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第2話 転移した。

「……どこ、ここ」


 目が覚めたら、天蓋付きのふっかふかのベッドの上だった。


 いやいやいやいや、私の家にはベッドはないです。毎日布団を敷いて寝てるんですけど!?

 私は内心大混乱のまま身体を起こして、辺りを見渡した。


 異様に広い部屋だ。床には厚手のカーペット、壁には大きな風景画。置かれた家具には埃ひとつなく、磨かれたように輝いている。これら全てが高級品なことくらいは、ごくごく普通の一般庶民女子高生である私にもわかった。


 本当にどこなんだろう、ここは。


 知らない場所にいる、という事実が遅れて胸に落ちてきた。


「……ホテルとか? でもこんな豪華なホテル、うちの近所には絶対ないよね……?」


 さっきまでいつも通り、普通に下校していただけなのに。急に何があったんだろう。


 恐る恐るベッドから足を下ろす。いつも履いているローファーは、ベッドのすぐ横に置いてあった。毎日履いて砂埃だらけだったはずなのに、手入れされたようで綺麗になっている。


 ……考えていても仕方ない。私はローファーに足をつっこみ、この部屋に一つしかない扉へと向かった。そして指紋一つなく輝いている金色のドアノブを回す。

 あー指紋ついちゃった。掃除の人ごめんなさい。


 ドアの外には廊下があった。正面には甲冑を着た人が二人と、メイド服を着た人が立っていた。甲冑を着た人とメイド服を着た人????? ここはコスプレ会場なのか?

 呆然としている私に、メイド服の人がすっと頭を下げた。


「転移者様、お目覚めでしたか。私は転移者様を担当いたしますメイドのソフィアと申します。御用があれば何なりとお申し付けください」


 転移者様って何。わからないけど、とりあえず挨拶を返した方がいい、よね?


「あ、あの、私は立花こころです。転移者様ってなんですか? あと、ここどこですか?? 私、家に帰りたいんですけど……」


 疑問を抑えきれなくてまとめて全部聞いちゃった。メイド服の人……ソフィアさんは一瞬だけ目を見開き、困ったように笑った。


「申し訳ございません、転移者様。ご説明は陛下から直接ございます。これから謁見していただきますので、身支度を整えましょう」

「え」


 あ、名乗っても『転移者様』呼びは変わらないんだ。というか陛下って……


 私が返事をするより早く、どこからともなくメイドさんが何人も現れる。そして着替え、髪の手入れ、軽い化粧まで猛スピードで施された。


 あれよあれよといううちに、長い廊下をぐるぐる歩かされ——気づいたときには、私の人生で見た中で一番豪華で大きい扉の前に連れてこられていた。扉の両脇にはまた甲冑の人。

 扉から漂う重々しい緊張感に、自然と背筋が伸びた。


 目の前の大きな扉が開くと、奥の大きな椅子に腰かける年配の男性が見えた。

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