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第3話

【警告】

本文には不快な表現が含まれています

そのようなのが苦手な方はご遠慮ください

ジャックはコインロッカーの鍵を開けると中から茶色のボストンバッグを取り出す。中身を手早く確認するとその場を離れその足で公衆トイレに入った。

ボストンバッグの中から黒いレインコートを取り出すとシャツの上から羽織った。ご丁寧に皮の手袋まで入っている。

最後に獲物を一通りめでるとそれをズボンのベルトに差し込み、レインコートで見えないように覆った。

トイレを出て、人目のつかない裏路地を足早に抜けると目的地であるクラブにはすぐに着いた。

『ダークナイト』

店の前には男が2人立っている。ホスト風の若い男とスキンヘットの2人だ。

ジャックは物陰に潜み、男が1人になるのを辛抱強く待った。

ホスト風の男が内ポケットの中に手を伸ばし、店の奥へと消えてゆくのを確認するとジャックはスキンヘッドのところに近づいた。

「なんだお前」スキンヘットはジャックよりふた回りほどの巨漢である。

その巨漢がジャックを見おろして言った。

「さっさと帰りな」

「この女を知らないか?」ジャックはレインコートから1枚の写真を取り出し男に見せた。

「知らないな」男はほとんど見ないうちにそう答えた。

「そうか」ジャックはすぐに写真を引っ込める。

「じゃあこれなら・・・」ジャックはベルトに突っ込んでいた獲物を取り出した。

ニューナンブ。リボルバー式の回転銃で日本の警察で採用されている標準モデルである。

ジャックはニューナンブの銃口を男の腹にわかるようにねじりこんだ。

「ゆっくり後ろを振り向き、店の中に入るんだ」ジャックの指示通りに男はゆっくりと振り向くと店の中に入っていく。

ジャックは男の2歩後ろを歩いた。

「おい。何やってるんだ」ホスト風の男とがすれ違いざまに2人をとめる。

「サイケさん」スキンヘッドが身体に見合わずおびえた声を上げる。

「女を知っているかと聞け」ジャックはスキンヘッドに囁いた。

「サイケさん」

「なんだ」

「助けてください。こいつ銃持ってます」スキンヘッドが銃口から逃れようと身をかがめるのをジャックは見逃さなかった。

スキンヘッド目掛けて引き金を引く、激しい閃光と共に弾丸が後頭部を直撃し、通路の壁が赤く染まった。男は糸の切れた操り人形のように重心を左に傾け、膝からゆっくりと崩れると壁に頭部をこすりつけながら果てた。

ジャックの足元まで血だまりが広がる。

ジャックはすぐに銃口をホスト風の男に向ける。男は顎を震わせ、その場に立ち尽くしていたが、目が合うと逃げるように中に入っていった。

ジャックはゆっくりと店内へと闊歩した。

銃声を聞くには店内は騒がしすぎるようだ。

不意に若い男がジャックにぶつかり、持っていた飲み物をその場にぶちまけた。

「何しやがる」男がジャックに言った。

「あらあら、これもうだめだよ。弁償してもらわなくちゃ」男と一緒にいた鼻にピアスをした男が言う。

「そうだよ。弁償してもらわなくちゃ」男はポケットの中からバタフライナイフを取り出すとジャックの前にちらつかせた。

「三万円でいいよ。安いものでしょ。それにしてもその格好なに?」鼻ピアスがジャックのレインコートをめくった。腰のベルトにかけているものを見て息を詰まらせた。

「ねぇ。何とか言ってよ」男はナイフの刃をジャックの頬に当てながら言った。

ゆっくりとベルトからニューナンブを引き抜くと男の腹に押し当てた。男の動きが止まる。

銃口をゆっくりと腹から胸、胸から首へとあげていく。男が震えるのがわかった。

ジャックは左手を差し出し、バタフライナイフを受け取ると男の頬に当て、頬をゆっくりと斜めに切り裂く。頬骨から唇にかけてぬらぬらと真っ赤な赤筋が流れる。

その間も銃口は男の顎に突きつけられたままだ。

ジャックは男の腹にナイフをつきたてた。刃が腹にゆっくりと吸い込まれていく。あっという間に7センチほどの刃が男の中にすっぽりと包まれていた。

「う。うう」男が震えながら膝を床に着いた。

「そのまま病院にいってみてもらえば助かる」ジャックは鼻ピアスの耳元で囁いた。

ジャックは大きく息を吸うとニューナンブの銃口を天上に向ける。

けたたましい銃声と共に閃光が密室を明るく照らす。

そこではじめて異変に周りが騒ぎ出した。

皆がジャックの方を注目する。

部屋の奥でサイケというホスト風の男が2人の女をカーテンの奥へと導いているように見えた。

ジャックは歩を早め、奥へと駆け寄った。

周りの客は我先に出口へとかけていく。

ジャック目掛けて丸椅子が投げつけられる。咄嗟に左手で顔を覆った。椅子の衝撃で後ろに退くと鳩尾みぞおちに衝撃を受けた。

口の中にすっぱいものがあふれ出す。続けて顔面に渾身のストレートを浴びせられ、ジャックはその場にあったテーブルをかき乱しながら床に手を付いた。

右手にあったニューナンブが姿を消していた。

目の前にはサイケともう1人、大柄の男が立っていた。

「サイケさん。こいつ」

「ああ」サイケと大柄の男がなにやら話をしていた。

「どこのものか吐かせろ」

大柄の男がジャックのそばに歩み寄り、ジャックの左手の指に手を掛けた。まるで鳥の骨でもおるかのように音を立てて、小指がありえない方向に押し曲がる。

ジャックは苦痛に叫び声をあげた。周りの客はとっくに避難している。

残っているのは三人だけだ。

「どこの組のものだ」男が今度は薬指に手をかけた。

ジャックはベルトにかけていたもう1つのニューナンブを男に向けると引き金を引いた。

再度閃光が走った。

「ぐああぁ」男が叫び声をあげ、両手で顔を押さえながらその場にうずくまった。

ボストンバッグをあけたとき用意されていたニューナンブは2丁だった。ジャックは1つを予備としてベルトにそのばせていたのが幸いした。

男は両手で顔を覆いながらもだえ苦しんでいた。指の間からむき出しの眼窩があらわになった。ジャックの放った凶弾は男の顎を打砕き、左頬を削ぎ、眼球を破壊していた。

ジャックは逃げるように男から退くと銃口をサイケに向ける。

サイケは恐怖におののきながらもゆっくりと両手を上げ、天を仰いだ。

ジャックは勝利の雄たけびをあげた。


神木蓮司です

シルバーウィーク中に続きを書き上げてしまいたいです。

また感想あればよろしくお願いします。

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