第三十四話 『最後の協力者』
《次元転移を発動します》
「よしっ、」
俺は、リトライラと共に本来俺が居るべき世界線へと帰って来た。
リトライラの今の心情は分からないが、俺が踏み込まなくてももうリトライラは大丈夫だろう。
なんと言うか、目に活力がある気がする。
「兄さんは、このままダンジョンに潜るの?」
「そうだな。あと六十くらいはレベルを上げたいんだ。」
ベヒモスのお陰で、俺の今のレベルは144だ。
あの冥皇と戦うには、圧倒的に心もとない。
ステータス
Lv.144
名前 キヨハラ ショウスケ
年齢 17歳
職業 ・配達員
・学徒
・忍耐者
・世界を跨ぐ者
・生還者
HP 8230/8230
MP 13340/13290
SP 10230/10300
固有スキル
・次元転移
・略奪
スキル
・偽装
・危機感知
・加速
・経験値増加
・反射
・同調
・環境適合
数日前とは文字通り桁違いの実力手に入れられた。
MPとSPに関しては、既に一万の大台に乗っている。
スキルなんて、当初は四つしか持っていなかったのに今や九つもある。
クルトでも、これほどのステータスを見たことは無いらしい。
「六十レベルって、簡単に上げられるレベルじゃないよ。」
本当にそれは同感だ。
俺と葉山も、固有スキル、クルト、経験値増加が無かったら、たった数日間でここまでレベルを上げることは難しかっただろう。
「それに、兄さんは既に世界でも指折りの実力者と言っても差し支えないくらいの実力はあると思うな。何でそんなにレベルが必要なの?」
もっともな疑問だ。
だが、今の俺じゃ足りない。
クルト、葉山、俺が協力したとしても、数日前に見た冥皇に勝てるビジョンが思い浮かばない。
あの時冥皇が俺に仕掛けてきた攻撃はたったの一回だというのに、だ。
生物としての本能が、冥皇を拒絶している。
「ああ、今のままじゃ足りない。俺は今、冥皇と戦えるレベルの力が必要だから。」
「ゴホッ、ゴホッ!」
リトライラが俺の言葉に驚いて何かを言おうとしたらしいけれど、驚きすぎてむせてしまった。
「大丈夫か、リトライラ?」
「い、いや、驚きすぎただけだ、よ。」
そう言って、リトライラは数回深呼吸をした後物凄い勢いで俺を問い詰めだした。
「それよりも、今冥皇って言ったのかい、あの三皇の一人の!?」
「ま、まあな。」
リトライラのからの気迫が尋常じゃない。
まあ、この世界の住民からしたらとんでもないことなんだろうけれども。
「分かっているの兄さん!三皇っていうのは、文字通り僕達とは次元が違う存在なんだよ!」
「わ、分かってるって。」
「僕も一度知皇様と会ったことが有るから言うけど、彼との差っていうのはレベルだけの単純な差じゃないんだよ。」
リトライラが冥皇と肩を並べる知皇と会ったことがあるというのも、十分ビックニュースだ。
だが、それ以上に今リトライラはとても重要なことを言っている。
「どういうことなんだ、この世界じゃ人と人の実力差はレベルで決まるんじゃないのか?」
「いいかい兄さん、三皇っていう称号は別に人々が勝手に呼んでいる称号じゃないんだよ。三皇に選ばれた人達には、それぞれに特別ば職業が与えられるんだ。その職業は、一説には世界に干渉出来る力ともいわれているんだ。」
世界に干渉出来るって、そんな馬鹿げた能力が存在するのか?
いや、俺の「生還者」や「世界を跨ぐ者」もそういえばシステムの「***」ってところに干渉出来るんだったっけ。
もしかしたら、根本的なところは同じなのかもな。
まあ、俺ではどうこの能力を活かせば良いのかは全く分からないから、無いのに等しいけれど。
「まあ、冥皇と戦うことがいかに無謀かを伝えたいのかはよく分かった。それでも、俺はどうしても冥皇と戦う必要があるんだよ。」
「それはどうして?」
俺は、リトライラにこの世界に召喚されてからの事情を話した。
俺が元異世界人で勇者として召喚されたことから、その一緒に召喚された葉山や小紋が冥皇に洗脳されそうだ、ということ等々。
「そんなことがあったんだ。というか、兄さんってあのヴィルフェンス王国が召喚したっていう勇者だったんだね。」
まあ、出会ってまだ数分しか経っていないリトライラに話す様な内容の話だったかと聞かれれば、正直自分でも話すべきだったかわ分からない。
でも、せっかく心を開いてくれたリトライラに、重要なことを隠すことは何だか気が引けた。
「なるほどね。確かに冥皇と戦わなければならない状況だ。兄さんも災難だったね。」
「ああ、結構キツかったな。」
俺は、ここ数日間の慣れないダンジョン生活に思いを巡らせる。
本当に、本当に濃い毎日だった。
俺の気付かない内に、俺の精神は結構なストレスを抱えていたのかもしれない。
葉山やクルトが居てくれなかったら、きっと俺は今日までこの世界で頑張ってこれなかった。
仲間とでも言ったらいいのだろうか。
二人の存在というのは、肉体的というよりも精神的に大きな支えになっているな。
「兄さんがこんなに危うい状況だというのなら、僕も人肌脱ぐしかないね。」
そう言って、リトライラは俺に野球ボール程の大きさの玉を渡してきたのだった。
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