Ⅱ,困惑⑥
美知子に話しをした5日後、
佐藤のおじさんと会う可能性の高い、パチンコ屋『ネオステージ』に来た。
店内を見渡す…
しかし今まで会えなかったのが嘘の様に、探し回る事なく、パチンコの島に何気無く座って打っていた。
「あれっ?久しぶりだよね。」
やや白々しかったが、慎重になるのも仕方ない。今日のうちに確実に蹄鉄の事を聞きたかった。次は無いと中谷は変に決め込んでいた。
しかし慌ててしまったのか、中谷は唐突に聞いてしまった。
「蹄鉄の事、ちょっと聞きたいかな?」
「…あ、ああ、そう言えばそうだべな。何の話しも無しさ、ビッグリしたんべ!」
素直に頷いた、全くその通りだった。
しかし、佐藤が続ける。
「…ぼんず、今夜暇がっ?」
「まぁ、暇ったら暇です。」
間髪いれずに佐藤が話す。
「飲みさいぐべ!そごでゆっくり話すべな。」
突然の佐藤のおじさんからの飲みの誘い。中谷は断るどころか、是非行くべきだと感じた。
「はい、是非いきます!」
そして…
居酒屋『呑み処』にて待ち合わせをすることにした。
待ち合わせ時間に5分遅れで佐藤のおじさんはやって来た。
「わりぃ、少し遅ぐなったな。」
「いえいえ、んじゃ行きましょ。」
最初はビールと思いきや、佐藤のおじさんはいきなり芋焼酎水割りだ。
「ビールじゃないの?」
「おるぁ、焼酎好ぎだがらハナから焼酎。」
肴をつまみ、パチンコの話題で盛り上がった。
一時経って、佐藤の口から蹄鉄の事を話し始めた。
「あの蹄鉄はな、記念だったんだべ。」
「記念?それじゃやっぱり大事な物じゃ…」
中谷は記念と聞いて、やはり貰うべきではなかったと思った。あれだけ使い古された物はそうそう手に入らないとはわかっていたが。
しかし、佐藤は自らの言葉で核心を付いた。
「俺は元厩務員だ。」
銀のネックレス
【ホースマンの夢よ永遠なれ…】