混戦
暗い通路を進むと何故か開けられた多重ロックの扉があったので怪しみながらも潜って進む。
すると、やけに清潔感のある白を基調とした病院のような廊下に出た。
「暗いところにいたから眩しぃ。」
フルフェイスの下でそんな事を呟きながら歩き出すが、一つ気付いたことがある、、、。
「そう言えばこっち側のマップ把握してないや。」
思わず立ち尽くして自分の準備不足を嘆く。
まぁ案内なんてあるわけないし、こんな深くの情報なんてネットで手に入るわけない。
てかそもそもな話、国防が何を隠しているのか確証がないんだよなぁ。
事前に適当なやつを捕まえて聞き出しといた方がよかったかな?・・・いや末端に知らされてるわけないか。
「・・・奥まで来たし、そろそろ何の研究をしているのか知ってるやつがいそうだよね。」
他力本願的にそう思っていると、近くのドアが開き中から白衣を着たハゲたおっさんが出てくる。
・・・あ、やべ。
見つかったかと走り出そうとしたが、おっさんは眠気眼をこすって欠伸を漏らした。
「ふあぁ、、、。ん? 黒地の隊員か? 召集令は出てるはずだが。」
おっさんはそう言ってまた欠伸をした。
・・・そう言えば変装してましたね。えぇ、忘れてましたとも。
取り敢えず黙ってても怪しまれるので必死に頭を回転させて何を言えば怪しまれないのか考える。
てか召集令とか出てたの? やっぱ警備が薄かったのは意図的だったのね。
「今しがた任務が片付きましてね。これから向かうところです。」
知らなかったってのは胡散臭いし、忘れてたもありえないしね。なにか特命があって動いてたみたいに言う方が当たり障りないだろ、、、知らんけどなぁ!
ぎこちなくならないように方向転換して歩き出そうと一歩を踏み出すと、、、
「待て。」
背後から声をかけられて立ち止まる。
まずいバレたか?嫌な汗が流れるのを必死に我慢しながら首だけ振り返る。
「君、ひどい怪我じゃないか! まったく軍人は怪我に対して大雑把になりすぎる、来なさい!」
「え、え、え? いやこのくらいかすり傷、、、力強いなぁ!?」
まさかの怪我の心配をされて抉られた反対の腕を掴まれながら引きずられていく。
別に抵抗しようと思えばできるけど無理矢理引き剥がすのもなぁ。とか考えていたら医務室へと連行されましたとさ、めでたしめでたし。
・・・めでたしってなぁに?
ーーー
ーーズガガガガガガッ!
「前列と後列で弾幕を維持し続けろ! あの黒球の硬度が高いとしてもいずれ崩れる!」
十字路の真ん中で集中砲火を受けながら佐巳月は腕を組んでいた。小さな玉を寄せ集め、できるだけ固めに形成したが、確かにこのまま弾幕を維持し続けられればきついものがあるな。
「跳弾で自滅してくれるほど馬鹿でもねぇしなぁ。仕方ねぇ、奥の手でも使うかぁ、、、。」
黒い小さな玉を巻き取るように回転させながら佐巳月は姿を現す。銃弾は未だに浴びせられているが、小さな黒球が玉を弾く。
そして囲んでいる黒地部隊を睨めつけると、全員が何かに弾かれたように防御の薄い首元を抉られる。
佐巳月がその真ん中で煙草をふかすと、囲んでいた者たちは声を上げることもできないまま崩れ落ちた。
「・・・あ~~~、頭いてぇ。流石に負荷をかけすぎかぁ。」
頭痛に苛まれながら垂れてきた鼻血を拭う。
足取りは元々ふらついていたので変わりないが、今は何処か酔ったような歩き方になっていた。
ーーガシャ
「・・・あ?」
痛む頭を押さえながら歩いていると、背後から鈍い足音が聞こえて振り向く。
そこには真っ黒な外骨格の兵士、黒龍が立っていた。
彼は綾人が戦った黒龍と違い無言で拳を構えだす。
佐巳月はその姿を見て鼻で笑った。
「特撮ライダーみてぇな風貌だなぁ。」
『1番解放、蛇骨刃。』
適当な感想を抱いていると、黒龍の両腕の装甲が開いてそこから鋭い蛇の骨のような刃が生えてくる。
黒龍は蒸気を発しながら勢いよく近づき腕をふるう。
佐巳月は相手の腕を狙って下から黒球で弾き上げ、ギリギリで体を反らして刃をかわした。
「あっぶねぇなぁ!」
口は笑みを浮かべているが、内心はヒヤヒヤしている。避けられたのは本当に偶然で、近づいてくる気配がしたから適当に黒球を操ったらちょうどよく腕にヒットした形だ。
何度も振り抜かれる刃をほぼ反射で避け続ける。僅かな隙を見つけて黒球をぶつけるが、相手は特に動じない。
・・・やりづれぇ、装甲に隙間も見当たらねぇし相性が悪いなぁ。
苦い顔をしながら何とか迫る刃を避けようとすると、、、
ーーバキャッ!
「ーー!」
突如として刃が蛇の背骨のように開いて攻撃範囲が広がる。何とか黒球で対応しようとしたが、刃は蛇のようにしなり、脇腹あたりを裂かれた。
「ーーっ! うぜぇなぁ。」
傷口を押さえながら直前に並べた黒球を蹴り、相手の腹部に衝撃を与える。黒龍は少しだけよろめくが倒れたりはしない。
『2番解放、重複。』
「あ?」
腕から生えた刃が引っ込んだと思ったら再び蒸気を撒き散らしながら殴りかかってくる。
反応して腕を当てながら攻撃を回避したが、、、
ーーバコンッ!
「ーーごぷっ!?」
ずらしたはずの攻撃が何故か直撃したかのような衝撃が体に走った。
血を吐きながら吹き飛ばされて壁にぶち当たる。
「ーーけほっ、けほっけほっ!」
口元の血を拭いながら相手を睨みつける。
・・・重複、攻撃が二重に重なっていやがったのかぁ。てか異能2つ目だろぉ? んなもん、、、
「反則じゃねぇかぁ?」
『殺し合いに反則などない。』
軽く文句を言ってみたが固く返された。
そりゃそうだが文句の一つも言いたくなる。随分と非人道的な装備をつけてきたもんだよ。言えたもんじゃねぇけどなぁ。
黒龍は再び構えを取って飛び出してくる。
必死に黒球を操作して拳の軌道を変えたがそのどれもが二重で走り、的確なダメージを与えてくる。
・・・まずいなぁ。
1つ目の異能はまだ対処のしようがあったが2つ目のこれは元の場所から完全に避けきらないとダメージが入る。避けきれればいいが相手のスピードが速すぎて回避が間に合わない。
『・・・終わりだ。』
ボロボロになりながら頭上から迫りくる拳が目に映る。黒龍は勝利を確信してとどめを刺しに来た。
それに対して佐巳月は笑みを浮かべる。
「・・・ただではやられねぇんだゎ。」
ーーガキッ!
『ーー!?』
黒龍の関節の可動部に小さな黒球が密集し、動きを阻害する。柔軟性にかける装備ではまともに動けずそのまま地面へと落ちた。
その衝撃で小さな黒球は飛び散る。黒龍はすぐに立ち上がって拳を構えたが、、、。
「隠し玉ってのはこういう事を言うんだぁ。」
ボロボロになったシャツをたなびかせるとその奥で赤く赤熱するほど高速で回転させた黒球が姿を現す。
黒龍の兵士は驚きに目を見開き、これは不味いと立ち上がろうとするが、ガキッと音がして足の関節に玉が詰められてるのを確認した。
「いー、、、」
ーーバゴンッ!
音を置き去りにして射出された黒球が相手の腹部にぶち当たる。ハンマーで叩きつけられたような衝撃と音が通路に鈍く響いた。
だがそれでも黒龍の装甲は凹むだけで壊れはしない。
黒龍の兵士はダメージは大きいがなんとか食らいつこうと前に踏み出す。
が、顔を上げて前を見ると吐き出された黒球の後ろにはさらに回転する黒球が隠されていた。
『ーーな!?』
「やー、、、」
ーーバギィンッ!
まったく同じところに着弾した黒球は黒龍の装甲にヒビを入れる。
そして佐巳月はさらに隠されたもう一発を放った。
「さー、、、」
ーーバギャンッ!
最後の一発は黒龍の装甲をぶち抜き腹に大きな穴を開けた。そこから血を流しながら黒龍の兵士は崩れ落ちる。
「・・・あー、いってぇ。流石に、殴られすぎたかぁ。」
全身に走る痛みを無視しながら肩を回し、懐にしまった煙草を取り出す。口に咥えながら火をつけた後、佐巳月は憂鬱そうに顔をゆがめる。
「こんなもんを生産してのかぁ、一体なわけねぇし大勢で来られたら終わりだなぁ。」
そんなフラグを立てると両脇の通路から蒸気音とともに2体の黒龍が現れる。
佐巳月は流石に顔を引き攣らせながら煙草をふかす。
そんな風に軽く現実逃避をしていたら前の通路から一人の男が姿を現した。
黒髪を綺麗にまとめた壮年の男性。
白い国防の制服に身を包み、右手に軍刀、左手に自動小銃を装備している。
その姿を見て佐巳月は「・・・最悪だぁ。」と静かに声を漏らしながら顔を引き攣らせた。
「・・・嶺藤ぃ。国防最強がなんで一研究施設にいるんだぁ?」
「お前に言う必要はないな。・・・佐巳月 レイ、貴様をここで下す。」
軍刀の切っ先を構え、表情を変えないまま嶺藤は言い放つ。
それに対して佐巳月は大きく肩をすくめた。
「ふっは! お前を相手取るくらいならなんちゃってライダーを殺しまくるほうが何倍も楽だなぁ!」
そう笑うと佐巳月は胸元から黒い正方形の箱を取り出す。嫌な気配に嶺藤は銃を構える。
佐巳月は黒い箱をするりと手から滑り落とそうとすると、、、
「どっしゃーーーー!」
背後から奇声が聞こえて思わず振り返る。
通路を何かが横切り向こう側へと飛んでいく、すると何かが飛んでった方の反対側から疲れた様子のグリーンパイソンの合羽とマスクを被った何者かが姿を現した。
「まったく! 同じような通路ばかりですっかり迷子だ!」
・・・ん? 何処かで聞いたことある声だなぁ。
どこだったか思い出していると現れた誰かは首を傾げ、こちらを指差してくる。
「あーー! 佐巳月!」
そんな馴れ馴れしい部下はいねぇぞぉ。
蕪城とかの幹部連中ならまだしも流石に部下に呼び捨てされるほど仲いいやつはいなかったはずだ。
・・・てかあの剣見覚えあんなぁ。
どこかの上位存在の顔が思い浮かんで苦い顔をしていると、ヒヤリと背筋が凍るような感覚がして前に転がる。すると首があった位置を白刃が通り過ぎた。
「ーーっ!?少しくらい殺気でも漏らしやがれやぁ!」
嶺藤は避けられた事を気にせずに斬り掛かってくる。左手を見ると先ほどまで持っていたはずの拳銃は隠されていた。
・・・っち、バレてるかぁ。
構わず斬り掛かってくる嶺藤との間に小さな黒球をまばらに配置、体積を一気に増やして無理やり距離を取る。
吹き飛ばされた衝撃を逃しながらなんとか前を向くが、再び目の前に迫る白刃。
ーーくっそ! なんの気配も音もしねぇ!
相手の背後には体積を増やしていたはずの黒球が両断されていた。
なのに金属がぶつかる音も床に落ちる音すら聞こえない。
無音の暗殺剣、気味が悪ぃのは異能は関係ない技術の賜物ってとこだ。
汗を垂らしながら必死に身を捩る。
後ろから剣を構えて上位存在が近づいてくるが気にする余裕はない。
「どわっ!?」
挟撃されることを警戒していたが、間抜けな声を上げながら上位存在は黒龍に阻まれた。
そういえばあいつ俺達の格好してたな、馬鹿かぁ?
ーーシュル
「だから危ねぇって!」
振り抜かれた刃に首の薄皮を斬られる。
知ってはいたが少しでも気を抜けば簡単に死ねるなぁ!
何とか回避に専念しながら小さな黒球を操り、手に黒い筆ペンのような物を忍ばせる。ボタンを押すと黒い液体がレーザーのように飛び出し床を溶かした。
そのまま自分を中心に円を描き床を切り離して下へと落ちる。
上位存在と嶺藤は見事に反応して黒い液体を回避、黒龍は足を焼かれたが硬い装甲で液体は意味を成していない。でも状況は変わった、上位存在と嶺藤はその場に残り、黒龍は落ちてきやがったがあの二人を相手にするより遥かにマシだ。
ーーズダンッ!
黒球を足場に勢いを消しながら倉庫のような場所へと着地。と、同時に倉庫に明かりがともり、周囲をフルフェイスの装備をした黒地部隊に囲まれた。
「めんどくせぇ!」
そこからはまさしく乱戦。
乱れる風や炎、氷を避けたり無軌道に飛んでくるナイフや鎖を黒球で凌ぎながら数を減らしていく。
貫いたり頭を破裂させたりしながら敵の数があと3人くらいまで減らした所で1人の兵士が走ってくる。
「うぉおおおおーー!」
俺の操る黒球を避けながら接近してくるやつの首を掴んで黒球を隙間から入れる。破裂させようと手を離して次の敵を視線に入れた瞬間、、、
ーーボギンッ!
「ーーぁあ?」
意識の外から鈍い衝撃が走った。
顔面を思いっきり殴られ鼻と口から血が垂れる。
何が起こったのか理解が及ばずそちらへと視線を送ると何故か黒球が膨らまず、殴ったあとの姿勢で固まる兵士がいた。
佐巳月は全てを理解し、顔色を憤怒の色へと変えて大きく叫ぶ。
「ふざけたことしてくれんじゃねぇかぁ、綾人ぉ!!」
「わりっ、ムカつく顔が見えたからついね。」
申し訳なさそうに片手でごめんと謝る綾人に佐巳月は黒球を操って全力で殺しに走った。
ーーー
上に残されたエリスと嶺藤は無言で見つめ合う。
エリスは切っ先を正面に向けて構え、嶺藤は何を考えているかわからない無表情で緊張感なく剣を下に構えていた。
冷や汗が背を伝う。
先ほど佐巳月との戦いを少し見ただけでも彼が歴戦の兵士であることがうかがえる。
第三者として広い視野で見れたというのに彼の動きはまるでブレるかのようで気付くと致命の一撃が佐巳月に迫っているように見えた。
・・・勝てるか? 私は今グリーンパイソンの姿をしているし敵と認識されているはず、隙を見て逃げられるような相手でもないだろう。
相手の一挙手一投足を見逃さないように全神経を注いでいると、相手は無言で構えを解いて剣を鞘にしまった。
「・・・へ?」
「グリーンパイソンの人間ではないな。先ほど剣を持って斬り掛かった時は佐巳月を狙っていたし、蹴り飛ばしていた黒地の兵士だって殺してはいない。」
彼からすればほんの僅かに横切るのが見えただけなはず。なのにそれが自分の仲間だと分かったのか。
と言うかあのやけに鎧でガッチガッチに固めていた者たちは分かっていなかったのにこやつは私が佐巳月を狙っていた事に気付いた。
・・・どんな目をしている。
「ふむ、ただ味方とは言いづらいな。予想できるのは対策局か公安のどちらかか。まぁ公安ならここまで前に出て佐巳月を狙うこともないだろうし対策局だろう。」
アッサリと正体を看破されて固唾を飲む。
嶺藤は顎を触りながら少し困ったように眉を寄せた。
「であれば奥にあるものに気づいているか。むぅ、出来ればあの女には来て欲しくないのだがな。」
「ーーっ! 何故あれほど危険なものを兵器にしようと、、、!」
相手の言葉にエリスは今この奥に何が隠されている可能性が高いか思い出す。
そしてその問いに彼は申し訳なさそうに顔を曇らせた。
「君達からしたら言い訳にしか聞こえないと思うが実は今回の件は私達も把握していなかったんだ。」
彼の発言に今度は自分が驚くことになる。
・・・知らない? 同じ組織の人間が兵器を作っていることを知らないなんて言うことがあるのか?
流石に急に信じることはできない。
「胡志田は防衛大臣で国防に対して命令権はあるが反発がないわけではない。もし無理に動かせば公安が動き、裁判にかけられる可能性がある。あの狡猾な男はそんな面倒事を受けんだろう。」
「・・・それを避けるために一部の者だけで研究開発をしていたと言うのか?」
「理解が早くて助かる。私達は胡志田が不自然な動きをしていることに気づき極秘に調査を始めた。そして遂に全貌を把握し確保に乗り出したが、、、奴も私たちの動きに勘づき、この研究所を捨て雲隠れすることにしたようだ。」
嶺藤は上を見ながらどこか疲れたようにため息をつく。彼の話をすべて信じるならせっかく追い詰めた者にまんまと逃げられたならやるせなくもなるだろう。
「・・・む? ならもう奥には誰もいないのか?」
彼の言い方であれば既に胡志田はもうこの場をあとにしたのではないかと思ったが、彼はゆっくり首を振った。
「運が良いのか悪いのかグリーンパイソンのボス、カリアが足止めしている。だからまだチャンスはなくはない、、、が、まぁ無理だろうな。」
「・・・? まだ居るなら追いかければ良いだろう?」
「どうも奴の裏に厄介な組織がある。そいつらが迎えに来てれば出し抜かれるだろう。私達はこの研究を中断させられたならそこまで深追いはしない。」
「異常具は放置か?」
「それは君たちの仕事だろう。」
たしかにそれもそ、、、いや、自分のケツくらい拭いてくれないか?
完全に身内のやらかしたことなのに丸投げしないでもらいたい。
非難を込めた視線を送るがマスクをしているので伝わらんだろうな。
彼は振り向き背を向けて歩き出す。
「悪いがこれから色々と処理する事案が増えるんでな。防衛大臣がいなくなって軍もまた編成が変わるだろうし世間への説明もある。そうだな、君たちには迷惑がかからないようにしよう。」
「・・・それは脅しか?」
「さぁ、捉え方次第だな。」
ふん、サラリと脅しを混ぜてくるとは食えない男だ。
彼は足音を一切させることなく立ち去ろうとする。
そのまま見送ろうとしたが、私はまだ聞くことがあったと目を見開いた。
「まて!異常具は破壊不能で傷つけられないのだろう!? どうやって対処しろというのだ!」
嶺藤はエリスの言葉を聞いて振り返る。
何言ってるんだと不思議そうに口を開いた。
「・・・何を言っている。お前たちには『能無し』がいるだろう。あいつが触れながら壊せば特殊な力など関係ない。」
嶺藤は今度こそ背を向けて立ち去る。
エリスはその背を呆然と見つめ、なぜ気づかなかったのだと思わず口に手を当てた。
「・・・む、ならなぜ綾人はあんな危険なものを放置していたのだ?」
新たに生まれた疑念に苛まれながら、エリスは一度首を振って奥へと向かう。
・・・先ずは合流だ。




