表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第11章 新しい日々

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/146

第10話 二つの選択肢

 お父様は相変わらず忙しいらしく、その日も、泊まることなく、本城へと戻って行った。

 私は自分の部屋で――別れぎわ、お父様が私に告げた言葉の意味を、ずっと考えていた。



 お父様は、私の目をまっすぐ見つめて、次の言葉を口にした。


『リア。おまえは近いうちに、二つの選択を迫られることになるだろう。どちらを選んでも、強い苦しみや悲しみ……そして、幸福を味わうことになる。幸と不幸の割合は、ほぼ同じだ。どちらを選ぶも、おまえの自由。しかし、これだけは忘れてはならん。決して、己の心に嘘はつくな。常に、一番望む道を選びなさい。さすれば、どのような結果になろうとも、後悔せずにいられるだろう。多少の未練は残るかもしれないが……それは仕方がないことだ』



 ――二つの選択を迫られる――?



 ……それって、ギルを選ぶか、カイルを選ぶか……ってことなのかな?


 お父様は、二人のことで私が悩んでるの、知ってて……。

 だからわざと、そんなことを……?



 どうして、急にそんなことを言い出したのかが気になって、訊ねてみたけど……『おまえの未来を夢に見た』としか、答えてくれなかった。


「夢? それって、さっき言ってた予知夢――ってものですか? 自分の死期を知る時以外にも、予知夢って見るんですか?」

「……ああ。(まれ)にだがな。必ず、二通りの夢を見る」


「二通り……?」

「そうだ。まるで、どちらかを選べとでも言うように、二通りの未来を見せられる」


「えっ?……選べとでも言うように、って……。じゃあ、幸せそうに見える夢の方を、選べばいいだけなんじゃないですか?」


 それだったら、どちらかを選ぶのも、そんなに難しいことじゃないんじゃない?


 なんて思ってたら、お父様はため息をつき、(うれ)いの表情を浮かべた。


「それが、そう簡単には行かぬのだ。必ずどちらにも、それなりの問題はあり……どちらを選んでも、結果は、あまり変わらんように出来ている。幸と不幸の割合は同じだが、ただ……それに関わる人物や、出来事が違って来るのだよ」


「幸と不幸の割合が、同じ……。それじゃあ……やっぱり、選ぶのは難しそう……ですね……」

「うむ。……だが、必ず、選択せねばならぬ場面は訪れる。その夢を見た後、選択することを回避出来たことなど、今まで一度もなかった」


「……絶対避けて通れない、選択を示す夢……。私に関わる夢を、見たってことなんですね?」

「その通り。己に関わること以外の夢を見たのは、今回が初めてなのだ。今まで一度も、このようなことはなかったのだが。……何故か、見てしまってな」


 片手で頭を抱えるようにして、お父様は辛そうにつぶやく。


 私のことで、頭を悩ませているお父様を見ていたら、黙ってちゃいけないような気がして……。

 思いきって、詳しい説明だけ伏せて、私はあの話をすることにした。


「お父様。私、今まさに……選択を迫られてるんです。お父様が夢に見たことと、関係があるのかどうかまではわかりませんけど……とても大切な選択を――」

「そうか……。それで? どちらを選ぶかは、決まったのか?」


「いえ。まだ、どうしていいかわからなくて……。ずっと迷ってます」

「リア……」


 お父様は、しばらくは無言のまま、何か考えているようだった。

 やがて、神妙な面持ちで口を開くと、


「このことは、言おうか言うまいか、迷っていたのだが……。やはり、伝えておくことにしよう。おまえがどちらを選んだとしても――その道には、必ず、幾多の危険が付きまとう。充分、用心することだ」


「えっ?……危険?」


「ああ、危険だ。――だが、案ずるな。おまえが直接、命の危機にさらされる訳ではない。多少の危険はあるだろうが、どれも回避出来る。ただ……」


「ただ?」


「おまえの周囲の者に、危険が及ぶことが、幾度かあるだろう。それらは、回避出来るものもあるが……回避出来ぬものも、残念ながらある」


「えっ!?……私の周囲の人が、危険に?」

「そうだ。哀しいが、避けられはしないだろう。……おまえは、きっと幾度も、涙を流すことになる」


「なっ、涙!?」



 ……そんな……。涙を流す、って……。


 それは、いったいどんなことなの?


 周囲の人達に危険が……なんて、そんなの……。



 まさか……。


 まさか、誰かが死……なんてことじゃないよね?

 そんな怖いこと、起こるワケないよね?


 ……ヤダよ。

 私の大切な人達に、危険が及ぶかもしれないなんて。

 避けられないかもしれないなんて。


 そんなの、絶対ヤダ――ッ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ