おまけ: 2人のその後
「はぁ、はぁ…なんで私まで…」
なんで私まで巻き添えにされたのか。
隣には、学園で人気者のハーリー様がいる。
なんでこんな事態になったのか。
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メルと帰ろうかと思ったけれど、メルはアーネスト様と付き合い始めて仲良くしているので邪魔しない様に1人でゆっくりしながら帰ることにした。
それで長い廊下を歩いていた。この廊下は長いのだ。
歩いていたが…
「ハーリー様〜!!私と話して下さい〜!!」
「いいえ!私よ!」
「私の番だわ!!」
「貴方達、お待ちになって。私の番よ!!!」
何やら話し声が前方から聞こえてきた。
そして、彼女達の話に加らずに走ってくるハーリー様が見えた。その後ろで女子生徒達はハーリー様を追いかけきている。
関わらないように隅っこに寄って歩こうとしたが、走ってきたハーリー様と一瞬だけ目が合った。目が合って終わりだと思っていたのに、走りながらこっちに向かってきて私の手を引いて走るハーリー様…あの、私関係ないですよ?
無関係だよね…?
そして冒頭に戻る。
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人気のない教室。
ここは普段あまり人が通らない教室だ。
そこに2人。
1人は金髪ストレートの女子生徒、もう1人は彼女の手を未だに握っている親しみやすさを醸し出す男子生徒がいた。
「あ、の、なんで…私まで…?」
未だに息切れ中。
ハーリー様、走るの早すぎる。
「…なんとなく?僕、ナナちゃんと2人で話してみたかったんだよね」
「…そうですか。でもなんでよりによってあの時…」
「ごめんね。でもちょうどいいかなって思ったし」
「はぁ…そうですか」
未だに手、握られてるんだけど…。離してくれる気配すらないし。あの〜ハーリー様…?
結局、手を握られたまま会話した。最後の最後まで離してくれなかった。私、逃げないのになぁ。
それに離すときに名残惜しそうな顔されたし…。なんで?
ついでにハーリー様がなんで留学に来たのか気になったから聞いてみた。せっかくの機会だしね。そしたら、世界を広げたいからって言われた…世界を広げたいとは?なんか壮大すぎた。返答に困ったけど、とりあえず壮大な夢ですねって返しておいた。にっこりされた。
それからは、たまに話すようになった。何気に話していて楽しいし。
話すようになってから気付いたことがある。普段、教室などで授業を受けているときや休み時間にすれ違う時、メルとの昼食の時などに、ハーリー様と目が合うのだ。
自意識過剰かな。
気のせい…?
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「ハーリー様〜!!私と話して下さい〜!!」
「いいえ!私よ!」
「私の番だわ!!」
「貴方達、お待ちになって。私の番よ!!!」
僕の背後で女子生徒達が言い合っているのが聴こえてくる。逃げよう。気付かないふりをして走って長い廊下を進んでいたら、追いかけてきた。
めんどくさいな。
走る速度を速める。
すると、前方の端にナナ・サレンティがいるのが見えた。
彼女の顔を見れたことが嬉しくて自然に口角が上がる。
目が合った。
嬉しくなりすぎて、とっさに彼女の手を引いて巻き添えにしてしまった。
実は、前々から2人きりで話してみたかった。
ナナの容姿は僕の好みどストライクだった。
一目見た時から目が離せなかった。
一目惚れだ。
それからよく授業中や廊下ですれ違う時などについ見てしまう。
勝手に彼女を探してしまうのだ。
無意識に。
この前、メルルちゃんも居た時に3人で話したが楽しかった。
それで、ずっとナナと2人きりで話したいと思っていたのだ。
だから、最高に嬉しいな。
手まで繋げたし。
今日はいい日かもしれない。
この調子で頑張ろう。
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実は、廊下でハーリーとナナの様子を見ていた2人の会話…。
「ハーリー様って実は積極的なんだね!」
「…確かにそうだな」
「あの2人、上手くいくといいね!!」
「ああ」
「じゃあ、行こっか」
「そうだな」
2人は手を繋いでハーリー達とは反対方向に仲良く歩いていった。
ありがとうございました。