モルクとキリサキ
「俺はアワロと別れた後アワロがどこに行ったかはわかりませんが俺の予想だと1年生訓練所に向かっていたと思う。やつはやつなりに自分の仕事をこなしていたから」
「やつはやつなりに自分の仕事をしていた、か。確かにそうだのう。やつはやつなりに不器用ながら真面目じゃったのう」
学園長が顎髭を撫でながら俺に言うとアリサ先輩が
「そうか。学園長室に来てもらってすまなかったがそれだけが聞きたかった。後内通者の件は内密のこととショウもいつ襲われるかもしれんから気をつけること。わかったら教室に戻っても構わないわ」
「わかりました。それでは失礼しました」
俺はアリサ先輩に言われ学園長室から出ようとするとペロちゃんが
「えー。もういくのショウちゃん。なら私も」
「だめだ。まだペーロスには話がある。残ってもらうわ」
アリサ先輩がペロちゃんの制服の襟首を掴んでペロちゃんが大人しく掴まれている間に学園長室から出ると「いやぁぁぁぁ」という声だけ最後に聞こえた。あれわざとだろ絶対。
俺は学園長から出た後教室に戻りいつも通り授業を適当に受けた後、昼食はカレーパンを購買で買い、ギュウと昼飯を食う。午後の授業も適当に流して帰りホーム、先生が教室にはいると
「帰りホームを始める。まず朝に言った遠足についての支度だが特例として学園の外に出ることを認める。土日の2日間だけな。ただし1人で行動はしないこと。最低でも2人で行動するように。わかったか?」
先生が俺たちに言う。確かに最近みんなは知らないだろうが物騒だからな。2人で行動した方がいいだろうな。最低でも。まぁ俺とギュウくらいの強さであれば別に問題はないと思うが。
先生がそれだけ言うと帰りホームが終わり、俺は今日はまっすぐ寮の部屋に戻って休もうかと考えながら廊下に出ようとすると廊下でははやくもキリさんがなぜか待っていた。
「・・・何かようか?キリさん」
「用がなければこないですよ。ショウさん。ショウさんは今週の土曜日の予定はありますか?」
「いやないけど。どうした?」
俺がキリさんに言うとキリさんが「じゃあ」と言った後に遠くからでかい声で
「ちょっとお待ちになってー!」
うわ。びっくりした。
でかい声で息を少しきらしながらモルクが俺とキリさんの話に割ってはいる。
「あら。モルク。何かご用?私は今大事な話をしてるんだけど?」
「私もショウに用があるんですわ」
「へー。お部屋で話せばいいじゃない。あなた達同室なんだから」
「い、今じゃないとダメなんですわ!ショウ!」
モルクは俺に指を突き立てながら俺に宣言するかのように言った。




