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第一話 『異世界召喚されてしまった!』


 人生はとても理不尽だ。

 容姿、運、才能、そんなどうしようのないもので、人生は簡単に変わってしまう。

 「諦めなければ、必ずやり直せる。」なんて言葉はよく聞くが、俺の自論としてはその言葉は完全に間違っている。

 本当にどうしようもない状態は実際にある。

 俺なんかがいい例だろう。

 俺こと清原祥佑は両親に若いうちに蒸発された。

 さらに、両親は闇金に手を出していたらしく、俺はその返済をさせられるはめになった。

 学校では、ちょっとした正義感でクラスの中心的な奴らを注意したことで反感を買ってしまい、今では立派にいじめられっ子だ。(当然彼女がいたこともない。)

 借金返済で勉強どころではなく、人様に誇れる学歴なんて持っていない。

 俺の人生の楽しみと言えば、学校帰りに立ち読む漫画やラノベぐらいだ。

 よくもまあこんな状況を作れたなと、自分ながらあきれる。

 さて、こんな俺は人生をやり直すことは可能だろうか?

 はっきり言って、無理ゲーだろ。

 一度でいいから、人生をやり直す機会が欲しい。

 そう願いながら、俺は学校へ向かうのだった。



......................................


...................


..........



 さて、俺がこんなにと思い出にふけっているのには訳がある。


「よくぞお越しくださいました、勇者様方。」


 そう俺たちは今、異世界に召喚されてしまったのだ。それも、もれなくクラスメイト全員そろってである。

 俺たちは今、輝く大きな魔方陣らしきものの上にいる。

 周りには、俺たちを召喚したであろう魔術師っぽい恰好をした数人の人たちがぐったりと寝っ転がっている。


「お、おい、ここはどこだ!」

「これって、まさか異世界召喚なのか。」


 共に召喚されたクラスメイトは、混乱していたり、この状況に興奮していたりしている者が大半だ。

 宰相さんは、彼らが一旦冷静になることを待っていた。


(まあ、教室に魔方陣がいきなり現れて、「召喚が、成功したぞ!」とかぼんやり聞こえたときから、なんとなくこんな展開になるんじゃないかとは思っていたけどね。)


 あっちでは、ラノベや漫画などを人並み以上には嗜んでいたので、こういう展開の知識も当然豊富に持っている。

 そして俺はその経験から、あのお約束も当然存在するだろうと確信する。


「ステータスオープン」


 誰にも聞こえないくらいの音量で、俺はそう呟いた。

 すると、目の前に薄い板のようなものが出てきた。


ステータス

Lv.1

名前  キヨハラ ショウスケ

年齢  17歳

職業  未設定

HP  80/80

MP  180/180

SP  120/120

固有スキル

・次元転移

スキル

・偽装

・危機感知

・加速



 やはりあったか、ステータス。

 こういうのを見ると、異世界に来た、ってことを実感できるよね。


「歩きながら現状について話しますので、まずはついて来てください。」


 俺がステータスを見ていると、宰相さんが話し出した。


「申し遅れました、私はこの国で宰相をしているショウワール・フンイキガーと申します。」


 笑顔で話し出すショウワールさんに、俺はなんとなく嫌な気配を感じる。


「我々は、魔族軍に滅ぼされようとしているこの国を救ってもらうため、あなた方を召喚しました。古きより、異界から召喚された勇者様は必ず強力なステータスとスキルを持っていると言われています。」


 うん、非常にテンプレな展開だ。


「どうかその力で、魔王軍を撃退してほしいのです。」


 クラスメイト達は暗い顔をしていた。多分、そんなことを言われても困る、とでも思っているのだろう。

 まあ、中には「ステータス」と呟いている人も何人かいたけどね。

 そんな風に歩くこと数分、俺たちはかなり大きめの広場に着いていた。

 また、近くの壁には人が数人は入れる大きさの洞窟があった。


「ここでは、勇者様方のステータスを鑑定させていただきます。また、待っている間は自身のスキルをそこのでダンジョンの魔物で試してみて下さい。」


 その説明を聞きながら、俺はもう一度ステータスのスキルのところを見ていた。


固有スキル

・次元転移

スキル

・偽装

・危機感知

・加速


 たぶん、このスキルたちはあっちで経験したことが元となっているのだろう。

 なにせ、アルバイトは校則で禁止なのに入学から今まで俺はアルバイトをしていないと「偽装」し続けていたし、借金取りやいじめのせいで「危機察知」が少し上手くなっていたからね。

 「加速」は、俺が中学時代までは50mを6秒くらいで走れたから、その影響かな?

 問題は、この「次元転移」だ。

 これだけは何で持っているかもわからない。地球からこの世界に来たことが原因か?

 鑑定の順番はまだ回ってきていない。

 というか、俺は列の最後尾だ。

 とりあえず、使ってみるか?

 俺は、「次元転移」を調べてみようとする。すると、


「おいおい清原、お前どんなスキルだったんだよ?」


 あっちで俺をいじめていた主犯格の一人、釜瀬が話しかけてきた。

 こんな状況でも突っかかってくることを止めない釜瀬に、俺は逆にこいつもブレないやつだなと思う。


「俺は、次元転移ってスキルだったよ。」

「へ~、どういう能力なんだよ。」


 なんかいつもよりフレンドリーな気がするが、気のせいだろう。


「まだ分からないかな。今試そうとしていたんだ。」

「そうか、ちょっと見せてくれや。」


 そうして、俺たちはダンジョンに入っていった。

 ある程度進んでから立ち止まり、


「じゃあ、使ってみるよ。」


 まあ、転移ってついてるから瞬間移動のようなことが出来るのだろう。

 俺は、数m先を目標にして叫ぶ。


「次元転移」


《次元転移を発動します。》


 すると、いきなり周りの風景が変わった。

 後ろにいる釜瀬も若干驚いている。


「す、すげぇじゃねえか!」


 釜瀬がそういった瞬間、俺の危機感知が急に反応しだした。

 もしかして、魔物が現れたのかと思い背後を振り向く。

 しかし、そこには何もなかった。

 だが危機感知は反応し続けている。

 訳が分からずに釜瀬の方を見た。

 すると、彼は手に持った拳ぐらいの石を俺に投げつけていた。

 とっさのことで反応が遅れてしまい、俺は顔の半分が飛び散った。


「ぎゃゃゃゃゃゃゃー--ー、か、顔がぁぁぁぁぁぁー--!」

「ヒャッヒャッヒャ、馬鹿かお前。俺がお前にそんな親身になって話すかよ。」


 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。

 死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。


 俺の思考は死にたくないとしか考えられなくなる。すると、


「もう死ぬお前の代わりに、俺が次元転移を使ってやるよ。」


 そう言いながら、釜瀬はダンジョンの出口に向かっていく。


(クソッ、迂闊だった。)


 まだ体の痛みはあるが、若干麻痺してきた。

 なんとなく、もうすぐ死んでしまうだろうなと感覚でわかる。

 ただ、こんな状況になりもうどうにもならないと分かりつつも、俺はどうしても願わずにはいられなかった。


(もう一度だけ、もう一度だけやり直したい。)


 人生には、絶対にどうしようもない状況は存在する。そう、今のように。俺の考えは変わっていない。

 だけどもし、もしも本当にやり直すことが可能ならば、俺は降りかかる不幸を全てに抗ってでも、生きたい。生きて幸せをつかみ取りたい。

 いまさらながらにそう思いながら、俺の意識は静かになくなっていくのだった。








《次元転移を発動します。》




 新作始めてみました。(二作目です。)

 ぜひ読んでみて下さい。


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作者のモチベーションになります。


また、ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願い申し上げます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いつもいじめられていて言われたことを信用していない相手に脅されたわけでもないのに、素直にスキルを教えるという展開が理解できない。 スキルを知る方法も説明されていないから分からない、とか…
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