間学の体が突然、炎に包まれる。
こいつは、これでいいだろう。
「なッ!!」
私はファイアーミノタウロス(大)へ、ゆっくりと歩を進める。
「《蒼い炎に包まれ、地獄へ落ち地獄の業火で身も心も焼き尽くせ、消えぬ炎、空は蒼く、地は炎色――空ノ蒼炎業炎Ⅵ》」
一瞬で、空音達と自分いがいをすべて炎に包まれた。
部屋中、蒼炎色に染まった。
ちゃんと、二酸化炭素中毒ならないよう、特殊な結界をはるのも忘れない。
「(――ッッツ!!!)」
蛇闇間学は喉も焼かれているので、声が出ない。
彼の体内に寄生虫がいる。
人間を遠隔で自由自在にコントロールできるタイプの虫ね。
「あなたに宿っている寄生虫を燃やしてあげる、感謝しなさい」
「《ブルーフレイム(蒼炎Ⅴ)》」
彼の体内にいる寄生虫を燃やす。
「…………」
「あら、気を失ったのね。残念だわ」
巨大なファイアーミノタウロス(大)も蒼く燃える上がる。
「あなたも災難ね、隷属の首輪なんて、つけられちゃうなんて」
「《ブルーフレイム(蒼炎Ⅴ)》」
ファイアーミノタウロス(大)の首輪は燃え、消え去る。
ドゴーーーンッ!!
ファイアーミノタウロス(大)は倒れ、光の粒子となった。
私は花輪囲優美の方に行く。
「花輪囲優美は魔神因子があるわね。ついでに、あなたも燃やしてあげる」
「《ブルーフレイム(蒼炎Ⅴ)》」
彼女を縛っていたモノと従属の首輪、魔神因子を燃やす。
「これくらいでいいかしら」
消滅を確認。
パチン!
部屋中あれだけ燃えていた、蒼炎の炎を指パッチンで消す。
私の魔法は燃やしたいモノを燃やす。
燃やすべきじゃないと判断すれば、炎に包まれても燃えないのだ。
「これで事件解決かしら?」
私は空音の元に行く。
「ちょっと、いいかしら?」
「貴方様が、ルピナス様ですね?」
「そうよ」
「わたしは、主様の僕。セイラと申します」
彼女は礼儀正しくお辞儀する。
「そう、あなたが空音を守っていたのね、ありがとう」
「恐縮です」
私はビナの方に近づく。
「あなたは、ビナ・ヴァイムね?」
「うん、そうだけど、あなたはマスターの味方~?」
「そうよ」
「そっか~、わかった~」
あら、2人とも良い子ね。
「……ルピナス?」
「空音!!」
彼は目を覚ました。
「……ルピナスなのか?」
「そうよ! ルピナスよ!」
愛しの相手! 私の大事な存在!
「ルピナス」
そう言って、彼は私の頬に触れる。
彼の温かい手に、私は自然と涙が出てくる。
そして、彼はハッとし起き上がる。
「ファイアーミノタウロス(大)はどうなったんだ!?」
「倒したわよ」
「蛇闇間学は!?」
「気絶してる。彼に宿っていた、寄生虫を燃やしたわよ」
「きせいちゅう?」
「ついでに花輪囲優美に縛っていたモノと従属の首輪、体内にあった魔神因子があったから燃やしたわ」
「まじんいんし?」
どういう事? 魔神について覚えてないの?
「空音!」
「な、何だよ!」
空音は驚く。
彼はいろいろと忘れている。
だが、それでもいい、彼が無事なら、それでいいのだ。
「私に言う事があるんじゃなーい?」
「えーっと……おかえり」
「ただいま!!」
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