ひそかな楽しみ
今私の部屋の中にあるダンボールの箱の中にはお宝 (になりうる?) の秘蔵DVD (ドラマ) で溢れ返っている。画質や演出、作品そのものはプロが撮影したのと同じようなクオリティーである。しかし数通りのエピソードが同時進行していながらそれらのバランスが全く取れていないし(数名が妙に浮きすぎている)、出演者の相性も最悪、全体の見栄えや視聴者受けより出演する個人の事情や主張に重点を置きすぎたためである。学生が中心のお話でよく現実世界のことを反映させた内容となっている。ストーリーの中のたった一つの要素がために世間の反感を買うこと間違いなしでこのDVDの存在が世間に知れ渡ったら大変なことになるのですが、どうにも他に置く場所がないため部屋を倉庫代わりにしてダンボールを置いておいている。
さて、このDVDたちを誰が鑑賞するかというと、その出演者、このDVDを管理する私だけである。これを見ながら酒をやるとみなとても楽しい気持ちになって話が盛り上がる。私も嫌いじゃないし、むしろ好きな方。なにか事件や奇抜な出来事の当事者になってばかりいないで、第三者視点に立ったり傍観者になって目の前の物事を考えたり観察したりするのは、ただ頭を使うことで利益を得るためのことではなく、楽しみになることだってある。それこそが芸術や文学の鑑賞する時の醍醐味ともいえるように思う。大好きな酒を飲みながらDVD鑑賞に耽る楽しみは、特に仕事の疲れを癒すには持って来いという感じである。しかしたまにこれを見に来る人の中に、出演者の知人が混じっていることがある。そのために、このDVDの存在が世間に知れ渡ってDVDとしての役割を果たしてしまう時が来てしまう可能性を否めないのは悲観すべきことである。