第29話『C級昇格試験』
俺が相手する試験官は有名な冒険者である。
南条ユウジ。年齢は確か21歳。
A級ギルド『青鳥ノ騎士団』に所属している若手の団員である。
プレイヤーランクは178、冒険者ランクはAである。
上級者冒険者である。
『氷剣の王子』の異名を持つ、イケメン男子だ。
「彼は水属性の技を得意で、特に氷でできた剣を自由自在に扱うことができるみたいよ。火属性に耐性があるから、火属性のスキルはあまり効果はないわ。土属性のスキルが弱点だけど、土属性に耐性を持つ防具やアクセサリー装備をしているから、弱いスキルじゃ、ダメージを受けづらいわ」
花輪囲さんが教えてくれた。
「なるほど」
さすがは花輪囲さんである、詳しい。
俺は本会場の待合室に移動。
彼女とはここで別れる。本会場の待合室からは受験者だけである。
10分後。待合室にあるテレビに試験官が映る。
説明が始まる。事前に説明書をもらっているので内容は知っている。
試験官の説明が終わり、テレビの映像は消え、時刻が表示される。
セイラ、ビナ、ウネちゃんなどのキャラは参加できない。
俺一人で戦うのである。
そして、俺は順番が回り、本会場に上がる。
「こんにちは試験官の南条ユウジです」
「俺は八雲空音です」
「知っていると思うけど、本会場には、強力な魔法防壁がはってあるから、本気で戦ってもこの会場が壊れる心配はないし、致命傷を受けてもすぐに再生ができる特殊な魔導術も、施されているから、よほどじゃないかぎり、死んでしまう事はないからね」
「わかりました」
おいおい、俺が本気だ戦ったら、南条さんを瞬殺してしまう。再生が間に合わないぞ?
何て考えたら。
「ん? 手加減しようと考えているのかな?」
ず、図星です!
「まあいい、それは甘い考えだと判断するだろう。では、始めるよ」
「――試験、始め!!」
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