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異世界少女と無能の現代異生活  作者: たんぽぽ3号


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魔法って便利だね


仕事が終われば即座に帰る。

残業はやれと言われればやるが自分からやることは絶対にしないが信条の俺は帰宅するべく歩き出した。


エリスはその後を小走りで付いてくる。



「もう終わりでいいのか?」


「うんうん、おわりおわり。後は仕事の報告をちゃちゃっと端末に記入すれば今日はおしまい。」



帆哭さんからもエリスがいるからか今日は上がっていいって言われてるしね。

お墨付きももらったんだし長居する理由は一つもない。


だが、ふと忘れてることがあるとエリスの方を見る。

彼女は首を傾げているが、スーツは所々裂けて白い肌に赤い血が滲んでいた。



・・・んー、このまま家に帰ったらまた変な目で見られそうだな。すでに手錠して帰ってるところを見られてるんだしこれ以上ご近所さんに悪印象を抱かれたくない。



「・・・病院行って傷診てもらうか、」


「ん? 別にこのくらい平気だが。」


「それと同じことを柊さんにも言ってみな。怖い思いができるから。」


「すみませんでした。」



顔を青くしてカタカタと震えながらやめてくれと言われる。


さてはこいつ一回怒られてるな?

てかあれか、病室グチャグチャにしたときだな多分。


普段優しい人ほど怒らせると怖いとはよく行ったもんだよなー。





ーーー




流石にいなかったよね。

あの人は忙しいから病院を開けることも珍しくない。


今日は傷の治療をしてもらうだけだったしわざわざ会う必要も無いからいいか。



「怪我を治すのには異能を使ったりしないのか?」


「重症者なら異能使ったりもするけど軽い怪我くらいなら使わねぇな。医療技術も発展はしてるし異能治療を嫌がる患者もいないわけじゃないしね。」



実際、異能というのは今の現代に馴染んではいるが、異能を使えない人たちや異能者の中には体の中をいじられるのは忌避する人達がいる。


ちなみに俺は怪我が治るならガンガン使ってほしい派だね。 効かないんだけどなぁ!!



「確かに入院をしているときに感じたが医療技術が大いに発展してるようだな。向こうでは魔法による治療が主になっていたからもっと雑だった」


「雑って言うと?」


「魔法使って終わりだ。」



その答えに驚きよりも呆れのほうが先に来た。

ホント便利だな魔法、医者とかいらないじゃん。



「ただ、重い病気や部位欠損程になると高位神官でなければ使えない秘術が必要になる。・・・相当金を積まないと治療してもらえないのが難点だな。」



なるほど、高位魔法は使い手が限られてるのか。

そりゃそうか、部位欠損とかホイホイ治ってたら厄介な問題とかも生まれそうだし戦争とかあったらとんでもなく長引きそうだよね。


雑談をしながら家に帰ってココアを2つ用意してあげる。

俺はもともと好きだったのだが、甘くて落ち着くのでエリスもハマったらしい。



「・・・ところでいろいろ説明してもらおうか?」



顎の下に手を組んでニッコリと圧のある笑顔でこちらを問い詰めるエリスさん。

俺は冷や汗を流しながら対面に座った。



「えっと、、、さっきの化け猫は『怪物(けもの)』と呼称してて、超常災害と共に現れた生物だ。」


「それは話に聞いた隕石が落ちてからか?」


「そうだね。連中は各地に落ちた隕石から這い上がって来たとされてて、地球外生命体だとか地底生物だとか考察がかわされてるけど未だに正体はわかってない。」



エリスは顎に手を当てて真剣に考えている。

異世界に帰る方法とは関係ないと思うからそんなに考える必要はないと思うけどね。



「怪物は球体に蜘蛛の足が付いた見た目をしているんだけど人を多く食らった怪物は俺達が恐怖する生物へと変貌を遂げる。」


「あの化け猫のような?」


「あぁ、過去に流行った怪談で騙り猫ってのがあってな、夕方に猫についていくと二度と出られない路地へ連れて行かれて食べられちゃうぞって話があってな。」


「真実だった?」


「いんや、それはただの親が子供に早く帰ってこいってだけの作り話。多分だけどその話を聞いた子供か大人かトラウマになった人間が怪物に喰われたからあの姿をしてたんだと思う。」



それだけ言うとエリスは顔を上げて目を見開く。

察しが良くて助かる。



「まさか、人の記憶を喰らうのか?」


「そう予想されてる。実際に喰われた人のトラウマになってた上司が怪物として現れる事象も確認されたからな。」



知能が高く、沢山の記憶を保有している人間たち。狙って食べるのは腹を満たすのが目的なのか、それとも記憶を奪うことが目的か。



「まぁ、そこら辺の詳細は専門家がいるから今度紹介するよ。・・・あの人、変な生き物大好きだからきっと気に入ってもらえるんじゃない?」


「待て、貴様の言う変な生き物は私のことか?」



そりゃそうでしょ、何だよ半精半人って属性詰め込み過ぎじゃない?



「まぁいい。あの化け猫が作っていた空間は異能なのか?」


「異能だね。俺の能力が発動することを考えてもそこは間違ってないと思う。」



エリスは俺の発言に眉をしかめて首を傾げていく。

疑問点はわかる。俺の異能は能無し、能力をくらわないことが異能ってはじめに説明してるしね。



「ならどうしてお前はあの空間に入れたんだ?」


「いやー、ほんと〜に俺の異能って中途半端でさ。俺の異能は発動された後の異能に関しては発動できなかったり搔き消したりできなくてさー。」



はっはっは、と一切光のない目で笑いながら涙がでてくる。何なんだろうね?異能を消すことも出来なければ治療を受けることもできない。下手したら異能持ちじゃない一般人より不便なんじゃね?



「・・・それなのに帆哭さんは敵のど真ん中に俺を放り込んだりするし、クソ班長はクソだし秋の野郎はすぐに俺に任せて逃げるわで散々だよ。唯一優しい先輩はいつも出張で帰ってこないし、、、(ブツブツブツブツ)」



一人で若干の負のオーラを漂わせながらブツブツと呟き出す。

眼の前に座るエリスはその姿にドン引きした表情を浮かべ、口の端を引きつらせながら話を戻しにかかる。



「つ、つまりあのように作られたあとの世界であれば入ることが可能というわけか?」


「猫による案内のサービスはなかったから探すのは大変だったけど可能だね。おそらく夕方になる事が鍵になって異界が開かれたから入るのはそこまで難しくなかった。猫の通り道を探すくらいの難易度だね。」



積んであったゴミを退かし、人が一人通れるかどうかの小さな崩れた塀をくぐるとその異界は存在した。

エリスが姿を消した時点で近くに異界が存在することは分かってたから後は頑張って探せば見つかるだろうと予測したら見事あたった形だ。


もし何も起きなければワンチャン店員さんにもバレずに猫に餌をあげてるおばあちゃんでもいるのかと思ってたからね。



「見つけたら後は戦闘してた誰かさんの戦闘音が聞こえる方に歩いていくだけ。本来ならあの迷路で迷子になると迷い続けるんだけどそこは俺の異能でセーフ。」



ぶっちゃけ今回の任務は俺とエリスで正解だな。

エリスは飛べるっぽいし(見てて軽く引いた)俺はくらわない。

怪物の異能が直接戦闘向きじゃなかったのも楽だったな、触れば後は斬り刻んで終わり(エリスが)。今回は俺が打ち殺したけどね。



「そういえばよく気づかれずに背後に回れたな。私も気配に一切気付けなかったぞ。」


「気配を消すのは得意だからな、つーか昔仕込まれたんだよ。」



思い出したくもない過去に蓋をしながら嫌そうに返す。その様子の俺にエリスは首を傾げるが特に気にしないことにしたようだ。



「まぁ、細かい話は後にするか。明日の予定は帆哭さんから聞いてる?」


「あぁ、私の魔法やら何やらを検証したいと言っていたな。貴様も参加するんだろう?」


「渋々ね。」



ぶっちゃけ参加したくないよ?

でもよく考えると大変な任務するよりは遥かに楽なんじゃないかと思いましてねぇ、はい。



「そうか、ならまた明日よろしく頼む。」


「あぁ、よろしく。」



最後に挨拶をしてお互いに部屋に戻る。

そして掛け布団を頭まで被った後、ふと、あることを思い出した。



・・・あれ? そういえば俺って怪物倒した後、処理班に連絡したんだっけ?



最後に不穏な忘れ物を思い出してドキドキして眠れない夜を過ごすのだった。

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