誰かの面影
はじめまして
もうすぐ4月になります。
別れの季節を味わって感じたこと、会いたい人について描いた私なりの感情です。
どうしようもなく会いたくなって、思い出した瞬間の言葉を綴ります。
確信はないけれど私はあなたが好きだ。
通りすがる冬の日にあなたと出会って、春が来る前にあなたと別れた。
そんな短期間であなたは私の懐を抉るように奥深くにねじ込んできた。
卒業式を口実に空港から離れに住むあなたに会いに行った。
港の側横断歩道を渡った悲しそうな表情は目を合わせる余裕もなく、前を歩くカップルらしき男女の楽しげな笑い声だけが記憶の中で聞こえている。
高速バスに乗ってこれからの予定に胸を膨らませ、隣に座る友達と都心に着くまでの間ずっと話し込んでいたから結局余韻に浸る暇もなかった。
夜になってその日の活動全てが終わり、だんだん興が覚め寂しくなった。
別れを悲しむよりも画面でしか見たことない音楽家への興奮が優って2人交わった時間分の寂しい瞬間を味わえなかったことに、自分自身にに苛立った。
実家暮らしは息苦しくて、4年間隔の出戻りは居場所がなかった。ダンボールに詰め込まれた荷物はいつでも場所を選ばず放浪していた。
読み終わった本も散乱し、買ったCDもダンボールの底に紛れて見当たらない。
仕事の休みが同居者と重なった日には1階がその人、2階が私の拠点となる。
ご飯を食べるタイミングも、息をするタイミングさえも緊張が張り詰めた空間の酸素に胸が詰まってせっかくの休みの日の過ごした方も忘れてしまった頃だった。
呼吸の深さにも気を遣わすくらいだ。当然変な音は出せない。1階のリビングからはテレビの声が昇ってくる。それが途絶えると、その人は眠っているか、出かけたか、風呂に入ったかの3択だ。
服 や紙くずや埃で散らかった部屋の隅に1人寝そべって天井を見つめる。
幸か不幸か目が悪くなって、自らの焦点が分からない。
遠くに見つめる感情の正体も霞んではっきり見えない。
憧れていた
あなたのせいで覚えたタバコも、歌も忘れてしまいたい。声が潰れるまで歌って、送ったメッセージも忘れて、そのまま心を破壊してしまいたい。
全部お酒のせいにしてあなたの時間を奪っていたい。
されど愛は伝わらないからどうなったっていいと思う。私は私、あなたはあなたで世界が噛み合う一部であればいいと思う。
閲覧ありがとうございます。
この小説は、「誰かを思う気持ちを抱きしめていたい」という自己満の作品ですが、それと同時に画面の反対側にある日常にもいろんな感情を共有できたら嬉しいです。




