召喚
『悪魔の力を軍事利用!? ホラー短編第一作!』
次の作品に感動して書いた、超短編です。
(神秘的) https://www.pixiv.net/artworks/77849614
(ステージ) https://www.pixiv.net/artworks/59298699
(振袖) https://www.pixiv.net/artworks/67034084
(魔性) https://www.pixiv.net/artworks/73915080
(天使) https://www.pixiv.net/artworks/74954538
(Tulip) https://www.youtube.com/watch?v=PRtASzfjn38
素敵な刺激を与えてくれるイラストや動画に、感謝します。
社会派作品と思いきや、今回は主としてゲーム/アニメ
『アイドルマスター』内のアイドルグループLiPPSの、
時に魔性で、時に天使な魅力から受けた感激を表現したく
……ああっ!(←お約束の袋叩き[笑])
元気な美嘉ちゃんはマルバス、
神秘的な周子ちゃんはフォルネウス、
華やかなフレデリカちゃんはフラウロス、
大人っぽい奏ちゃんはベリト、
化学オタクの志希ちゃんはモラクス、と妄想しました。
個性的な言動も含めて危険な魅力をもったキャラ達ですが、
本当はみんないい子です。
闇の世界を描きながらも、結局は然るべくオチる話が、
ヘタレな自分らしく、納得の結末となりました(笑)。
無理は禁物、地道に思索……って、何のこっちゃ(笑)。
文化の意義のひとつには、
人間の知性(人間性)がもつ限りない想像力と欲求を、
その存在に気づかせながら安全に発散・昇華させ、
危険性を最小化しつつ、可能性を最大化するということが、
挙げられるのではないかと思います。
ご興味がおありの方は、『Lucifer』シリーズなど他作品や、
『文明の星』理論(仮説)についてのエッセイもご覧いただけましたら幸いです。
正直言うと、確かな人生設計や使命感があって
軍事官僚になったわけじゃない。
愛する母が、真面目な貴方は手堅い仕事についたうえで、
好きに自分の生活を送ればいいといったからだ。
一見羽振りがいいが実は問題のある、
父の分まで賄ってほしい、
という切実な願いもあることを知ったのは、
後になってからのことだった。
もちろん、そんな甘ちゃんが
社会を上手く渡って行けるはずもなく、
世を拗ねた私は人間の理想や善意など、
何も信じなくなっていった。
そんなわけで、たとえヤバげな力であっても、
悪魔の力を軍事利用できたら凄いと思った。
中二病オタクみたいな発想だが、
実際そうなんだから仕方がない(苦笑)。
不思議なことに、政治的な追い風も吹いた。
オカルト頼みの国家計画なんて、
ナチの親衛隊みたいでロクでもないとも言われたが、
文句があるなら作戦を認めた軍上層部に言ってほしい。
獅子の悪魔マルバスは、陸戦に。
海の悪魔フォルネウスは、海戦に。
炎の悪魔フラウロスは、航空宇宙戦に。
嘘を操る悪魔ベリトは、情報戦に。
天文学や鉱物学・薬学の悪魔モラクスはNBC戦、
即ち核や生物・化学兵器という特殊兵器の戦いに。
……超常の力を得た我等が国軍は、
世界に類なき無敵の軍団と化すだろう。
数十年に渡り忌まれ、無視され、馬鹿にされ、
時には哀れみの眼差しで見られながら、
研究を続けてきた成果が試される時だ。
儀式は終わった、さあ来い悪魔ども!
地下室内に妖しく輝く紫色の霧が立ち込めると、
5人の個性的で、この上もなく愛らしい少女達が現れた。
実際の姿はおぞましい怪物なのかも知れないが、
そこがまたギャップ萌えオタクにはたまらない(笑)。
私の心は、喜びに満ちあふれた。
どうだ! 今こそ、自らの価値を世間に……。
すると突然、全身の力がどんどん抜けて私は床に倒れ、
悪魔たちの姿も、かき消すように失せてしまった。
一緒にいた同僚たちがざわめいた。
『うわあっ!』『どうした?』『おいおい……』
『だから言わんこっちゃない。
ただの人間が魔王を5柱も呼んだら、
できたとしても生命力が根こそぎだろうって止めたのに』
『いきなり何百年もたったみたいに……まるで特撮ね』
『何このミイラ!?
世にも嬉しそうにニタニタ笑って気持ち悪い』
ずいぶん失礼な奴らだな、まだ声は聞こえてるんだぞ。
中には必死でお祈りを始めた奴もいる。
衛生兵もいたはずだが、恐れをなしたか無駄と知ってか、
近づこうとさえしないようだ。
まあ、強制と報酬で集められた連中だから仕方ないか。
だがこの業績さえ残れば……。
しかしその時、担当将校の震える声が
私の希望を打ち砕いた。
『呼び出すだけでこの有様か……。
実戦なんか始めたら、どれだけの生贄が要るんだ!?
こんな力に頼ったのでは、国の存続も危ない。
この計画は永久に封印だろうな』
いやちょっと、それはないだろう!
失敗してもこの実験は、歴史的な偉功として……。
そんな思いを言葉に変える余裕もなく
私の意識はたちまち闇に呑まれ、
何か恐ろしい鉤爪のある沢山の手に掴まれて、
さらなる深みへと引きずり込まれていった。