プロローグ
7月上旬。
新たな日常の始まりでもあった高校生活。
一学期の期末テストを終え、夏休みまであと数週間と切った月曜日。
教室ではクラスメイトの雑談が各所で繰り広げ、大変騒がしいものとなっている。
そんな中、俺は雑談の輪に入らず、一人自分の席に座り、ただ黙々と文庫本を読んでいた。
席は一番後ろで窓から二番目の所に位置しており、どちらかと言えば窓側が良かったのだが、今の席も特に悪くない。
誰とも喋らず、誰とも戯れず、ただ黙って本にのめり込む。
しばらくすると、学校のチャイムが校舎全体に鳴り響き、それに合わせて教室の扉が開く。
「おーい、席座れー」
先生がやや気だるげに入ってきた。
先生の掛け声により、クラスメイトは全員自分の席へ座り、授業が始まった。俺も読んでいた本をしまい、教科書とノートを鞄から取り出す。
特に盛り上がる事ない普通の授業を受け、ノートに内容を書き込んでいく。
あ、消しゴム落とした……
たまたま手が当たったとはいえ、落ちた消しゴムを拾うのが何故こんなにもめんどくさいのだろう?
謎を覚えつつ身を屈め、落とした消しゴムに手を伸ばす。すると、逆側から肌白い手が消しゴムを拾い上げる。
「ん」
「え、あ、どうも……」
白い髪のショートヘア、黒いマスクを着用した隣の席に座る彼女から消しゴムを受け取り、何事も無かったかのように前を向く。
途中欠伸を挟みながら、手に顎を乗せながら授業を聞く。
今日も、のんびりと過ごしますか─────
・新山 武生
主人公。兵神高等学校一年。
趣味は読書とゲーム。
小中での友達0人のボッチ。