第十八話 『加速しろ!』
「おぉぉるあぁぁぁー---!」
無手の佐々木原が、俺に向かって猛スピードで迫ってくる。
ただの突進、という訳では無さそうだ。
俺は、「次元転移」で佐々木原の後ろに転移する。
《次元転移を発動します》
そして、俺は様子見で佐々木原の背に向けて蹴りを放とうとした。
しかし、
「読めていたよ、清原!」
そう言った佐々木原は、既に彼の右手に台風の様に渦巻く風をまとわせて、俺にその風を放ってきた。
クラスメートの何人かの女子が、佐々木原に黄色の声援を送っている。
「っく、」
俺は、その風圧に押されてリングの後方まで飛ばされた。
流石魔法パワー、体重が六十キロはある俺の体を軽々と飛ばしやがった。
俺は何とか受け身を取るが、なにせ今まで直接攻撃を受けてこなかった弊害か、あまり上手く受け身を取れずに左手を少し捻った。
「ボーっとしてていいのかっ!」
俺が左手の状態を確認していたほんの数瞬の内に、佐々木原は俺の眼前に迫って来ていた。
そして、佐々木原の前蹴りが俺の頭部を捉えかけたその瞬間、
《次元転移を発動します》
俺は、一旦四次元間を転移してその攻撃を避けた。
「ふぅ、ヤバかった。」
流石に、過去に戻れば佐々木原は追っては来れまい。
十秒にも満たないくらいの戦闘時間だっただろうけれど、俺は結構佐々木原に追い込まれていたな。
一応周囲の安全を確認してから、俺は考察を始める。
まず、佐々木原は風の弾丸を使っていた。
だけど、俺たちがゲット出来ているスキルは基本的に地球での経験が元になっているはずだ。
それに、クルトと話していた時に思ったんだが、この世界のスキルというのは魔法というよりも超能力に近いと思う。
確かにMPとして魔力は存在しているのだろうが、某魔法学校で出てくる様な煌びやかなスキルは、クルト曰くあまりこの世界のスキルには無いらしい。
つまり、十中八九佐々木原は魔法を創造する、もしくは習得出来る様なスキルを持っていると見て間違いないはずだ。
そして、きっと佐々木原は風の弾丸の他にも、未来予知、もしくは俺の危機感知の様な魔法も習得しているはずだ。
なにせ、俺が佐々木原の背後に転移した時には既にあの風の魔法を練っていたおだから。
「よし、行くか。」
まあ、これ以上は推測の域を出ない妄想にしかならないと思うし。
俺は、次元転移で模擬戦が始まる数秒前に転移した。
《次元転移を発動します》
天の声が聞こえた瞬間、俺の視界は不自然なく切り替わる。
「では、試合開始!」
俺は、前回と同じ様に佐々木原が突進してくると思って構えた。
しかし、佐々木原は何かを怪しんでいるのか、慎重に一歩ずつ近づいてくる。
(あ、あれぇ、釜瀬は二周目も同じ様な行動を取っていたんだけどな。)
だが、あっちが仕掛けてこないのなら、こちらから仕掛けるだけだ。
俺は、ギャラリーであるクラスメート達から佐々木原に向けられる声援を極力無視しながら、まっすぐ佐々木原に向かって突進をする。
そして、前一、二メートルくらいまで近づいたら、
《次元転移を発動します》
四次元間を転移して、突進し始めた瞬間に戻る。
そして、三回程その行動を繰り返した時、天の声が聞こえてきた。
《加速を発動しますか?Yes/No》
「Yesだ!」
《加速を発動します。》
俺は、作業の様に「加速」を連続使用し続ける。
時に、俺も「世界を跨ぐ者」の情報が流れてきた時に知ったのだけれど、たとえ世界間を転移しようとも俺の運動エネルギーは維持さらるらしい。
分かりやすく説明すると、もし俺が時速三十キロメートルで走っている状況で「次元転移」を使ったとしよう。
その場合、俺は転移した先でも時速三十キロメートルで走ったままということだ。
そのことを知ったした時、俺は気づいた。
「次元転移」って物凄く「加速」と相性が良いのではないだろうか、と。
《加速を発動しますか?Yes/No》
「Yesだ!」
《加速を発動します。》
今俺は、使用回数が二桁に上る程連続で「加速」を使用した状態だ。
「加速」
長時間走れば走る程、走る速さを加速する。
尚、その時の全力で走っていると自身が認識しなければこのスキルは使用出来ない。
効果は実にシンプルだ。
だが、その効果は実に絶大だ。
俺は、佐々木原との僅か数メートルの距離を何度も過去に戻ることで走り続けた。
そのお陰で、今の俺のは多分地球の自動車にも勝るとも劣らない程の速度が出ているはずだ。
この速度で俺が佐々木原にぶつかれば、佐々木原は死にはしないだろうが大ダメージを受けることは確実だろう。
そんな構攻撃を元だがクラスメートにぶつける気が引ける。
まあ、実行するのだけども。
「いくぞ、佐々木原!」
俺は、俺の体を時速百キロメートルはゆうに超す程の速度で佐々木原にタックルを食らわせる。
いくら危機感知の様なことが出来たとしても、感知出来るだけだ。
佐々木原は、きっと今までの人生で一番大きなであろう運動エネルギーをモロに食らい、ほとんど受け身も取れずに後方へ吹っ飛んだ。
なんか、まるで漫画みたいに回転をしながら、ドサッ、ドサッっと数回地面をバウンドした後、気を失ったのか白目を剥いて倒れた。
当然、リングの外に出ている。
きっと、佐々木原のHPの八割くらい削ったと思う。
まあ、こっちも軽くないダメージを受けたけども。
「「「「「・・・・・・」」」」」
場に静寂が満ちる。
ペテラウスさんも口を開けて驚いている。
まさに、ポカーンという言葉が似合う。
まあ、クルトは相変わらず葉山と話しててこっちは見ていないっぽいけれど。
(まあ、あいつらにとっては一秒にも満たない内の出来事だったからな。)
十秒程経った後、ようやくペテラウスさんが驚きから立ち直って声を上げた。
「しょ、勝者キヨハラショウスケ君!」
その声で我に返ったのか、クラスメート達もハッとして俺の方を向いた。
慣れない視線を一気に浴びせられたからか、なんか居心地が悪い。
俺は、この空気から逃れようと思って気絶した佐々木原のの回収に向かった。
その時、
『たたたた、大変なのさー---!?』
クルトが俺に向かって猛スピードで跳んできた。
危うく倒れそうになったことを文句を言ってやろうとしたが、クルトの目が物凄く動揺を表していたことで、一旦は踏み止まる。
クルトがこんなに焦るなんて今までに無かったのだし。
まあ、そこまで長い付き合いという訳でもないけれど。
(おい、どうしたんだよクルト?)
『は、ハヤマ様が大変なのさ!』
(は、葉山がどうにかしたのか!?)
葉山は今も普通に友人と話始めているし、別段変わった点は見受けられないんだけれど。
『じ、実はなのさ、』
(実は?)
クルトは自身の思考を整理する様に数瞬黙考した後、言い放った。
『ハヤマ様が何者かに洗脳されているのさ!』
「は!?」
俺は、思わず変な声に出してしまった。
お陰様で、3000pvを越せました。
まだまだ少ないですが、作者としてはもう感謝が止まりません!
いつもご愛読して下さり、誠にありがとうございます!
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