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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第5章 神様 ~御神木の桜~

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第10話 国王様の謎

「あいつが、どうやって人間の器を手に入れたか――なんて、オレは知らない。オレが知ってるのは、『人間になる』と言って出て行ったあいつが、次に会った時には、もう――ザックス王国の国王ってものに、なってたってことだけだ」


「ザックス王国の……国王、に……」



 ――って…………あれ?


 たしか、ザックス王国の初代国王は……普通の人とは違う、何か特別な力があったって、王子が言ってたけど……。

 それがもしかして、今の国王様?



 ……いやいや、そんなワケないじゃん。

 初代国王が、今の国王様ってことだったら、国王様ってば、どんだけ長いこと生きてんのよ?



 ……まさか、不死身……?



 いやいやいや!

 あり得ないって、それは!


 国王様が不死身だとしたら、周りの人達が気味悪がって、騒ぎ出すだろうし。

 不死身だって、覚られないまま過ごしてくなんて、不可能だろうしね。



 ……でも、だとしたら……。

 国王様がここを出て行ったのは、せいぜい、何十年か前――ってことになるんじゃないの?



 ――もう!

 神様が『ずーーーっと昔のこと』だなんてゆーから、勘違いするとこだったよ。



「まったく! あんまり混乱させないでよね、神様ってば。ただでさえ、理解しにくいことばっかりだってーのに」


 ぶつぶつと文句を言うと、神様はきょとんとした顔で首をかしげた。


「混乱させる――って、オレがか?」

「そりゃそーでしょ! 他に誰がいるってーのよ!?」



 ここには、私と神様しかいないじゃない! 



「な――っ、なんだよその言い方はっ!? オレはべつに、おまえを混乱させようなんて思ってないぞっ?」


「でも実際、思いっきり混乱したのよこっちは! 国王様が『ずーーーっと昔』に出て行ったとか言うから、百年とか二百年とか、それくらい前のことなのかと思っちゃったけど……せいぜい、何十年か前のことなんでしょ?」


「なんじゅうねんまえ?……オレは人間じゃないから、人間の時の流れの感覚なんか、わかるはずもない。けど、あいつがザックス王国ってヤツの最初の国王になってから、かなり経ってるんじゃないのか?――なんせ、今の代で十何代目とか何とか、言ってたような気がするし……」



 …………は?


 ……今……『最初の国王』とか、『十何代目』とか……って、言ってなかった?



「あの……神様? 神様の言ってる『あいつ』って人は、その……何人もいるの?」

「はぁ? 何言ってんだ、おまえ? あいつはあいつだ。何人もいてたまるかよ」



 ……え……?


 ちょ――っ、ちょっと待って?

 なんだか、また混乱して来たぞ……?



 『あいつ』って人は、一人。

 その『あいつ』は、私の本当の父――ザックス王国の王、クロヴィス。

 そしてまた、初代国王も『あいつ』で……。



 ――えぇええっ!?

 いったい、どーゆーことよ!?



「わかんない! 全ッ然、わかんないよ神様っ!……『あいつ』って、初代国王のことなの? でも、『あいつ』は私の父親だって――クロヴィス・ザクセン・ヴァルダムのことだとも言ったよね? いったい、どっちがホントなの? どっちかが間違ってるんでしょ?……だってそうじゃなきゃ、『初代国王』と『今の国王』は同一人物、ってことになっちゃうもん。そんなのおかしいよね?」


 一気に疑問を吐き出すと、神様は怪訝(けげん)な顔つきで、私をじっと見つめた。


「おかしいって……何がだ? どっちも本当のことだし、オレは、間違ったことなんて言ってないぞ?」

「ええっ!? だって、そしたら……二人は同一人物、ってことになっちゃうよ……?」


「そうだぞ。どっちも同じヤツで、同じあいつだぞ?」


「え――……えええええーーーーーッ!?」


 さも当たり前のことのようにうなずかれ、私は驚愕(きょうがく)のあまり絶叫してしまった。


「おかしいよ! それはどー考えたっておかしいでしょ!?……だって、二人が同一人物だったら、国王様ってば、いったい今幾つなのよ!? 神様はどーか知らないけど、人間ってのは、そこまで長く生きられるもんじゃないんだから! 国王様は人間なんでしょ? 人間になったんでしょ? だったら絶対絶対ぜーーーったい、そんなのあり得ないよ!」


 一気にまくし立てたせいで、酸欠状態だ。

 私は喉元と胸を押さえ、ぜいぜいと荒い呼吸を繰り返した。



 ああ……頭がクラクラする……。

 どーしてこう、次から次へと、おかしなことやらおかしな話が……。


 なんかもう、とっくにキャパオーバーしちゃってるんですけど。



「ああ、だから――当然、器は変わってるぞ。最初のから今のまで、どれくらいだったかは覚えてないけど……たぶん、たくさん変わってる」


「…………へ?」


 神様がさらっと返した言葉に、また一瞬、私の思考は停止した。



 ……えーっと……。


 器が、変わってる……?

 しかも、たくさん……?


 ……え?

 ちょっと待って。それって、つまり――……。



「器が変わってるってことは……体が変わってる――ってこと、なんだよね?……でも、中身は変わってないってことは……国王様は、初代、二代、三代――って、歴代の国王様の体を乗っ取り続けてて……で、今に至る……ってこと?」



 ……『乗っ取る』って言い方は、正しくないのかも知れないけど……。



 う~ん……。


 じゃあ、乗っ取るって言うよりは、『共有』かな?

 ひとつの体に、ふたつの魂が入る……みたいな?

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