閑話 憂いる妹
「はあ、お兄ちゃん今どうしてるのかな?」
お風呂に入りながら、ひとりボソッと呟く。あの日、お兄ちゃんが倒れたと聞いて家族みんなで急いで病院へ向かった。命に別状はなかったみたいで、無事にちゃんと目を覚ましてくれた。それでも、何かあったらどうしようと、頭の中には不安しか過らなかった。
大学進学を境に、年末年始しか帰省しなくなったお兄ちゃん。当時10歳だった私はもちろん寂しかったし、離れたくないと駄々をこねた。それでも最後は、やっぱり別れる必要があった。凄く悲しかったが、年末年始は帰ってきてくれると言ってくれたので、その時はものすごく甘えた。
そんなことがあったからか、世間一般的にブラコンと呼ばれるぐらいまで私は行っていた。いいじゃん。兄妹の仲がいいところなんて、それなりにいるもんじゃん。
あの日、倒れたことをきっかけにこっちに戻ってくると思ったが、あの大家さんが『私が面倒を見ます』とか言っちゃったもんだから、またお兄ちゃんに会えなくなった。なんでこうなるのさ。
(大学どうしよう)
一応地元の大学も東京の大学もどちらも受験するつもりでいたが、お兄ちゃんが地元に帰ってくることも無くなった今、正直言って地元に残るメリットが思い浮かばない。かと言って受験を1校だけに絞って落ちようものなら浪人確定。そうなったら困るが、2校受けて地元に受かって東京の方で落ちたら本末転倒だ。それでも
「お兄ちゃんに会いたい」
この気持ちだけは絶対に揺るがない。絶対に東京の大学に受かってみせる。そしてお兄ちゃんともっと一緒にいたい。
閑話のペース短いとか言わないの
作者だって必死に配分考えて時間見つけてやってたんだから