ハイウェイ・バックファイア(未完)
ハイウェイロードは車で密集し、クラクションの騒音と人の興奮した熱気に覆われていた。
太郎はこの空間に数時間はいる。一向に進まず、車内ではやることも限られるので太郎はイライラしながら地団駄を踏む。
「たくっ、暑苦しいったらありゃしねぇ」
窓を開けるが熱風が入り込み、息苦しくなって太郎は窓から顔を乗り出した。
「……ん、陽炎か?」
太郎は自分の車の後方に顔を向けた。遥か後ろの光景が揺らめいて見え、そして爆発して燃えていることにようやく気がついた。
「っ嘘だろ!?」
太郎はドアを開けようとしたが、車間の間が狭く、隣の車に当たってしまうと思うと一瞬気が引けた。
そのまま後ろを眺め続ける。爆発は次々と前の車を呑み込み、悲鳴が爆発にかき消されていった。
太郎はクラクションを鳴らす。それは他の車も同じであったが、それはさっきまでと変わらない光景であった。隣の車の運転手と顔を見合わせる。運転手に睨まれるも、太郎がしきりに後方に指を指したことで視線をその先に写し、事態の緊迫さを把握し彼は真っ青になった。
車に衝撃が響く。隣の車がドアを勢いよく開き、太郎の車のドアを凹ませたからだ。
「痛ぇぇぇ!! テメェッ、人がドアを開けねぇってのに!!」
続いて再び衝撃。先程まで顔を合わせてた運転手も、勢いよくドアを開いて我先にと飛び出したのだ。両側のドアを凹まされ、太郎はパニックと怒りで顔が真っ赤に青筋を立たせていた。
そして後ろからも衝撃。後方の車がアクセルを踏んで太郎の車を押したのだった。
「テメェは一番許さねぇっ!」
彼は空いた窓から身を乗り出し、屋根に登って後ろの運転手に怒声を浴びせた。炎はもはやすぐ目の前に迫っている。