第12話「脱落」
ついに迎えたベルギー戦。
しかし、すでに松下のチームはテントを片付けたりと撤退の準備を進めていた。
その奥では松下とハリソンが叱責されていた。
一体何が起こったのか?
「監督!ハリソン、ブルーフラッグ出されてるのに譲ろうとしない!あいつまじでなんなんすか!」
『あいつにも行かせろと言っているんだがな…』
もういい。
監督も向こうを守っているみたいで気にいらない。
追い抜くだけだ。
強引にハリソンのイン側へ。
ブルーフラッグの意味くらい知っているだろう。
しかし、その時、追い抜かせまいと幅寄せしてくるハリソン。
結果は明白だ。
2台は接触し、ランオフエリアへと飛び出す。
松下のマシンは接触の影響でリアサスペンションを破損。
ハリソンはピットまで戻ろうとしたものの、その後また他車と接触し、深刻なダメージを受けリタイアとなった。
マシンを降りた松下はハリソンに詰め寄る。
「お前、ブルーフラッグ見えてなかったのか!あれを見たら譲るんだぞ!」
「え?ブルーフラッグ?なんすかそれw」
なんだ、こいつ。
優勝争いしていたマシンをリタイアさせてこんなヘラヘラしてるんだ。
それ以前にブルーフラッグの意味も知らねぇのか…
「お前っ…!」
ハリソンの胸ぐらを掴む。
「なんすかw 怖いっすよ、センパイw」
「人のレースを台無しにしたんだぞ!その重さがわかんねぇのか!」
「知らないっすよw センパイがそうおもってるだけじゃないっすか?w」
この言い合いは国際中継にも映され、SNSでも話題になった。
この言い合いをモントーヤも見てしまい、今に至る。
「ルールを知らなかったハリソンも悪いと思う。ただ、胸ぐらを掴んだ松下も十分悪い。今後は気をつけるように。」
「なんで、俺まで言われるんだよ。悪いのはジャクソンだろうが、無理にイン側に寄ってきやがって」
「落ち着け、松下。」
「…」
もう嫌だ。こんなチーム。
まるで俺だけが悪者みたいだ。