10話 Pixta
なのはさんにPixtaのことを教えてもらった次の日、早速Pixtaを調べてイラストレーター探しを始めた。
「うわ、すごい。スリッターなんか比にならないくらいイラストがたくさんある」
開いた瞬間目に入ってきたたくさんのイラスト。質感、タッチはそれぞれ違うけれど、どれも一級品のクオリティだ(俺基準)。ここなら俺の理想のイラストも見つかりそうだ。
「ひとまずジャンルとしてはVOCALOID…と」
検索サジェストにジャンルを入れて、その手のイラストを描いている人を探してみた。どうやら評価順に並んでいるらしく、最初の方は有名イラストレーターが描いているイラストが出てきた。しかし
(う〜ん。この辺はやっぱりなんか違う気がするな〜)
やはり何か合わないのか、その辺りの人はスルーして下の方を探しに行った。
(あ、ミランさんのもある。やっぱりこういうところにもあげて、人の目に触れてもらおうとしてるんだな)
人の目に触れるということは、単純にイラストを評価してもらえるかもしれないということだ。それをみて活力をもらったり、改善点を見つけてもらったり、顧客を作ったり出来るなど、想像できないほど大きなメリットがある。しかし相反するかのように存在する、誹謗中傷されるかもしれないというデメリットも同時に抱えることとなる。そんな中でも活動してる人は、本当にすごいなと思う。
(ん?このイラストもしかして、俺に合いそうじゃないか?)
そうこうしている内にかなり下の方まで来たが、その中で一つ目を引くイラストがあった。ここにあるイラスト自体は今回自分の曲とは違うものかもしれないが、直感的にいいと感じた。
「えっと、イラストレーターさんの名前は…ぷろっとさんか。あ、よかったスリッターやってるみたい」
先ほどのイラストの投稿主である、ぷろっとさんについて調べて、スリッターアカウントを持っているのも見つけた。善は急げというので、早速DMを送ってみる。
『はじめまして。ボカロPをしているKanoneと申します。貴方のイラストが、私の曲に合いそうだなと思い、今回このようにDMさせていただきました。早速ですが、依頼の方よろしいでしょうか?』
文面的に少し厚かましいかもしれない送り方をしてしまったかもしれないが、まあひとまずこんなとこだろう。すると程なくして返信が返ってきた。
『初めまして。ご依頼の方ありがとうございます。色々確認のため、ボイスチャットの方繋いでもよろしいでしょうか?』
良かった。依頼は受けてもらえるらしい。そしてボイスチャットか。
『分かりました。ではディストークのコード送りますので、そちらの方からお願いします』
こうして自分のコードを送り、向こうからの通話がかかってくるのを待つ。5分ほどして
「えっと、聞こえてますでしょうか?」
聞こえてきたのは女性の声、それもまだ若い声だ。
「はい、聞こえてますよ。改めて初めまして。ボカロPをしているKanoneと申します」
「こちらこそ初めまして。イラストレーターをしているぷろっとです」
お互い軽く自己紹介をし、早速本題へと移る。
「今回依頼させていただいた理由としましては、楽曲のMVに使うイラストを描いていただきたいなと思いまして」
「わざわざそのために私を探してくださりありがとうございます。私は基本Pixtaでしか活動してないし、スリッターも依頼を受けれるようにするためにアカウントだけ作っていたのですが、いかんせん知名度もなく、依頼も数ヶ月に一回来るかぐらいなんですよ」
どうやら向こうも色々と苦労があるようだ。何だか共感できるというか、似たようなところがあるというか。
「夢野アカリさんはご存知でしょうか?私は実は彼女とは奇妙な縁があり、私が今回イラストをどうしようか悩んでいてアカリさんに相談に乗ってもらったら、Pixtaのことを教えてもらったんですよ」
「え!?あの夢野アカリさん!?凄い凄い!そんな人と縁があるなんて、羨ましいです!」
アカリさんの名前を出した瞬間、彼女の声が一瞬でキラキラと輝いた。やはり彼女の業界トップの名は伊達じゃないのだろう。
「…、ハッ!失礼しました!私がつい語り過ぎて!」
「ああ、気にしなくて大丈夫ですよ。彼女の凄さは私もよく理解しているので」
実際、私の一曲目もアカリさんのネームバリューみたいなところがある。そのため彼女が明るくなるのも何となくわかるのだ。
「そうなんですね…私からずらしててあれですが、仕事の話について進めていきましょうか」
「ああ、そうしようか。まずは…」
そうして話を進めていく中で、自分の曲のデータを送り、金額、制作期間など、様々なことをしっかり確認して行った。
「では、納期としては2週間後に、代金は完成品を一度確認して、納品と同時に代金をお支払いする形でよろしいでしょうか?」
「はい、了解しました。では完成後にお送りしますので、それまでお待ちください」
こうしてボイスチャットが終了した。
忙しいです〜
部活とか部活とか部活とか
ひとまず次回もお楽しみに!