アモウの異能
「暗黒企業はのう。職がないものに声をかけるんじゃ。スカウトマンのような感じかのう。クルガは就活中に暗黒企業のものに声をかけられてのう。やつは暗黒企業に誘われたんじゃ。やつはちょうど就活しながら自分のような職なしの子達の企業も優先的に探すようにしていたんじゃ」
就活しながら他の奴らの面倒を見るって面倒見が良すぎじゃないか?
「それに多分クルガも限界じゃったんじゃよ。元同期による妨害がのう。それを我慢していた時期に暗黒企業の奴らはクルガを誘い、殺人を促した後にこの学園の生徒をさらうことができれば暗黒企業の末端に入れてやると。大方そのような誘いじゃったんじゃろうな。そしてそれに失敗したやつが始末された。それだけの話じゃよ。わしからすればはらわたがにえくりかえるくらいには暗黒企業の奴らが憎いがのう。じゃがやつを殺しに来たやつを見てわしは驚いた」
学園長が今回、おそらくだろうがコムとコウロ先輩をさらったやつを見て驚いたらしい。一体何に驚くというんだ?敵は暗黒企業のやつだろ?
「クルガを殺した暗黒企業の男なんじゃがのう。うちの卒業生、のようなやつなんじゃ」
卒業生のようなやつ?何だその曖昧な表現は?
「学園長。なんですかその曖昧な表現は」
ギュウが学園長に言うと学園長は一度咳き込んだ後に
「すまんのう。あまり知られたくはないんじゃがお前さんらに疑いがいく以上は真実というかそやつのことも教えねばならんからのう。曖昧な表現には理由があってのう。そやつは在学中に死んでしまったはずの生徒じゃったんじゃ」
死んでしまった?なんだそれ。異能で死体を動かすやつとかきいたことないし死体が動くなんて話聞いたこともない。
「正確には死んだと思われる生徒じゃ。遺体が見つからなんだから行方不明ということにはしてあるがわしらの中ではおそらく死んだと推測しておった男が昨日現れたんじゃ。そやつの名はアモウ・グルス。異能はAランクを超えるSランク異能じゃ」
Sランク!?そこまで評価の高い生徒がいたのか。Aランクより上の異能なんて初めて聞いたぞ。
「驚くのも無理はない。Sランク異能は世界に今のところ10人いるかいないかくらいだからのう。それでアモウの異能なんじゃが空間じゃ」
空間?え?空間?
「空間?なんの?」
俺は思わず学園長に聞きかえすと
「アモウは空間を作りだしたり空間移動できたりするんじゃ。まさに最高ランクの異能じゃ」




