第1話「大荒れ」
「これは一体どういうことです!?」康雄が書類を握りしめながら叫ぶ。
「どうもこうも、我々F2運営委員会とFIAで話し合って決めたことですよ。」
新人ドライバー2名の年間F2出走条件
・Invicta Racing、DAMS、PREMAの3チームのポイントランキングを上回ること
・2人のポイント差は10ポイント以内とする。もし守れなかった場合は離された方のドライバーを解雇する。
・指定ドライバーとの差が規定ポイントを超えた場合は入れ替えおよび解雇を行うことがある。
・予算は他のドライバーの2分の1とする。
なんだ、この無茶な条件は。
「その条件が飲めないのなら、今辞めてもらっても結構ですよ。」笑いながら言われる。
そして、運営委員会委員長が椅子から立ち上がる。
「日本人にはF1なんて目指せるわけありませんから。」嘲笑しながら康雄に伝える。
「ぐっ…」
すぐに飛びかかってやりたいが、そんなことしたら大問題だ。
怒りを抑え、部屋を出る。
廊下に出ると、すぐそこで1人の男性が立っていた。
「中に入っても平気か?」流暢な日本語で話しかけられる。
「あ、ああ、もう私も話は終わったので。大丈夫だと思います。」
「そうか。ありがとう。」
そして部屋の中に男性は入っていった。
「はぁ〜。松下たちになんて伝えよう。でも、伝え方間違えるとあいつらがパニックになるかもしれない…」
パリはすでに日が暮れ、夜になっていた。