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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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パニック関連

圧倒的に危険な存在があらわれたので招き入れる、それであいつらが片付くなら自分にふりかかる危険も受け入れる

作者: よぎそーと
掲載日:2022/09/25

「来てるな……」

 たまたま窓の近くに出た。

 見つめる外には怪物がたむろしていた。

 それを見ても感情が動くこともなく。

 少年は怒鳴られてやれと命令された事をやりに歩いていく。



 林間学校の最中だった。

 山の中に来た中学生達は、二泊三日の旅行を楽しんでいた。

 一部を除いて。



 そんな中で、どこからともなく怪物があらわれた。

 宿舎の周りを取り囲むように集まったもの。

 人の姿をした、人手無い化け物。

 それが生徒達を囲んでいる。



 逃げようがなかった。

 周りは囲まれてる。

 外に出られない。

 出たら殺される。

 宿舎の中に避難できなかった、逃げ遅れた者達は化け物に殺された。



 警察に連絡をしたが、それも無駄だった。

 接近してきた警官隊は、全て化け物に殺された。

 ある一定の距離に入ったら、化け物達が動き出す。

 縄張りとでもいうのだろうか。

「ここからここまでに入ったら許さない」という領域を勝手に作ったようだ。



 ただ、幸いなことに宿舎の中には入ってこない。

 窓の外などに漂って中を覗いてくるが。

 それ以上の事はしない。

 やろうと思えば、ガラスも壁も簡単に破壊できるだけの力はあるのに。

 それは、警官が乗ってきたパトカーを残骸になるまで破壊した事で証明されている。



 建物の中に入らない。

 あるいは、入れない。

 どういうわけか化け物はそうしてる。

 理由は分からない。



 だが、理由は不明ながら、そういう行動をとってる。

 決して宿舎の中には入らない。

 だから、誰も外に出ない。

 出れば命にかかわる。



 そして、宿舎の扉や窓はあけない。

 意味があるのかどうかは分からないが、外と隔てるもの。

 それが無くなったらどう動くかわからない。

 ひょっとしたら、それで一気に中に入ってくるかもしれない。

 何も分からないから迂闊なことができなかった。



 だから生存者は宿舎の中に立てこもってる。

 外に通じるものを決して開かないように。



 そんな中で、窓の外を見つめてる少年は、命令されて動いていく。

 いつもの事だ。

 学校ではあれこれ命令されていた。

 奴隷扱いである。

 そんな状況に嫌気がさしてるが、対抗手段もないのでどうにもできないでいた。

 いっそ、殺してしまえば楽だとは思うのだが。

 刑法と警察が動くのでそれもままならないでいる。



 だが、この状況になって願いがかないそうになった。

 それを試すために、適当な道具を集める。

 なんでもよい、外と繋がる事ができれば。



 ありがたい事に、警戒や監視は無い。

 不審な事をしても咎められる事は無い。

 一応見回りなどはいるのだが、それらも数が足りてない。

 隙はたくさんある。



 その隙を突いて、少年は動いていく。

 金槌でもなんでも。

 ガラス窓を壊せるものがあれば。

「まあ、こんなんで本当に入ってくるか分からんか」

 そう思いつつも、手にした道具を窓に打ち込んでいく。

 上手くいくよう願いながら。



 窓が割れる。

 外にいた怪物が割れた窓を見つめる。

 近寄ってきて、そこから中に入る。

 それを見て、少年は他の窓も割っていく。

 開ける扉も次々に開いていく。

 外にいた怪物が宿舎内に侵入してくる。



 さらに少年は、宿舎内のあらゆる戸を開いていく。

 どこにでも怪物が入りこめるように。



 怪物はそんな少年の意図通りに動いていく。

 開いてる戸から中に入り、隠れていた者達に襲いかかる。

 宿舎の中は安全と思っていただけに、すぐに対処できたものはいない。

 そもそも、効果的な対処法などすぐに思いつくものではない。

 生存者がこの時点で死んでいく。



 そこかしこで悲鳴があがる。

 怪物に襲われていく。

 掴まれて引き裂かれていく。

 例外はない。



 最後の戸を開き、窓をたたき壊した少年も例外ではない。

 他の者が怪物に殺されていくように。

 少年も怪物に襲われる。

 あらゆる所に入り口をつくり、押し寄せてくる怪物に捕まる。



「あーあ」

 最後、少しだけ無念を抱えた少年は呟く。

「俺の手でやりたかったな」

 他人の、怪物の手では無く。

 自分の手で殺したかった。

 復讐をしたかった。

 そんな思いがこみ上げてくる。



 自分を掴む怪物の姿を見ながら。

 その怪物に引きちぎられながら。

 凄まじい痛みを感じながら。

 そこで意識を失った。

 痛みで意識が途切れたのか。

 急所を攻撃されて即死したのか。

 理由は分からない。



 だが、激痛が一瞬で終わったのは、ある意味幸せだったのだろう。

 すぐに死ぬ事も出来ず、痛い思いをしながら死んでいった他の者達に比べれば。



 あるいは。

 それは慈悲だったのかもしれない。

 宿舎に入ろうとした怪物に協力した少年への。

 せめて最後は苦しませないようにという、怪物の配慮だったのかも。

 ただの偶然の可能性の方がよっぽど高いだろうが。



 そして。

 更なる恩恵が少年に与えられた。

 それもまた、偶然でしかないかもしれないが。



 途切れた意識が戻る。

 目を開けて周りを見渡す。

 そこには、宿舎を襲った怪物が揃っていた。

「え?」

 頭が即座に混乱した。



 なんで怪物がいるのか。

 どうして襲ってこないのか。

 そもそも、なんで意識があるのか。

「俺、死んだんじゃ?」

 なのに、どうして生きてるのか?



 疑問はすぐにとけた。

 即座に理解した。

「ああ、そうなの」

 自分が何になったのが何故か分かった。

「俺もなったんだ」

 化け物に。

 襲いかかっていた怪物に。



 そう分かった瞬間に高揚感をおぼえた。

 最高の気分だった。

「やった」

 これなら何でもできると思った。

 だから動き出す。

 やりたい事をするために。



 動き出す。

 やりたい事をするために。

 まずは学校に。

 学校の関係者達が集まってるところに。

 大量の死者を出して、合同葬儀をしてる場に。

 そこにいる関係者を殺すために。



「本人はどうにもできなかったからね」

 だが、身内の人間は生きている。

 同じ血を持つ者達が生き残っている。

 元凶を生み出した者達と、その兄弟姉妹が。

 そんな連中が生きてる事など、許せるわけがない。

 生かしておけば、同じ事をどこかで繰り返すに決まってる。

 同じ因子を持ってる者達なのだから。



 だから処分をしにいく。

 二度と同じ事が起こらないように。

 原因になる者達を残らず処分にしにいこうと。

「俺みたいなのは、俺で終わらせないとねー」

 軽い口調でそういって、少年は向かう。

 都合良く集まってる者達の所に。

 探す手間が省けて丁度良い。

「楽しみだねー」

 これから起こる事が。

 これから起こす事が。

 これから作る、平穏な世界が。



 その日。

 不可解な惨殺事件の被害者の合同葬儀場。

 そこで同じく不可解な大量殺戮が行われた。

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こっちでも何か書いてる https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/487805203.html
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