第3話「本番」
翌日決勝レース。
昨日とは打って変わって晴天に恵まれた。
すでに24台のマシンがグリッドに並んでいた。
『今日は気負わずに行け…と言いたいが、難しいよな。』
「大丈夫ですよ。スーパーフォーミュラでもこういうこと何回かあったんで。」
『お前、本当に強いな。でも、無茶はするなよ。第一目標は完走だからな。クルマを壊すような真似はしないように。』
「了解。」
深呼吸をし、目を瞑る。
スタートから1コーナーへと飛び込んでいく様子をイメージする。
「1コーナーを抑えきれればレースは勝ったも同然だ。」
目を開けるとスタート3分前が宣言される。
このタイミングでメカニックなどのスタッフはグリッドを離れる。
『スタート3分前、エンジンを始動させるぞ。』
指示されたことを進めるとエンジンに火が入る。
『OK、エンジンかかった。グッドラック』
エンジンを吹かし、調子を確認。
「吹け上がりもよし。変な振動もなし。OK。」
フォーメーションラップがスタート。
『フォーメーションラップスタート。コースのフィーリング教えてくれ。』
「雨も上がったし、路面も乾いてるから、特に危ないことはないっす。」
『OK。今日は12周目にタイヤ交換だ。12周目だぞ。間違えるなよ。』
「了解。」
1周のフォーメーションラップの後、全車がグリッドにつく。
『スタートするぞ。タイミングしっかりな。』
赤いランプが5つすべて灯る。
F2初レースということで緊張が高まる。
ライツアウト。
1コーナーに向けて抜群のスタートを決めた。