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異世界少女と無能の現代異生活  作者: たんぽぽ3号


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39/48

両手に花、、、というより宝?



「・・・あー、眠い。」


「この人の多さに眠くなることがあるのか?」



電車に乗りついでようやく辿り着いた賑わう都会の駅前で俺とエリスはリリカを待っていた。

俺は七分袖のシャツにジーンズといつものスタイル。

エリスは清楚系の半袖とスカートを着ていた。



・・・無駄にオシャレだな、大学生か?



端末をいじりながらチラッと周りを見ると、歩いていく人たちや同じように待ってる人から多くの視線が殺到している。

理由は当然隣に立っている漫画から出てきたかのような美少女様のせいだね。一度エリスに向けられたあとの横のお前は何だ?って視線がいたたまれない。



・・・あれ?帰りたいかもしれない。



若干心が折れ始めていると、ところどころ立ち止まっていた人垣を掻き分けて昨日と同じ帽子と丈の短いシャツ、ゆったりしたズボンに薄い上着を羽織ったリリカが顔を出した。


・・・サングラスはしてるけど特徴的な髪色してるしバレないのかな?

って思ったけど見渡せばみんな色んな髪色に染めてるし別にそこまで注意深く見られなければ気付かれないか。



「やっほー、お待たせ。・・・うん、人も多いし場所移そっか。」


「うむ、何か催しでもあるのかもしれんな。」


「「なわけないだろ(でしょ)。」」



リリカと同時にツッコミながら無自覚な当人を引き連れて駅中にあるチェーン店のカフェに入る。

店員さんはエリスをみて一度固まったあとに店内を見渡し、一番奥の席に案内してくれた(できる〜)。



「それで今日は何するんだ?」


「実は私、映画見てみたいんだー。」



席について飲み物を頼んでから話し始める。

エリスがリリカに何をしたいのか聞くと余りに普通のやりたいことが出てきた。



「映画? わざわざ異能を消す必要あるのか?」


「・・・・・映画にでてる俳優とか女優の個人情報見てて楽しめると思う?」


「思わねぇ、、、。」



確かにキャラの情報ならまだしも俳優の情報なんて映画に見入ってる状況で一つも興味ないわな。


言われてみるとこいつってアニメ映画とかは見れても実写系は無理なのか、、、。



「それで見終わったら買い物でも行ってみない? ほらエリスちゃんって服とか着こなしてるけど小物系のアクセサリーとかあっても可愛いと思うんだー。」



リリカはそう言って目をキラキラさせている。

言われてエリスは自分の格好を見たあと少し苦笑いを浮かべた。



「・・・むぅ、あまりそういう小物系はつけないのだがな。・・・似合うと思うか?」



・・・いやなんでこっち見んだよ。俺にオシャレのことは聞かないでください、リリカ様に聞いてください。



「でもエリスちゃん、耳に穴あいてるよね。ピアスとかは付けてたんじゃない?」



え、そうなの?

言われてエリスの耳元を見ると確かに小さなピアス穴が空いていた。



「あぁ、式典とかパーティーに参加させられた時に着けたらどうだと言われて着けたことはある。」


「へぇー、じゃあドレスとか着たことあるの?」


「うむ、動きづらくてあまりこのまぬが、、、。」



ドレスって動きやすさとか求めて着るものじゃないと思うよ?


でもエリスって騎士とか言ってたからオシャレとかに無頓着だと思ってたけど、案外買い与えた服とかオシャレに着こなしてるし興味がないわけじゃなさそうだよね。



「ま、予定は任せ、、、


「おっけー! じゃあさっそく行こっか!」



言葉の途中でリリカに引きずられて店を後にする。会計はアッサリとリリカが払ってくれた、マジかっけぇ。



・・・ラーメン食べたいなぁ。




・・・・・。

・・・・。

・・・。




「・・・なんと、なんと切ない最期なのだ。」


「まさかあんなどんでん返しがあるとは俺も思わなかったな。」



リリカが調べてくれていた映画は『僕と君のシークレットタイム』。


どことなくピンクな響きを感じさせるタイトルの映画だなぁと思ってみていたら、まさかの内容はラブコメでなくサスペンスだった。


まさか主人公が家族同然に育った義理の妹に背後から撃たれるとはなぁ。ところどころ主人公の記憶があやふやだったのは幼少期の記憶を失ってたからなんだね。



・・・ぶっちゃけ泣けるかどうかと言われると泣けないけど心にくるものはあった気がする。



さて、念願の映画を観れたリリカの反応はどうかな?



彼女の要望を叶えるためにリリカにまた胸ポケットに入れていた小さな指輪を渡しておいた。

これなら数時間は彼女の異能は機能しないはずだ。


気になって彼女の顔を覗くと何やら難しい顔をしていた。



「あれ、あまり好みじゃなかったか?」


「え、ううん、面白かったは面白かったけど最後の展開がよく分からなくて、、、。だって別に主人公は妹さんのために今まで頑張ってきたんでしょ? なんで撃たれたのかなーって。」


「・・・あぁ、人には他の人が何をしてるかなんて分からないし、相手の気持なんて他人には理解することはできないって話。」



今回の映画が見せたかったのは人と人とのすれ違いかな。秘密や隠し事、それはたとえ守りたい相手であっても仲違いを巻き起こし、膨らんだ憎悪が爆発する、、、みたいなもの。



「なるほど、深いね。」


「いや割と一般的だけどね。」



普通に共有すればいい話だからね。まぁでもそれが関係が深ければ深いほど自分が頑張っているところ、泥にまみれているところを隠したがってしまう。


そんなことを伝えたかったのかな?



「でも面白かった! 女優さんの演技すごかったね、私ももらい泣きしそうだったよ!」


「うむ、あれが演技というのは嘘のようだ。」



確かにあの演技は凄かった。

あの臨場感と迫力は見てて引き込まれる程の衝撃があったな。名前は『ユーカ』だったか? 隣に芸能人いるし覚えておこ。


映画を観終わったら次はそのままビルでショッピングに行く。たっけぇブランド品があるフロアや化粧品に雑貨などさまざま。


とりあえず目的はアクセサリーなのでブランド品があるフロアをリリカを先頭にして練り歩く。



「ほら、こういう小さな小物系もオシャレじゃない? 腕とかにワンポイントあってもかわいいよ。」


「確かに可愛いな。宝石が無駄に大きくなくて私好みだ。」


「あー、宝石が付いてるやつもあるけどやっぱり高いからねー。どちらかと言うと形と小さな宝石がワンポイントでついてる感じが定番かな?」



うんうん、アクセサリの良し悪しって全くわかんないね。もうあのでっかいドクロとかでいいんじゃない?


俺は手のひらサイズもあるでっかいドクロのついたネックレスを手に取る。何このセンス、重すぎて着けたら首折れそうじゃね? てか振り回せれば人殺せるぞこれ。


なんでこんなものが売られているのか考えていると、いいものが買えたのか2人は紙袋を下げて戻ってきた。



「あり? もう買ったの?」


「あぁ、、、それ、、、買うのか?」


「いや買わないけど。」



買うわけねぇだろこんな鈍器。

これ買うくらいならモーニングスターでも買うわ。



「・・・てか金は大丈夫か? 安くねえだろ。」


「うむ、給料は入っていたからな。初めてこの様な個人的な買い物をしたな。」


「私が買ってあげるって言ったのになぁ。エリスちゃん頑として譲らなくて、、、。」


「友達にすべて買ってもらうわけなかろう。買い物とかはともに楽しむものだ。」


「・・・やだかっこいい。」



・・・かっこいい、ごめんね、一人でドクロと見つめ合ってて。俺は俺で楽しんでたから許して。



でも流石に自分で買ったようで良かった。

リリカは金の使い時が少ないのか余裕があるらしく、すぐに奢ろうとしてくる。ご飯とかならまだしもこれは完全にエリスの私物になるんだし全てを買ってもらっていたら関係性だっておかしくなりそうだ。ちゃんとそこら辺の線引きをエリスが意識してて良かったよ。


するとリリカがふと腕時計を見たあとマップを眺めた。



「そろそろご飯時だね。レストランフロアに行こっか。」


「お、いいねラーメン食べたい。」


「ラーメン? あったかなぁ、、、あ、1店舗あるね、じゃあそこにしよっか、エリスちゃんもそこでいい?」


「構わんぞ、食べたことないが。」



あ、そういえば連れてったことないね。

エリスって最近箸に慣れ始めたくらいだけど大丈夫かな?



・・・ま、ものは試しか。



・・・・・。

・・・・。

・・・。



昼を少し過ぎた辺りの時間にむかったので少し並んだだけで早く食べることができた。

少しオシャレめな魚介出汁メインのラーメン屋で、運ばれてきたラーメンのスープはとても澄んでいながら濃い匂いが鼻腔をくすぐる。


エリスが上手く食べれるのか心配だったが、彼女はぎこちないながらも少しずつ口に運んで食べていた。

その時の目は輝かんばかりに見開かれていたのでお口にはあったみたいだね。


そして腹も膨れ、次は何をするのかなぁーと思っていると、体を動かしたくなったのか屋上にあるバッティングセンターに連れて行かれた。


懐かしいなーと感じていると何故か先に打席に立たされる。



・・・なぁぜ?



何も理解できなかったのでチラって振り返ってみるとぐっと指を立てられた。

意味は分からないが打席に立たされて打たないわけにはいかない。


とりあえずすべてホームランに当てときました。



「・・・すごいけどなんか引く。」


「お前言ってること結構理不尽だからな?」



何故かリリカに引かれ、次はエリスに譲る。

バットの持ち方と立ち位置、どうすればよくてどこから球が飛んでくるのを教えると、彼女は一言「わかった。」と言って、見事なフォームで構えた。



「・・・野球させる格好じゃないけどな。」


「靴だからいいじゃん。」


「まぁ走るわけじゃないし平気か。」



そして結果は、前半空振り、後半につれてヒットが増えていき、最終的には気持ちのいい音を立てながらかっ飛ばしていた。



「運動神経レベチ。」


「もはやキモいまであるよな。」


「いや、そこまでは言わないけど、、、。というか2人とも運動神経良くない?」


「俺は後付けの運動神経だけどね。さ、次はお前だな。」



言われたリリカは「えー、この後やるのかー。」とため息つきながら打席に立つ。結果から言えば彼女の結果は当たったり当たらなかったりでいい音を立てて飛ばすことはなかった。



「うぅ、この二人を先にやらせるんじゃなかった。」


「球技は苦手か?」


「得意とは言わないけどそこまでじゃない、、、でも自信はなくなったかも。」


「まるで子供の頭を狙ったかのような軌道だったぞ!」


「全く褒めてないし、すごい物騒だよ!?」



うん、全く褒めてないね。

エリスさんはそれが褒めてると思っているのかな? それを言われて喜ぶやつは狂人か犯罪者くらいだから。



「よし、じゃあ小腹も空いたしおやつ食べに行こっか!」


「え、まだ食えんの?」


「デザートは別腹だからね!」



あ、人体の構造が違うんだ。なら仕方ないね。




ーーー




「・・・うっぷ、気持ち悪。」



あのあと小腹を満たすためにまさかのスイーツビュフェに案内され、小腹どころか大腹から逆流しそうなほどの甘味に襲われた。


食べ終わって建物を出ると陽が傾き、夜が訪れる。


そこでリリカは「あたしこれから仕事だから、またね!」と言い残し、雑踏賑わう駅前へと消えていった。



「・・・マジで台風だった。」


「うむ、だがこんな台風ならば何度あっても構わんな。」



ニッコニコで満足そうなエリスは何故かでっかいドクロが付いたネックレス、、、いや、ネックレスが付いたドクロかな?を持っていた。いやなんでだよ、お前いつ買ったそれ。


俺が戸惑ったような視線を送っていることに気づいたエリスは照れたようにはにかむ。



「あのとき物欲しそうに見ていたからな、お前にはお世話になっているしプレゼントしようと思って買っておいたのだ。」


「へ、へぇ? ち、ちなみにいくらしたの?」



俺は冷や汗を流しながら震える声でいくらしたのかを聞く。するとエリスは笑いながら手を広げた。



・・・どっちだ? ご、5万か、5千か、、、ご、50万じゃないよね? 流石に現金ないだろうからローンになっちゃうよ、、、。



てかどうしよう、本当にいらない。こんな物を首から下げたら猫背になるわ。


だがこんなにいい笑顔で渡されて突っぱねることは流石にできない。罪悪感がすごすぎるよ、吐き気を催すくらい。


俺は顔を引き攣らせながらドクロを受け取る。

でっかいクリスタルの眼孔と目が合って気まずい、、、。



叩き割りたい衝動を必死に抑えて何とか引きつった笑顔を浮かべながら受け取り、そっと小脇に抱えた。

おかしいね、ネックレスを小脇に抱えるって、、、。



「ふふん、これで一つまた返せたな!」


「・・・あのな、別に貸しだなんて思ってないし無理に返す必要もねぇぞ。」



なんか遠慮を感じるし、こっちも申し訳なくなる。

同僚だしそういう事気にしなくてもいいんだけどな。


そう思って伝えたのに彼女は輝くような笑顔。



「いやなんだか渡したくてな。世話になってるのもそうだが、素直に喜んでもらいたいって気持ちのほうが大きいのだ。」


「・・・。」



え、こいついい笑顔でなんて破壊力の高いこと言ってんだ? おそらく天然だと思うけど思春期男子なら勘違いしちまうところだからな。


あと一応補足しとくけどこのドクロは別に嬉しくないからね?・・・面白くはあるけどさ。



「・・・取り敢えず部屋に飾っとくわ。」


「うむ!」



あ、それでいいんだ。

てかもしかしたらこいつこれがネックレスって理解してないかもね。まぁ置物としてはいいかもしれない、ちゃんと飾っておこ。


そんなこんなで俺達も駅前に向かう。

ロータリーで待っているタクシーを拾おうとしたら何やら騒がしい喧騒が聞こえてきた。



「異能は危険な力だ!」



多くの人だかりの中心で初老の男性が拡声器を持って叫んでいる。俺は「よくやるよな。」とつぶやいて立ち去ろうとしたが、エリスが立ち止まって首を傾げてしまったため俺も足を止めた。



「異能者の優遇をやめろ!」「危険な異能者の隔離を!」「犯罪者は異能者から生まれる!」「非異能者の優遇を!」



口々に叫ぶ集まった民衆を見つめるエリスの視線を遮るように隣に立って、無言で歩くように先導した。



「ど、どうした?」


「・・・あまり興味があるような反応するもんじゃない。お前は見た目もいいし担ぎ込まれるぞ。」



エリスは戸惑いながらも静かに隣を歩く。



「あいつらは何なんだ?」


「・・・反異能者団体だよ。異能を悪だと断じて排斥する運動をしている組織だ。」



組織というより各地で異能者の割合が多い団体や会社の前で屯したり、駅前とか人が集まる所で演説してるだけだけどね。


でもああいう連中は自分の主張ばかり押して他者の意見を聞こうともしないからな。自分の主張が絶対に正しいと一つの視点でしか周りを見れなくなる。受け入れてもらう努力を怠れば、煙たがれるだけなのにさ。



「異能は悪か、確かに気味悪く感じはするがもはや世に浸透してしまっている上、有用であるなら切り捨てるのも難しかろう。」


「まぁな、それに人の考えなんてまとめられるわけないんだ。必要なのは住み分けと押しつけないことだ、てか文句言ってる暇があったら行動しろって話。」



安全に異能を取り除くすべがあれば受ける人もいるだろうしね。それに方法がないかといえばゼロじゃない、、、。



「前から言ってるけど異能は身体に宿る。それを取除けば異能は使えなくできるんだよ。」


「でも皮膚や心臓、脳であれば取り除けないではないか。」


「そ、だから難しいの、実際異能者にも異能を取り除きたくて研究してる奴らは居る。そいつらだって満足いく成果を上げられてないのに叫ぶだけの奴らが何かできるとは思えないけどな。」



ぶっちゃけ異能者と非異能者の割合は半々だ。

優劣とか危険度合いに対して言及したい気持ちはわかるけど上の人達だって考えてないわけじゃない、まぁ声を上げないと気付けない可能性はあるからまるっきり無駄とは言わないけどさ、、、。



「てかいいや、そろそろ帰って寝よう。いい加減疲れた。」


「む? それもそうだな、体力は有り余っているが休むのも大切だ。」



え、有り余ってるの?

あれか、休日が2日あったら両方遊べるタイプね。ちなみに俺は一日は休みたいタイプ。


もはや乗る気が失せたタクシー乗り場を放置して2人で歩いて家へと戻ることにした。もともと2人とも体力があるし特にへたることなく家へと戻れた。






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