2. 突然の終わり
平和は壊されたのだ。
エブリデイの平和が。ピースフルでピースフルなマイライフが…。
わたしの平和は突如として壊された。
実際に、この事を考えた時にそんなことある?って思った。
まぁ…そんなことありましたけどね…。なんでなんだろう…。なんでこうなったの。
今まで、平和な生活が終わりを告げるとは思わなかったし考えたことすらなかった。
今は、平和から離された危うい生活なんていやぁぁぁっていう感じしかしない。
誰に壊されたかって?…それは彼に、である。
「ここに関してのメルルの見解は?」
「なんでいつもここに来るんですか?!…あと、わたしに聞かないで下さい」
「それはメルルと話すのが楽しいから…それにここに俺がいちゃいけない理由なんてないだろ」
「それはそうですけど…わたしは楽しくありません」
「本当かなぁ…昨日も楽しそうに話しただろ」
「それは幻覚では?…一度医者に診てもらうことをお勧めしますアーネスト様」
「俺は生まれてから17年間一度も病気になったことがないからな、これでも」
「…そうですか」
わたしのピースフルな生活を壊した犯人は、アーネスト様である。許せない。
ここは、教員の為の研究室だ。
なぜ、わたしがここにいるのかというとこの研究室の持ち主がわたしの叔父様だからである。叔父様はわたしがわざと平均を保っていることを知っている。
そして、放課後はほぼ毎日ここで研究を手伝ったり、遊びに来たり、勉強しに来たりしていた。…していたのだが、ある日突然こいつは現れた。叔父様に質問しに来たらしい。その時に奴は、わたしがいるのも見た。こいつと目が合ったのだ。
それから、奴はちょくちょく研究室に来るようになってしまった。何気に叔父様にも気に入られているし…解せない。なぜなんだ。こいつのどこがいいんだ。それで放課後にこの研究室に入り浸っているわたしとも話すようになった。わたしは話したくなかったけど…。しかも、わたしが勉強しているものも勝手に見られた。見るな〜って言いたくなった。
それに、叔父様に気に入られたこいつは、わたしが実は頭が良いという事実にも勘づいた。だから嫌だったのに。それに叔父様は結局その事も勝手に話しちゃったし。酷いよ叔父様〜。うっかりしてたよごめんね許してという感じで謝られたけど、心から悪いと思ってないでしょその謝り方っていう感じの謝罪だった…。
つまり、何が言いたいかというとアーネスト様は頭がとても良い。わたしから見ても、とても頭が良いのだ。天才である。彼は本当に天才なのだ。だから嫌なのに…。こんな目立つ人とは関わりたくないよ。わたしのピースフルな生活が危うくなるよ。もはや危ういよ。返してわたしの今までの平和で平和だった生活を…。返してえぇぇぇぇぇ…。
その入り浸り始めてしまった彼に、なんでテストで手を抜いてるの?って言われたことがある。抜くでしょ、普通。わたしは抜きたい。目立ちたくないからって教えてあげた。そしたら彼に、勝負したいって言われた。あの〜、わたしからのありがたいお話ちゃんと聞いてました?…絶対に聞いてたよね。なぜそうなるの。勿論嫌ですって告げて逃げたけど。そして逃走した。奴から逃走を図るしかなかった。逃走を図ったのは良かったけど、奴があんなに素早いなんて知らなかった。捕まって連行された。こいつ早過ぎないか。悔しい…。
それで、彼はその後いつか勝負しようね…待ってるからと言ってふっと微笑んだ。いきなりふっと微笑むのやめてほしい。何気に顔整ってるし。わたしの心臓に悪い。あと、毎日来るの本当にやめてほしい。人の言うこと聞かないし…。とりあえず、人前で話しかけるなっていうことは無理矢理理解させた。これだけは譲れない。それでも危ういんだよぉ。嫌だあぁぁぁぁ。危うい生活なんて嫌だあぁぁぁ。最高に嫌すぎる…。
そうして、平和は着々と壊されていった。