第24話『花輪囲さん、メイドになる』
朝、起きる。
いつものように、セイラは俺と同じベッドで寝ていた。
セイラはスースー、静かな寝息をたてている。
もうね、セイラとこうやって一緒に寝るのは、普通になってきた。
やましい事は、一切、やってないからな?
まあ、チューとか、しようとは――してないから、無罪だ。
俺はベッドから降りる。
床にはビナが布団で寝ている。
ビナも可愛いよな。
ほっぺに、キスしていいかな? ダメですよね?
はい、わかっていますよ。
起こさないよう、気をつけて部屋から出る。
台所に行くと。
「おはようございます、ご主人様!」
「おはよう……って、花輪囲さん!!」
しかも、メイド服を身につけている!
可愛い! 素敵だ!
おっと、いけない。
「どうしてここに??」
「私はメイドです。ご主人様のお世話をするのは当然じゃないですか」
「まあ、そうかもしれないけど。わざわざ、朝からやらなくても」
まさか、ガチでメイドとして、やってくるなんて。予想外だぞ?
「よかったわね。空音、可愛いメイドさんがついて」
お母さんは、笑顔で俺の肩を掴む。
「お母さんも、どうして受け入れてんだよ! メイドだよ?? うちのクラスメイトがメイドなんだよ?」
「別にいいんじゃないの。優美ちゃんは、ノリノリなんだから」
「そうは言っても……」
いろいろと、マズいんじゃないか?
「お兄ちゃん、変態だね」
妹の花純が汚物を見るような目で、毒を吐く。
「妹よ……そうだよ、花純の反応が正しいんだよ」
どうしよう。泣きそうだ。
「優美ちゃん。ちゃんと訳を話した方がいいんじゃないかしら?」
「そうですよね……」
花輪囲さんは、暗い表情になった。
「訳って??」
「ごめんなさい!!」
花輪囲さんは、突然、頭を下げた。
「いや、頭を上げてよ! 花輪囲さん!」
花輪囲さんは頭を上げ、言いにくそうだが。勇気を振り絞り、口を開く。
「実はね――」
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