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第八話 『俺のプライバシー?』


 「おっ、」


 葉山と長々と歩きながら話している間に、俺たちは何となくあのダンジョンに到着していた。

 外見上に違いはないけれど、ミリエルさん曰く五十階層までダンジョンが拡張されているらしい。

 昨日は体感で数時間程ダンジョン周回をしていたことによる疲労で後回しにしていたが、下層の下見ぐらいはこの三十分でやっておこうと思った。

 まあ、女子と二人で行くところがダンジョンとはなんとも味気ないが、この世界ではダンジョンくらいしか行くところが無いので仕方はない。


「ここって昨日のダンジョンのところじゃん。もしかして今から潜る予定だったりする?」

「まあね。」


 俺は昨日最初の世界で釜瀬から受けた傷によりクラスメイトとは別行動をしていたが、基本的に「召喚、鑑定、ダンジョン」はどの世界でも基本起こるんだな。


「別にいいけど、三十分で潜るのは少し厳しいんじゃないかな。」


 葉山の考えは普通は正しい。

 俺だって普通に探索をすれば三十分では一周することが限界だろう。

 だが、俺には「次元転移」という例外がある。

 見せた方が早いと思って、俺はスキルを葉山に見せる。


「次元転移」


《次元転移を発動します。》


 いつも通り天の声が聞こえたと思ったら、俺の立ち位置がダンジョンの入り口からダンジョンの奥の方に転移していた。


「えっ、」


 葉山が驚いたように口をポカーンと開けているので、俺が少し解説をする。


「俺の固有スキルで、「次元転移」っていうのがあるんだよ。それを使えば、どこで〇ドアみたいに言ったことのある所ならどこにでも転移出来るんだよ。」

「どこで〇ドアって全然隠せてないじゃん。」


 驚きながらもツッコミを入れてくる葉山。

 そして、数秒冷静に状況をも見込んだ後、一つの結論が出たらしい。


「魔法パワーって何でもありだよね。」

「そうだな。」


 笑いながらも、俺はその意見には全面的に納得してしまう。

 今更だが、この世界には地球の技術をもってしても理解できないであろう事象が無数にある。

 特に、ミリエルさんなんかがいい例だろう。

 何もないところにいきなりダンジョンを作るなんて、質量保存の法則とかに喧嘩売っているとしか考えられない。

 まあ、貯めていたエネルギーがうんたらかんたら言っていたから、この世界なりの物理法則はあるのだろうけれど。


「そういえば、葉山はどんなスキルを持っているんだ?」

「えっ、」

「これからダンジョンに潜るのなら、お互いのスキルを知っておくのは大事かなと思ってさ。まあ、言いたくないいのなら強制はしないけれども。」


 本音は、興味本位で聞いただけだ。

 流石に、葉山が釜瀬みたいなスキルを持っているとは思わないから。


「う~~ん。」


 葉山は数秒考えた後、


「内緒。」

「そっか。」


 まあ、俺と葉山の関係は濃いわけでは無い。

 固有スキルなんて、この世界では場合によっては命に関わる程大事な個人情報だ。

 そう簡単に他人に教える訳ないか。

 そう考えたら、過去に戻れるからと言って「次元転移」を話してしまっていた俺は、けっこう危ない橋を現在進行形で渡っているな。

 それに、このダンジョンはそこまで難易度は高くないので、お互いのスキルなんて知っておかなくてもそこまで問題はない。

 葉山に伝えた内容は、あくまで建前でしかないからな。


「じゃあ、行こうか。」

「うん。」


 そう言って、俺たちはダンジョンに入ろうとした。

 その時、


『やあやあ、キヨハラ様。ようこそ、新しくなったミリエールダンジョンへ!』

「ほえっ、」


 俺の耳に聞きなれない男の声が聞こえてきた。


「どうしたの?」


 何が起きたのかを葉山も聞いてくるが、俺も状況が飲み込めていないので何も答えられない。


『オイラは、ミリエル様の従者の一人であるクルトさ。』


 え、ミリエルさんから送られてきたの?

 そういえば、最後の方にミリエルさんの従者らしき小人が俺の方に飛んできてたっけ。

 あの時は、長時間ダンジョンに潜り続けるという慣れないことをしたせいで、疲労によりすぐさま寝てしまった。

 が、地球では絶対に起こりえない摩訶不思議な現象を今まで忘れていたとは、なんとも不甲斐ない。

 肩を見ると、拳ぐらいの小人が、いや何となく妖精と言った方がしっくり来るな。

 拳くらいの妖精が普通に座っていた。


『ミリエル様には、キヨハラ様が過去に転移したり、ダンジョンに潜ろうとしたら報告をするようにと命令されているのさ。それで、どうせならリニューアルされたダンジョンをキヨハラ様に紹介しといてと言われたのさ。』

 

 よくしゃべるな。

 というか、クルトの声は聞こえるというより、伝わってくると言った方が正しいかもしれない。

 なにせ、クルトの声は耳から聞こえるというより脳内に直接伝わってくるのだ。

 だが、こいつの正体は大体理解できた。

 一応、葉山を安心させるために今起きたことを説明しておこうか。

 というか、全然ダンジョンに潜れない。


「葉山、こいつは昨日俺がこのダンジョンを潜った時に出会ったこのダンジョンの管理者の従者だよ。」


 俺は、肩に乗るクルトを指さしながら言う。

 だが、なるべく簡潔な説明を心掛けたつもりだったが、葉山はあまり理解できないような感じだった。


「つまり、」

「あ、あの清原君、こいつってどういう意味?もしかしてそこに誰かいるの?」

「ん?」


 な~んか会話が噛み合って無い気がするのは俺だけか?


『オイラの存在は、キヨハラ様かミリエル様が許可した人物しか見ることが出来ないようになっているのさ。』


 ラノベとかではよくそういうキャラクターは居るけれど、現実で見ると茶番にしか見えない。

 あと、逆に俺とクルトの話が噛み合い過ぎている気がするんだよな。

 もしかしてだけど、


『そうさ、オイラキヨハラ様の思考を読めるのさ。』


 やっぱりな。


「は~~ぁ」


 俺は一度深いため息をついてから、改めて思う。


(俺のプライバシーは?)


 意味が無いとはわかっていながらも、俺はどうしても心の中でミリエルさんに文句を言わずにはいられないのだった。 

「面白かった!」


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