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第1話

ドラッグにおぼれた女が殺人鬼に願ったことは自らを陥れた男たちへの復讐だった・・・

そして・・・

「香田、香田かだあずさ」私は私を呼ぶ声で目を覚ました。

「いやぁ。悪い夢見ちゃいました」私は額に噴出した汗を拭って見せた。

目の前には紺色のスーツに黒縁メガネを掛けた優男やさおとこが教科書を片手に立っている。

「授業中に居眠りとは感心しないな」担任教師の守屋が教科書の角で頭を叩いた。

「しばらく廊下で頭を冷やしておくんだな」私が廊下に放り出されると教室中が爆笑の渦に包まれた。

廊下に立っていると隣の教室で怒鳴り声が上がり、教室の扉が開き、少女が姿を見せた。

どうやら隣のクラスでも私と同じような人間がいたようだ。

髪を明るく染め、ウェーブを掛けている。

その顔に見覚えがあった。隣のクラスの綾咲裕美あやさきひろみだ。

教師の小言もなんのその、まったくこたえていないようで不適な笑みを浮かべ裕美がこっちを見ている。

「あんたもかい」

「ちょっと最近寝不足で・・・」私は頭を掻いて笑い返した。

クラスのみんなは裕美に関わらないようにしていた。

それにはいろいろと理由があった。夜に男と出歩いているとか、クスリをやっているとか。挙句の果てには人を殺しているだとか。

すべては根に葉もない噂話だろうけど。

「あんたも噂話を信じるタイプ?」裕美が切れ長の目で見ながら私に言った。

「うわさばなし」私は心の中を見透かされたような気がした。

「私がドラッグをやってるってそう思ってるんだろ」ちょうど目線の先にはドラック禁止を呼びかけるポスターが貼られていた。

「人間っておかしな生きものだね」裕美のポケットの中から小さく折りたたまれたルーズリーフが落ちた。

私はそれを拾い上げる。中には太った男のイラストが描かれている。

「トカゲ男」

トカゲ男は今渋谷で話題になっている都市伝説の1つで。

昼間は太った中年の姿をしているが夜になるとビルをトカゲのように這い上がって、人を襲うという。

生徒の中にはトカゲ男が人を食べているのを見ただとか。

携帯の明かりに弱いとか。

まるで本当に見たかのような噂が流れていた。

「トカゲ男ってさ」裕美が教室の中を指差した。

隣の教室では英語教師の小杉が教鞭きょうべんを振るっていた。

小杉はデブでハゲで階段を登るだけで息切れをする。

「小杉ってこのトカゲ男そっくりなんだよね」

「ひょっとしてこれを描いてて怒られたの」

私は急に裕美がかわいらしく思えてきた。

「あんた今、笑っただろ」裕美は私の頭を軽くこついてきた。

(やっぱり、ドラッグをやってるなんてただのうわさ話に違いない)

私はそう思いつつあった。

「あんたになら私の本当のこと話せるかも・・・」

「なんか言った?」

私の問いに裕美が首を振る。

教室の扉が同時に開き、守屋と小杉が同時ににらみを利かせてやってきた。

「お前ってやつは廊下に立ってることもできないのか」守屋のお説教を聞きつつも、私の頭の中は別のことでいっぱいになっていた。

再び教室に戻ってきて裕美から受け取ったルーズリーフを見返した。

裕美のイラストは『トカゲ男』以外にも複数あったからだ。

『悪のセールスマン。モグル』

(これも知ってる)

渋谷で怪しげな商品を売るセールスマン。最後に忠告を聞かないと不幸になる。

私は胸を躍らせあがらルーズリーフをめくった。

『渋谷の殺人鬼。ジャック・ザ・リパー」

通称、切り裂きジャック。渋谷を徘徊する殺人鬼。

そこでノートに何かが挟み込んであることに気付いた。

黒い長方形をした紙。

「ダークナイト」

それは渋谷にあるクラブのチケットだった。

神木蓮司です

やっと第1話をお届けできました

まだ先は長いです

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