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第十話 『つ、疲れたぁ~~』


「ふぅ、つ、疲れたぁ~~。」


 俺は地上に戻ってきたことで、周囲への警戒を一旦緩めた。

 このダンジョンが進化しすぎていて、もう易々と攻略出来るレベルを超えている。

 一瞬でも気を緩めていたらモンスターに殺される可能性があった。


「そうだね、私も今までで一番疲れたよー-。」


 笑いながらも、そう言いながら地面にバタッと倒れる葉山。

 葉山も、積極的にモンスターと戦っていたわけじゃないけれど、いきなりいつ死んでもおかしくない環境に置かれたことで精神的に疲れたんだと思う。

 なんか、葉山には申し訳ないことしたな。

 とはいっても、謝る程の余裕を俺は今持って無いんだよな。

 俺も、同じように葉山の隣にバタッと倒れた。

 これから騎士団長との面会があるというのに、俺たちは土の上でただただボーっと空を眺めていた。


(よく生きてたな、俺。)


 ダンジョン内では切羽詰まっていたため落ち着いて思考する暇がなかったけれども冷静に考えたら、ハイオークの繰り出す攻撃は俺に深手を負わせるに十分な威力があった。

 食らいかけた攻撃を「反射」がカバーしてくれなければ、俺はきっと死んでいただろう。

 もし俺の意識外から攻撃を出来るようなモンスターがいれば、「反射」が発動せずに俺は殺されていたはずだ。

 何で「次元転移」で安全だった時間に転移しなかったのかと、さっきまでの俺に小一時間程問い詰めたい。

 まあ、ダンジョンに潜り続けたことでかなりの報酬があったのも確かだけれども。  


「ステータス」


 そう唱えると、いつも通り目の前に目の前に薄い板のようなものが現れた。


ステータス

Lv.25

名前  キヨハラ ショウスケ

年齢  17歳

職業  未設定

HP  980/980

MP  1320/1510

SP  950/1100

固有スキル

・次元転移

・略奪

スキル

・偽装

・危機感知

・加速

・経験値増加

・反射


 ステータスが皆今までの比じゃないくらいに伸びてる。

 勿論、今回は倒したモンスターの質が昨日までと比べ物にならない位強かったという要素もある。

 だが、昨日数時間かけてレベルを十上げたのにも関わらず、今日はたった二十分くらいでレベルが十二も上がっている

 きっと、スキルの「経験値増加」の効果だろう。

 やっぱり初回クリアボーナスの「反射」と「経験値増加」は、反則級のスキルだろう。


「ん?」


 なんか、妙に横から視線を感じる。

 視線を辿って寝そべった状態で振り向くと、こっちを見ている葉山と目が合った。


「どうしたんだ?」


 俺がそう聞くと、葉山は焦った様に謝罪をし出した。


「あっ、ごめんなさい、勝手にスキルを覗いちゃって。」

「ほえっ、」

「私はスキルを見せるのを断ったのに、清原君のをつい見ちゃって。」

「い、いやそんなことは後でいいんだ。それよりも葉山、お前俺の前にあるステータスボードが見えるのか?」


 なんか葉山が、あたかも俺のステータスが見えることが前提で話を進めるので、俺は思わず話を中断してしまった。


「え、どういう意味?」

「言葉通りだよ。俺には葉山とかクラスメートのステータスなんて見えないんだ。だから、葉山は俺のステータスを見えているのかが気になったんだよ。」


 そう言うと、葉山は俺の返答に少し驚いた様な表情を見せた後、合点がいったかのように頷き、


「ああ、そういえば私清原君に話してなかったっけ。」


 そう前置きした後、葉山は話し出した。


「それはね、私のスキルのお陰なんだよ。私の、「情報収集」っていうスキルは他者が隠せていると思っているものを可視化して見ることが出来るんだ。」


 なるほど、それが葉山の固有スキルか。

 「次元転移」や「略奪」程では無いけど、かなり強力なスキルだな。

 スパイとかにむいてそうだ。

 だが、あの地球で何をしたらそんなスキルをゲット出来るんだ?

 まあ、考えたところで答えがわかる疑問じゃないけどね。


「よしっ、そろそろみんなのところに行くか。」


 俺は疲労の溜まった体に鞭を打って、地面から勢いよく立ち上がった。


「そうだよね。こんなとこでずっと倒れてる訳にもいかないもんね。」


 俺と同じ様に、葉山も「よいしょっ、」と言いながらなんとか立ち上がった。

 そして、うー-んと両手を上げて体をほぐした。


『全く、あの程度のダンジョンで音を上げるなんて情けないのさ。』

「っわっと!」


 いきなり首元から声がしたため、俺はまた大声を上げてしまった。

 というか、ここはダンジョン内じゃないのになんでいるんだよ。


「クルト、お前何でここにいるんだよ。」


 ため息交じりにそう聞くと、クルトは若干ふくれっ面で答えた。


『別に、オイラは元からミリエル様に現世での活動をメインで命令されているから、話しかけるくらい訳ないのさ。』


 そう言うと、俺から「ふんっ、」とそっぽ向いてしまった。


「なぁおい、何でそんなに拗ねてんだよクルト。」

「つー-ん」


 全く、疲れているというのに何でこうもポンポンと問題が出てくるんだよ。


「もしかして、私たちが予定があると言ってダンジョンから出たのに、ずっとここで寝っ転がってるから怒っちゃったの?」

『そうなのさ。まだオイラはキヨハラ様に進化したダンジョンを見せつけたかったのに予定があると言って逃げ出すし、ちょっと僕が様子を覗いてみたら二人でイチャイチャと話してるし、オイラもうプンプンなのさ!』


 別に、イチャイチャしていた訳じゃないんだけど。

 葉山とか顔赤くしてんじゃねぇか。


「わかったわかった、もうここでぐーたらするのも止めるから、機嫌直せよクルト。」

「ふーんだ。」

「全く、まあ葉山、改めてみんなのところに戻るか。」

「うん。」


 なんだかんだあったけども、俺は改めてクラスメート達のところに戻るのだった。

 ちなみに、クルトは俺がダンジョンから離れた後もずっと俺の肩に乗ったままだった。


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