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第九話 『やりすぎだって、ミリエルさん!』


「ね、ねえ清原君、何が起きているの?」


 葉山は不安そうに尋ねてくる。

 説明は一応しようとは思うけれど、クルトの姿が見えないのならば信憑性が無いと思う。

 まあ、方法がない訳じゃない。

 今クルトが、『僕の存在は、キヨハラ様かミリエル様が許可した人物しか見ることが出来ないようになっているのさ。』と言っていたように、俺が許可を出せばいいのではないだろうか。

 ミリエルさんやクルトのことを、そうべらべらと話すのはどうかとは思うけれど、今回限りだ。


「クルト、葉山にもお前の存在が認識出来るようにしてくれ。」

『了解したのさ。』


 第三者視点から見れば、何もないところに話しかけているヤバいやつだと思われること受けあいだ。

 だが、そう思われないためには、何もないところに話しかけないといけない。

 まさにジレンマと言えるな。

 何となくそんな阿保らしいことを思っていると、葉山が急に「ひゃっ、」と驚いたような声を上げた後、


「そ、そこに何か猿みたいな妖精がいるように見えるんだけど。」

『やあやあ初めまして、オイラはミリエル様の従者の一人であるクルトさ。よろしく。』

「しゃ、しゃべった!?」


 この数分間で二つも、地球では起こりえないまさにファンタジックな出来事を見せられた葉山は、数秒事態を飲み込もうとした後、現実逃避気味にこう言った。


「よろしくね、クルト君。」

『なんか葉山様が何かを悟ったかの表情をオイラに向けているのさ。』


 笑顔で言い切った葉山だが、俺もその顔から若干理解からの諦めを感じられる。

 というか、クルトの奴何で葉山の名前知ってんだよ。


(やっぱり、俺の思考読まれてんだよなぁ。)


 俺も、何となくため息をついてしまった。



........................................................


............................


............



『そこの角を右に曲がると、ハイオークの出現範囲になっているのさ。』


 言われた方向を見ると、その瞬間に魔物がダンジョンの壁から生まれてくるところだった。


《次元転移を発動します。》


 俺は、「次元転移」を使ってハイオークの後ろに回り込み、首筋を俺の長剣で切り裂く。

 返り血を少し浴びながらも、俺は葉山のところへ戻っていく。


「大丈夫?」

「まあ、うまい具合に奇襲をかけれたから、怪我は無いかな。」

「そう。」

『じゃあ、次の階層に進むのさ。』


 そう軽く言ってのけるクルトに、俺は一つため息をついてから言ってやる。


「このダンジョンってこんなんだったっけ?」

『ミリエル様は、「ちょっと難易度を上げとこうかな」みたいなことを言っていたのさ。」

「おいおいおいおい、」


 俺は周りの状態や、ここまでの道のりを改めて思い返してから叫ぶ。


「この難易度の上がり方は、ちょっとなんてもんじゃないだろ。見ろよあのハイオークを。」


 俺は、体の半分が塵となって消えているハイオークを指差して言う。

 現実で見るとめっちゃCGみたいだな、と思いつつも、今更当たり前のようにモンスターが塵になって消えていることには触れない。

 それよりも、今はこのダンジョンについてだ。

 昨日までは、肉がほとんど付いていないようなゴブリンが相手だったのに対して、今や全身を相撲取りのように筋肉で覆い、身長が大体二メートル強ほどはあるハイオークが普通に出現しているのだ。

 難易度の上がり方がおかしい。


『キヨハラ様のレベリングのため、ミリエル様が親切心で用意してくれたのさ。』


 いや、確かにちょうどいい相手ではあるし、レベルも今や14まで上がっている。

 だが、それと難易度が釣り合っていない。

 今は一階層までしか来てないし、昨日だって一階層しかなかった。

 だが、確かに昨日ミリエルさんはダンジョンを五十階層まで広げると言ったのだ。

 地球の知識では、ダンジョンとは下に行けば行くほど難易度が上がるのはお約束だし、クルトもさっきそう言っていた。


「私にはこのダンジョン厳しいかも。」


 そう言ってはいるものの、何気に葉山は誇張抜きで圧倒的に強かった。

 一回俺が二体のハイオークの連携により、背後を取れず苦戦していたところ、葉山がパンチ一発でそのハイオークの一体を吹き飛ばしたのだ。

 あの時、俺は一瞬何が起きたのか理解できずにフリーズしてしまった。

 あの細い腕のどこからそんなパワーが来ているのか不思議でならない。

 やはり、魔法はどこまで行っても理解できない。


『では、このダンジョンの案内を再開するのさ。』


 そう言ったクルトへ、俺と葉山は言う。


「おいクルト、俺たちは今から用事があるから、ダンジョンの案内は午後まで待ってくれないか?」

「それに、私たち少し疲れてきたの。」


 まあ、「次元転移」で過去に戻ろうと思えば戻れるのだが、これから騎士団長との面会が控えている身としては、体力をここで消耗するのは避けたい。

 まあ、半分は建前だけど。


『わ、分かったのさ。』


 もうちょった案内をしたそうだったが、クルトは渋々ながらに俺の提案を飲んでくれた。

 幸せを掴むためにはある程度の力は必要になるとはいえ、死にかけてまで強くなりたいわけではないのだ。

 俺は葉山の手を握ると、このダンジョンの入り口に転移を発動させた。




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