第22話『どうしたんだ、花輪囲さん!?』
俺の通っている学校は、神奈川県立第3魔導高校である。
神奈川県には第1魔導高校、第2魔導高校、第3魔導高校、第4魔導高校の4つの魔導高校がある。どの高校も、共通として魔導科があり、魔法・魔術関連の授業をうけられる学校である。
俺はいつものように、朝、早くに登校し、学校の宿題をやる。
2教科、宿題を終えると。
「おう! 空音」
「おはよう、次郎」
最初に挨拶してくれた、スポーツ刈りが、龍千地次郎。
「おはよう、空音」
「おはよう、強司」
もう一人の友人は、久遠強司だ。
強司は爽やかなショートレイヤーである。耳にはピアス、首にはネックレスををつけているオシャレさんである。
2人は結構、強くて。ランクの高いギルドに所属している。
『赤桜騎士団』というギルドに所属しており、A級ギルド。
中堅者~上級者向けのギルドだ。
入団試験に受けて、合格しないと入団できない厳しいギルドだ。
そんな二人が、うちらの学校である第3魔導学校に通っているのは、二人とも筆記試験がダメだった事。
実技に関しては第1魔導学校でも通用するほどの強さを持っているらしいが。
「まあな、だが。ここでよかったぜ。じゃなきゃ、第1や第2じゃ、座学の授業についていけん」
「僕もだよ」
「次郎はわかるけど。強司は、意外だよね。賢そうに見えるし、勉強できそう」
「おいおい、酷いじゃねぇか」
次郎にジト目を向けられる。
「へへ、よく言われる。見た目は賢そうに見えるけど、馬鹿だよねって言われる」
強司は自虐的な笑みをこぼす。
「そうなんだ。結構、酷い事、言われているんだね」
「うん」
強司にそんな事が言える人がいるんだね。
そして、事件は起きた。
俺に向かって、スタスタとやって来る女子がいた。
「八雲くん!!」
「は、はい!」
その女子というのは、学校の美女トップ5に入るとされる、花輪囲優美さんである。
桜色の長い髪が揺らし、青い瞳はビナか? と思うほどギラギラしていた。
「どうしたの、かな?」
「私、八雲くんに伝えたい事があるの!!」
クラスじゅうに聞こえるほどの声量だった。
「どんな内容、かな?」
「私は、八雲くんのメイドになります!!」
「え?」
何を言ってるんだい? 花輪囲さん?
「私、花輪囲優美は、八雲空音のメイドに!! 私はなります!!」
「ええッ!? その、どうして!?」
「理由? それは八雲くんがメイドが好きだからよ!!」
「いや、メイドは好きだけど!! その、何でそれで、花輪囲さんがメイドになるの? 意味がわからないよ!!」
「八雲くんにはメイドが必要だと思うの。だから、私が八雲くんのメイドになるの」
「いや!! だから、なぜ、そうなるの!? メイドは好きだけど、何で、花輪囲さんなの? 別に花輪囲さんじゃなくても、いいじゃん!!」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
お互い、「え?」を言い合う。
花輪囲さんは、コホンと咳ばらをし。
「とりあえず、放課後、保健室に来て!! いいわね!! 絶対よ、ぜーったい、来てよね!! じゃなきゃ、お尻ぺんぺんよ?」
そう、言い残し、自分の席に戻った。
「……」
「……」
俺と次郎、クラスメイト達は唖然とし、かたまった。
唯一、強司は笑いをこらえてました。