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異世界少女と無能の現代異生活  作者: たんぽぽ3号


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蛇紋の仕事



「・・・・・気持ち悪い。」


「だからやめとけって言ったんだ。」



あの後エリスはひとしきり笑ったあと、トイレに駆け込みすべてを洗いざらい、、、うん。


でもそりゃそうだよ、だって何杯飲んだと思ってんの? 後半過呼吸になって苦しそうに笑って徐々に顔が青くなってったときは急いでトイレに連れてったわ。



「うぅ、、、まさか吐かれるところを見られてしまうとは、、、恥ずかしすぎる。」


「その前にグデングデンに酔ってた痴態を恥じろ。」



てか多分さ、多分だけど異世界って俺のイメージだと中世だし場所によっては蒸留とかないかもしれないじゃん。そこまでアルコールの度数とか高くなかったんじゃない?


それなのに同じペースで飲んだりしたらそりゃ潰れるわ。後半急に「一番強いのをくれ!」って言ってテキーラ飲みだしたときはさすがにビビったもん。



「・・・たくよ、羽目外しすぎだ。」



俺は座り込んでいたエリスに背を貸して背負う。

一度躊躇ってはいたが、今の状態だとまともに歩けないと悟ったのかエリスは大人しく首に手を回した。


持ち上げたエリスは、魔力を使い過ぎたからか驚くほど軽かった。



「・・・まさか私がこう背負われるとはな。」


「ほんとだよ、怪我人はむしろ俺なんだからな?」


「私を背負ったことがある者など数えるほどしかいないんだぞ? 誇ってよい。」



大体の人間が背負われたことがあるのは子供の頃くらいだしそんなに多くねえよ。

俺だって背負われたことは少な、、、担がれたことはよくあるな某化け物班長に。


何故か背負われたエリスはやけに上機嫌で鼻歌を歌いながら頭を背中にグリグリしてくる。


なんか猫みたいだな。



「にゃはー、綾人の匂いだー。」


「おい、暴れんなら落とすぞ。」



注意しても一切気にせずグリグリしてくるエリスに何を言っても無駄そうだとため息をついて昨日借宿として掃除しておいた廃墟に向かう。



・・・なんか危ない光景に見えるね、ふっしぎー!



「なぁなぁ、私は頑張っているか?」


「はぁ? お前が言うには当たり前に生きるのは頑張ってるらしいぞ。ならお前は頑張りすぎてるくらいだろ。」


「そうではない、私はお前に褒められたいのだ。ほらー、頑張ってるって言って頭を撫でてくれ。」



もうこの酔っぱらい放り投げて寝ようかな、、、。



とりあえず、廃墟に着いたので適当に見つけたソファにエリスを座らせる。酔ってはいるが目は覚めているようで、どこか期待したような上目遣いで「ふふん」と笑う。


俺はそんな様子のエリスにため息をつきながらそっと肌触りのよい髪に触れて撫でる。



「ふぁ。」


「・・・変な声出すな。」



ただ頭を撫でているだけなのにエリスは瞳をトロンとさせて気持ちよさそうに目を瞑った。

子供みたいだな、と思いながら頭を撫で続けると、次第にエリスの漏らす吐息が寝息にかわり、力が抜けるようにソファに寝転がったので毛布をかけて上げる。



俺はそのソファを背に床に座り込み、あくびを漏らした。



「・・・今日は助かったよ。ありがとな。」



それだけ言って俺は目を閉じ、同じように寝息を立て始めたのだった。




ーーー




次の日、蛇紋に呼び出された俺たちは金剛城に向かっていた。


歩きながら後ろを見ると、顔を手で覆い顔を真っ赤にさせているエリスがうつむきながらついてきている。


今日の朝、エリスは起きた途端に俺と目を合わせて顔を赤く染め、悶絶したように叫びながらしばらく転がっていた。

どうやらエリスは飲み過ぎても記憶が残るタイプのようで、昨日俺に甘えるような事を言ってたのをしっかりと覚えているみたい。


そりゃ恥ずかしいわな、俺だってあんな姿見られたら穴に入ってしばらく出てきたくないもん。



「・・・お家帰る。」


「帰れるなら俺も帰りたいよ。お前も名指しされてんだから手伝ってくれ。」



てか帰らせねえから。

この街での用事が終わったわけでもないし、勝手に帰ったらどんな目にあうか分かんないから、、、。


ただまぁ俺もめんどくさいことはめんどくさいのでポケットに両手を突っ込みながら歩いていると、ドンッと対面から歩いてきたローブを目深に被った人とぶつかってしまう。



「・・・あ、わり」



ーーパキィ



「え?」

「ん?」



フードが取れて短く切り揃えられた黒髪に幼い相貌を持ったびっくりするくらい美人な女性と目が合う。


と言うかどっかで見たことあるような、、、。


ぶつかって相手に尻もちをつかせてしまったので手を差し出したのだが、女性は震えたようにキュッと唇を結んで慌てて立ち去ってしまう。


そしてその背中をエリスが追おうとしたので慌てて肩を掴んで止めた。



「おいおい、どこ行く気だよ。」


「・・・あの娘、なにか憑いてるぞ。」



走って遠ざかるその背中を俺は目を凝らして見つめたが、特に何も見えない。まだ酒が抜けてないのかとエリスに冗談めいた視線を送ったが、エリスはそれを無視して険しい顔を浮かべていた。



「それに何故『ユーカ』がここにいるのだ?」


「ん? え、何、知り合い?」


「・・・何を言ってる。この前の映画で妹役を演じていたではないか。」



呆れたように指摘されて俺は目を見開いた。

何処かで見たことある気がしていたが、まさか女優さんとはね、、、。



・・・6番街(こんな場所)になんの用事が?



嫌な予感のする気配に追うか悩んだが、今はやることもある。取り敢えずは蛇紋の用事を済まそう。


彼女だってここが危ない場所だってわかっているわけだろうし、誘拐されたわけじゃないよな?



「・・・あとでリリカに連絡でも取るか。」



ただの野暮用ならいい。ここには地上で手にはいらないものが多くある。


・・・まぁ大概良いものじゃないけど。


俺が気になるのはむしろ、、、。



自分の手の平を見て顔しかめる。



一度『能無し』が何かに反応した。つまり彼女は何かしらの異能を発動したということになる。それが何なのかは分からないが、少し気をつけたほうがよさそうだ。



地上に戻ったあとの仕事が増えたことにまたため息をついて、蛇紋のもとへと振り返って向かったのだった。




ーーー




「おー、お前さんら遅かったな。」


「・・・・・よくそんな呑気な反応できんな。」



待ち合わせ場所に指定された小さな公園の真ん中で、蛇紋はスカジャンを着た男に胸ぐらをつかまれていた。


両手を挙げながら平然と挨拶してきた蛇紋の視線を追って男はこちらをじろりと睨む。



「あ、無関係だから殴っていいよ。」


「おいおい、そりゃないだろ兄ちゃん。俺とお前の仲じゃねえか。」


「てめぇら、こいつの知り合いか?」


「知らないね。」



てか巻き込まれたくない。

まぁ普通に挨拶されちゃってるしこんな言い分通じないだろうけど頼むから迷惑かけないでそのまま殴られてくれ。



「何があったのだ?」



俺の後ろからエリスがひょこっと顔を出す。

胸ぐらを掴まれてる蛇紋を見て「あー、、、」と引いたような声を漏らし、どうしようかと俺を見上げる。


ただ蛇紋と男は着飾ったエリスを見て息を呑んで固まり、動かなくなった。



「・・・?」


「よっしゃ、今だな。」



その隙に近づいて拳を握りしめて蛇紋の顔面を殴って転ばせる。



「ぶべらっぱ!?」


「うお!?」



知り合いっぽく話しかけた蛇紋がぶっ飛ばされて掴みかかってた男が戸惑っている。

殴られた蛇紋はあわくったように立ち上がった。



「てめぇ、何すんだよ!?」


「え、どうせお前が悪いんだろ?」


「酷え先入観だな!」



そりゃもう完全に日頃の行いだよね。


ちなみに話を聞いてみたらこの男の彼女を蛇紋がナンパしたらしい。ただそれだけと言えばそれだけだが、蛇紋の絡み方はなかなかねちっこかったようで耐えかねた男がブチギレ、、、やっぱこいつが悪いじゃねえか。


男は殴り飛ばされた蛇紋を見て溜飲が下がったらしく、言い聞かせると言ったら立ち去ってくれた。

そして残された蛇紋の前にエリスが怖い顔をして見下ろす。



「・・・見知らぬ人に迷惑をかけるな。」


「おいおい、男はな? 常に出会いを求める生き物なんだよ。見知らぬ人と知人になるために交流を、、、」


「ゴミに話しかけられたら怖いだろう。」


「お前らの印象どうなってんの!?」



言葉通りなんじゃないかな。

印象を変えたいならもう少し内面を隠すか、考え自体を変えたほうがいいと思う。ま、たぶん無理だけどね。



「それで、何をすればいいんだ? ナンパの手伝いとかごめんだぞ。」


「いや兄ちゃんがいても成功率上がらな、、、」


「首をひねり切ってやる!!」


「ば、馬鹿、落ち着かんか!!」



蛇紋に飛び掛かろうとしてエリスに後ろから羽交い締めにされる。


今なんつった! 言っていいことと悪いことがあるぞ!!


怒りの形相を浮かべる俺に蛇紋はヤレヤレとムカつく笑みを浮かべた。



「いいからはよ用件を言わんか。さもなくば貴様の命はない。」


「俺様の命軽いなぁ。」



ため息を吐きながら蛇紋は缶ビールを取り出して飲み出す。


こいつ、これから人に頼み事するくせに何飲んでんだよ?



「ま、いいけどよ。んで頼みたいことなんだけどよ、お前ら除霊ってできる?」


「・・・いや、俺たち霊媒師とかじゃないから。」


「あん? 怪物も霊も同じようなもんだろ。」



似て異なるものすぎるだろうが。

確かに怪物は幽霊や妖怪などの怪物の姿をもすことが多い。それは人が一番恐怖した存在に化けるからだ。そして人の恐怖というのは大人になってある程度生き方を理解する前、子供の時の方が印象が強くなる。


だからこそ子供の頃のトラウマは大人になっても忘れることが難しいんだ。



「・・・でも確かに「幽霊騒ぎが怪物でした。」ていうことはよくある話だからあながち間違いじゃないか。」


「おう、そうだぜ、てか幽霊なんていねえだろ。」


「む? 霊はいるぞ?」



2人で幽霊なんて子供騙しだと笑い合っていると、エリスから何を言ってるんだと首を傾げられる。

俺と蛇紋はその言葉に無言になった。



「・・・いやいや、霊ってなんだよ。幽世ノ住人だって幽霊じゃないんだぞ?」


「そもそも私がせいれ、、、モガっ!?」



明らかに余計なことを言いそうになったエリスの口を慌てて塞ぐ。蛇紋は不審げに眉をひそめているが、おそらく意味はわかっていなはずだと内心納得させた。


てか、事情を知らない奴がいるのに自分が変な存在とか言うのやめてくれよ。



「・・・お前さんら仲いいよな? ま、んじゃとりあえず専門家っぽいし対策局さんのお手並みを見させてくれよ。」



蛇紋は首を傾げながらもそれだけ言って前をよたよたと歩き出した。

俺はエリスに睨まれながらもホッと息を漏らして置いていかれないように付いていく、、、。



・・・あれ、俺たちが対策局だってこいつに教えたっけ?




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