7話 あれ?なんかやっちゃった?
曲を投稿してから早一日。自分の中での実感はまだない。『あ、ほんとに始まったんだ』と、特に何の熱もない、あっさりとしたもの。
「一応投稿したの見てみるか」
そう言って立ち上がり、パソコンを起動してミコミコ動画を開いた。すると一発目に入ってきたのは、急上昇ランキング上位に入っている自分の曲だった。
「は!?」
再生数10万回越え、マイリス登録者1万人、コメント数千件、どれも一日で叩き出したとは思えない数字だ。
「は?嘘だろ?え?」
俺の頭の中は無限に湧き出てくる?でいっぱいだった。一時的に、他の語彙を失うほどには。コメントをよく見ていると
『アカリさんのところから来ました』や
『ネットの掲示板から』など、他の媒体を通して来てくれた人が多いみたいだ。アカリさんに宣伝してもらって来ていただけるのもありがたいが、元々何も情報がない掲示板でも話題にあがってそこで見に来てくれる人がいるのは本当にありがたい。
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昼食を摂った後、掲示板が気になって掲示板サイトを開いてみた。『新人アーティストについて語るスレ』という、いかにも俺にも当てはまりそうなスレを見つけて、とりあえずそこに入ってみる。かなり早い速度でスレが消費されているのを見るに、この人たちにとって新人は興味があり、またすぐに離れやすいコンテンツなのだろう。断片的に見つけたコメントの中では、Kanoneについて語っている人も散見された。
「俺って注目株なの?」
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外出していたなのはさんが帰ってきてから、俺は質問してみた。スレを見てもらいながら。
「わっ、凄いね。めっちゃ流れていくじゃん。あ、ちゃんと理音君の名前あるじゃん」
と、嬉々として見ていた。
「えっと、本題から少しズレてると思いますが…」
「あぁ、ごめんごめん。えっと、こういう掲示板は、たまに間違った情報も流れてくることがあるけど、基本的にそこでガヤガヤ言ってることは正しいよ。特にネット関連の情報には敏感だからね、彼ら」
やけに詳しく、なのはさんは答えた。もしかして彼女もその辺の住人なのだろうか?
「コホン、ひとまず、ここに目をつけられたら、叩かれることもあるかもだけど、基本的に出した曲は伸びると言って差し支えないよ」
「そうなんですね。ひとまず炎上には気をつけとかないと…」
「気をつけてね。まあ、ボカロPならまだましだけど、VTuberだったら前世バレとかにも気をつけないといけないし」
そんな話をして、またいつもの生活に戻った。
明日から2つ目の曲に取り掛かろう。まだまだ始まったばかりだ。
ネットの流行り廃りは速いですよね〜
この小説も流行ってくれれば嬉しいんですけどね〜
高望みしても何にもならないけど