第4話 不思議なこと
ここのところの私の一日のスケジュールは、だいたい同じメニュー。
朝起きて、朝食やら何やらを済ませたら、お昼まで勉強。
昼食の後、また少し勉強して、それから一時間ほど剣術を習って、その後ちょこっとティータイム。
それが済んだら、しばらく自由な時間を過ごして、夕食に入浴……で、睡眠っと。
うん。こんな感じかな?
こーゆー毎日にも、だんだん慣れては来たけど……ひとつ、不思議に思えることがある。
私は、この世界のこと全然知らないはずなのに、先生の授業を聞いてると、『あれ? 私、これ知ってるかも』って思える瞬間が、結構いっぱいあるってこと。
それと、今更だけど……ホントに、今更なんだけど。
どーやら、私がしゃべってるのは、日本語じゃないらしい……ってこと。
まったく、不思議なことこの上ない。
セバスチャンから聞いた話によると、私はこの世界に来た時から、ずーーーっと、この国の言葉で話してたってゆーんだもん。
んで、たまに、ほんの少ーしだけ、聞いたことのない単語を口にするんだって。
私が思うに。
その、たまに口にする『単語』ってのこそが、『日本語』なんじゃないかって気がするんだ。
……まあ、すっごく変な感じだけど。普通に、この国の言葉を話してるってことが。
だって、自分ではいまだに、慣れ親しんだ日本語で、話してるつもりなんだもん。
それが、実は違ってたなんて、あまりにも奇妙過ぎるじゃない?
勉強の内容が、ところどころ理解出来てることといい……。
なーんか、ムズムズするってゆーか、スッキリしないってゆーか。
わかっちゃってることが、わからないってゆーか。
ん~……、うまく言えないけど、そんな感じなんだ。
そこで、やっぱり考えちゃうワケよ。
もしかして、これは――神様の力のお陰なんじゃないか、って。
神様が、違う世界行っても困らないよーに、いろいろな知識や経験やらを、私と桜さんの記憶だけ、それぞれ残して(……あ、小さい頃の、私の記憶を残すのだけは失敗した、って考えればだけど)、他は、丸々交換しちゃったんじゃないかなぁ~って。
そーゆーこと、神様に直接訊いて、確かめたいんだけど。
この前、思いっ切り怒らせちゃったしなぁ……。
もう、私には、会ってくれないかもしれないんだよね。
そーすると、国王様に訊いた方が早いって気もするんだけど。
国王様は国王様で、お忙しいらしいし。
ホントのところ、神様が言ってた話が、真実なのかどーかも、よくわからないし……。
いきなり、『国王様って、神様の片割れ――相棒みたいなものだったんですか?』なーんて、訊けるワケないし。
ホントだったとしても、正直に話してくれるって保証もないしねぇ?
あー……ダメだ。
どーすればいーんだか、さっぱりわかんないや。
「姫様、そろそろ剣術のお時間でございますが」
セバスチャンの声で、ハッと我に返った。
「あ……。そーだよね。先生の授業は終わったんだから、行かないとね」
慌てて椅子から立ち上がると。
剣術用の服に着替えるため、私は小走りで衣装部屋に向かった。
剣術用の服ってゆーのは、どーゆーのかとゆーと。
えーっと。
簡単に言っちゃえば、漫画に出て来る『男装の麗人』が着てるような服から、きらびやかな装飾を取っぱらった感じ、とでもゆーのかな?
そーだなぁ。
例えるなら、昔の少女漫画の……えーっと、ベ○サ○ユのなんたらの、オ○カ○様が着てる感じの服?
王子様スタイルに近い、ってゆーか。
初めて着た時は、めちゃめちゃ恥ずかしくて、ヘキエキしちゃったんだけど。
これも、慣れるとどーってことない。
学芸会だとでも、思っとけばいーんだし。
着替えを済ませて衣装部屋を出ると、廊下には、既にシリルが控えてくれていた。
シリルは、勉強の時間以外は、常に側にいてくれてる。
でも、剣術の訓練の時は、もうひとつ、私の『練習相手』という役目が増える。
教えてくれる先生とゆーか、剣術指南役――って人は、一応いるんだけど。
その人がまた、結構、なんとゆーか……クセのある人で。
正直、やる気があるんだかないんだか、よくわからない教え方をするんだ。
……ん~……。
でもあれ、教えてるってゆーのかなぁ?
なんだか、いっつもテキトーに、『そこら辺で二人でやり合ってなさ~い』みたいなニュアンスのこと、言われるだけだったりするし……。
まあ、でも、悪い人ではないんだよね。
イマイチ、何考えてるんだか、わかんない人ではあるけど。
「うん。悪い人ではない。……悪い人じゃあないんだけど、ねぇ……」
思わずつぶやくと。
シリルがきょとんとした顔で、小首をかしげた。




