さん。
本日二話投稿です。こちらが先!
ゲスインかと思われた件の娘、マーガレット。通称メグ。
彼女は根性があった上、男に媚びるのが上手いだけではなかった。
──まず、女に媚びるのが上手かった。
『媚びる』というと聞こえが悪いが、要は上手く持ち上げ、懐に入るのが上手いのである。
男爵家の従業員女性とは、既に仲良くなっていた。
「あったりまえでしょ~?! 稼いでくるのが旦那でも、財布の紐は大体奥様が握ってんのよ!!」
そして見切るのも早い。
この通り俺には、三日と経たずに一切の媚びも売らなくなった。
「不貞を疑われて女の敵になるなんて、一銭の得にもならないわ! ……そもそも『浮気は男の甲斐性』とか言うけど、奥方と上手くいってないような男に甲斐性なんてあるわけがないのよ?」
ふふん、と鼻を鳴らしてメグはドヤ顔をする。
メグ曰く、『遊び上手は上手くやる分、実は金が渋く、しかもいざとなったら頼れない』『不貞を働くくらいなら、不器用な夫婦の仲を取り持って、信頼を勝ち取った方が頼れる』そう。
なるほど、一理ある。
父の仕事柄女性は沢山見てきたが、確かに女性を敵に回すのは得策とは言えない。
奴等の情報網は男のそれより多岐に渡り、しかもスピードが恐ろしく早い上、徒党を組むのである。
情報戦で言ったら男の敵より厄介かもしれない。
「それに既婚者じゃないにせよ、あまり余計に気を持たせたりしたら、この清純キャラの私の経歴に傷が付くじゃないの! 慎重な見極めが大事なのよ!」
「ほほう……」
なんだか微妙な理屈だが、貞操観念は高い様子。
──しかし、ゲスインの疑いは消えず。
ビッチキャラでないことは理解したが、平民の距離感と貴族の距離感は違う。
この先ビッチキャラと思われる素養は充分にあると見た。
その辺も含め、今日もキッチリ勉強させる。
メグは俺の躾に不満を漏らしつつも、それに対して異を唱えたり反抗することはなく、むしろ自ら積極的に学ぶ姿勢である。
(もともと女性の難しさや、人間関係の重要さを理解しているのはいい)
これならば余裕でビッチヒロインは回避できるだろう。
ゲスインであっても、上手く立ち回れるならば問題はないのだ。
その後も彼女は貴族のルールや学問を学び、着実にマナーを身に付けた。
もともとメグは勉強熱心で、孤児院のシスターからそれなりに教わっていたらしく、その補填程度で済んだ。
しかも彼女は地頭が良い。
ひと月もすると、『そろそろ俺じゃ無理だから家庭教師でも……』等と考えるまでになった。
『天然系無自覚無作法ヒロイン』のフラグは順調に折れそうである。
──だが、生活を共にした1ヶ月で、別の問題に直面していたのだ。
ご高覧ありがとうございます!
感想返信滞ってて申し訳ないです!!
あまり定まってなく、勢いもちょっとないもので……
なるべく頑張りますが、更新は不定期です。
ご了承ください。




