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小悪党、未来の嫁を拾う。  作者: かがみスイッチ
2/18

ワンカ領から逃亡。

「クソッ!!」


ワンカ領の領主を騙し抜きそこそこの金額を手にし

た俺、トートは暗くなった街を走り抜けながら、この状況に苛立っていた。


ワンカ領主はそれはそれは傲慢で色ボケ、貴族以外

を見下し、我が人生の目標は贅沢の限りを尽くすこ

と、と本気で思っている、そんな悪徳領主だっ

た。


俺は王都から非合法な物を売りに来た行商人を装い、強力な媚薬という謳い文句でただの整腸剤を売ったり、超一流の傭兵団の団長との仲介をすると嘯いて仲介料をせしめたり、などなどして口八丁、手八丁を使い、ワンカ領主から金を謀っていた。


本来の予定では仕入れと傭兵団の仲介のために一度王都へ戻るという嘘のシナリオの元逃げるつもりだった。

ワンカ領主にこの事を伝えたときは何も怪しまれず、むしろ今後も良い品があれば持ってくるようにとの言葉も受けた。

行商人として怪しさの無いようにするために王都で売る品として幾らかの婦人服や武具の仕入れも終わって、太陽も傾きかていた頃、夕食を取る為、酒場に向かった。


王都から少し距離のあるワンカ領といえど、主要な通りの酒場では労働者達の退勤時刻と合わさり、様々な客が居て大変賑わっていた。

店に入り、キノコと羊肉のスープとパンに酒を頼み、待っていると、隣席に軍人風の男2人組が座って会話し始めた。


「おい聞いたか、また領主サマが癇癪起こしたらしいぞ」


「最近少なくなってきたってのになんでまた…」


「なんでも領主サマがある行商人に騙されたらしい、コケにされたとそれはそれはお怒りで

近く俺たちを使って血祭りに上げよとの御命令だ」


「はぁ…いやになるな全く…わざわざこんな雪がもうすぐ降るって季節に遠征かよ、高貴な方々は言えば大概叶うんだから羨ましい限りだ」


「全くだな」


その後彼らはその遠征の手当は出ない事など給金への愚痴に変わったが、俺は注文したスープが来るまで頭が真っ白になり、身動きがうまく取れなかった。

ようやく頭の冴えが戻ってきて、急いで夕食を終わらせると、頼んだ酒に口もつけず急いで宿へと帰った。


宿に戻り今後の動きを考える、なぜこんな短時間でバレたのかも気にはなるが、そんな事を悠長に考えてる時間は俺には無かった。


それよりも逃げるなら、何処へどう行こうかという事を考えなければ、生き残れ無いだろうと思い、頭を巡らせ始める。


領と領を繋ぐ街道には関所があり、犯罪者や亡命する者達を捉えるならここを塞ぐのは当然である。

となると街道は使えなくなり、それに伴い荷馬車も捨てる必要がある、ならばどこを通りどこへ行くかだが、街道を使わず他領へ行ける道はワンカ領には少なく、自然と候補が二つに絞られた。


なだらかだが、追い手が来る可能性のある西の王都方面の細い道を通るか


山越えが必要だが、追い手が来難い港町へ続く東の山に行くか


結論としては後者を俺は選んだ、領主に伝えた行き先が王都で王都方面は警戒されてそうだという事と、山ならば馬は使えず、追い手である軍人達は鎧を着て、獲物を持って追うとなると、進軍速度が遅いだろうと予想したからだ。


だが、もちろん不安は尽きない。

山を1人で歩いた経験などない事、街道では心配のないはずだった雪が山ではもう積もり始めてる事。


未経験の一人での山越え、しかも雪が積もる冬の山、土地勘も無い上に、防寒や食料を準備する時間も残されてない、暫くしたら追い手が後ろから自分を殺しに来るという、思いつく限りの最悪を煮詰めたような状況に苛々としていた。


宿屋には最初に泊まる時に、数日分の料金をまとめて支払っていたので何も言わずに宿を出る、もう日も沈み暗く、人の気配も少なくなっていたが、命には変えられない為急ぐしかなかった。

厩へと向かい、仕入れた中で一番上物の剣と一番上等な婦人服、そして稼いだ金貨と山を越えるには心許ない食料を持ち、街を抜け、東の暗闇の降りた山へと向かった

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