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異世界勇者と魔法の図書館  作者: カユラ
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勇者になる前日③~[夢幻斬]~

 連合国式剣術には三奥義とよばれる技法があり、魔力を刀身に集中させ切れ味をあげる[瞬刃]、高速で剣を振るい斬撃を飛ばす[焔返し]そして、刀身を振動させ空間を司る神格を欺き、その場にとどめることができる[次元斬]の三つのことである。ごく一般的に知られているこの三奥義の難易度は

 

[瞬刃]<[焔返し]<[次元斬]


となっている。この三つは軍事力向上のために、数ある流派から考案されたもので連合国式剣術は連合国の流派の集合流派になっている。しかし、流派ごとに三奥義の応用とよべる技が数多く存在する。[飛影斬]もその一つであり、連合国序列元四位の[鬼剣の才女]とよばれた母さんの故郷で、大陸の最北端に位置する精霊と死者の聖地として知られている聖峰山の集落で、ひっそりと一子相伝にて伝授されている聖峰式剣術[鬼刃一式流]からも考案されている。そして、この[夢幻斬]は太陽がまだ神格の象徴であった時代の天災級の魔物を倒すために作られたという奥義のひとつであり、連合国式剣術には取り入れられていない技である。

 


 [夢幻斬]


 空色に発光している剣を振るうと辺り一面広範囲(直径1キロぐらい)が暗くなり、気温が急激に下がり始め突風が巻き起こった。

 

 「冒険者のあんちゃん!炎系の奇跡に風は勢いを増すだけだよ!!」

 クラウスは白い息を吐きながらそれでも村へ全力で走っている。走って...いる?太っているから全然速度はでていない。まあ、少し離れていてくれればよかったので問題はない。

 

 「ああ!クラウスさん!大丈夫だ。そのまま走ってくれ...って聞こえてないか」


 雪が降り始めその量はすぐさま増えていき、数秒もしないうちに突風と雪が吹雪を起こした。火球の奇跡は対象物を見失い、全く別の場所に飛来し、爆発した。


 火球の奇跡使いのもオレとクラウスの居場所はわからないので今のうちに村の外敵用結界の中に入った。その頃には吹雪も収まっていた。


 「冒険者のあんちゃん、さっきのはもしかして奇跡か魔法の類いなのかい?」

 

 急激な気温の変化とで疲労がたまったのだろう。今すぐ寝転びたそうな顔で聞いてくるのだが、クラウスが扱う売り物には情報や噂も含まれているのでオレが先ほどつかった[夢幻斬]も気になるのだろう。しかしアレは流派の奥義なので教えることはできない。


 「すまない、クラウスさん。アレがなんなのか教えることはできないんだ。魔法なのか奇跡なのか、それとも剣技だったのかすらおしえられないんだ。」


 「そうか、それは残念だ。しかし、日陰の村は武器を所持しているだけで奇跡が飛んでくる洗礼の噂の真実もしれたことだ。それだけで十分すぎる成果だったよ。はっはっは」


 今でも死にそうな顔をしている。だましているようで気の毒になる。


 [夢幻斬]は気温を急激に下げて吹雪を発生させる技ではない。剣をあるリズムで高速に振動させ、自然現象を司るの神格を欺き、まるで自然災害を発生させたようにする幻覚だ。神格を欺くという点においては[次元斬]と似ているが欺きすぎると気づき、欺けられなくなってしまったりする。何より欺くのは奇跡を与えてくださる神格への冒涜になるのだ。


 逸話だが、空間を司る神格は下界に降りてきた際に気に入った、一人の神官剣士に斬撃をのこす裏技を教えたところ、瞬く間に世界に広まってしまったといわれているので容認しているといわれている。  


 

 「クラウスさんちょとまってくれ、見張りの奇跡使いに洗礼をわびさせようとおもうんだ。」

 せっかく来てくれた商人を一歩間違えれば殺していた見張り人を2~3000回ほどどけ座させてやりたい。 

 「いや、いいよ冒険者のあんちゃん。噂だった洗礼をこの身で受けられたんだ。」 

 太っとちょの腹を揺らしながら何かを考えているようだ。


 「追加の依頼と報酬をだすからギルドカードで完了の印を押させてはくれまいか?」




 

聖峰式剣術には[鬼刃一式流]のほかに[鬼刃二式流]と[鬼刃三式流]がある。

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